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三遊亭天どん・三遊亭兼好 二人会 「しびれるふたり」 [落語]

三遊亭天どん・三遊亭兼好 二人会 「しびれるふたり」
於:月島 月島社会教育会館ホール

三遊亭天どん 三遊亭兼好 オープニングトーク
三遊亭けろよん『孝行糖』
三遊亭天どん『見てません』
三遊亭兼好『大山詣り』
三遊亭兼好『一眼国』
三遊亭天どん『五人廻し』

前々から行きたいなーでも平日だしなーしかも月島って微妙に会社からも遠いんだよなーと迷っていたのだが、どうやら定時に上がれそうだったので直前にWebから予約を入れて会場へ。ちゃんと予約されて前売料金で入れた。ネット社会万歳。

まずはオープニングトーク。このふたりが絡んでるのは珍しい。両師のファンである自分は嬉しい。
Tシャツ姿の天どん師、「今日も満席ですね」と空席が目立つ会場で自虐から。とはいえ兼好師も「この会場で誰とやっても独演会やっても満席になったことがない」らしい。ていうかまあ特にこの会は主催がね。この席亭の会は行かないって人も結構いるみたいだし。
「我々は打ち解けてないから」と開始早々に天どん師がこぼし、「どうだった、この夏」となんともふわっとした答えづらい問いを投げかける。
「どうだったってなんですか」と兼好師も戸惑いつつ「私のお客さんは知ってると思うんですけど、クーラーを使わずに過ごしました」「え、家族も?」といまや鉄板ネタ。天どん師が「あーでも俺も寝るときにはクーラー使わなかったよ。喉やられるし、ダルいじゃん。お客さんはどうですか。……なに『自分は関係ない』みたいな顔してるんですか。もっと積極的にこないと。はい、寝るときにクーラー使わない人ー」とアンケートをとると結構な人数が手を挙げた。「あれ、結構いますね。私エラソーに言っちゃったけど、もしかして普通だったんですかね?」。いや昼も使わないのはさすがに。
天どん師は「夏はイベントだろ!」ということでドームでやってたスケスケ展なるものに行ってきたそうでTシャツもそのイベントのものだそうだ。「ひとりで行ったんだけど、周りは子ども連ればっかりで一歩入って絶望した。骨が透けて見えるっていう装置があって子どもは大はしゃぎなんだけど、50過ぎたおじさんは『おー』くらいの反応しかしないのよ。『何だこのおじさん、早く代わってくれないかな』みたいな視線を子どもから浴びてきた」そうで。
「最近こういう会だとトークやってくれって多くない?」と天どん師。「ああそうですね、よく言われます」「そういうとき何話すの? どうせ『いつ圓生を継ぐんですか』とかばっかりだろ?」「あー、まあまあまあ」「俺なんか全然言われたことないぞ」「そりゃまあ、ねえ」「おい! 俺は直系だぞ。孫弟子なんだから。お前のほうが遠いだろ!」と圓生問題に。まあ直弟子がみんないなくなって、なんとなく外堀を埋めていくような感じになるんだろうけれども。
「普段誰とトークするの?」「白鳥師匠とか……。でもあの人の場合、トークにならない。自分の言いたいことだけ言って、『面白かっただろ、じゃっ!』って終わっちゃう。あと白酒師匠ですかね。あの人も人のワルグチをわーっと言って終わります」「じゃあ今日は人のワルグチを言わないようにしよう」とふたりともそんなことできるんだろうか?
そのほかふたりの健康診断の話などをしつつ、なんとなく噛み合わないままトーク終了。

けろよんさん、与太郎の孝行糖の口上はかなり平坦でゆっくりめ。ちょっと足りない人が頑張ってやっている、という感じは出るのだが、その分テンポは重くなりがち。とはいえ前座でここまで噺をコントロールしているというのはすごい。

天どん師の一席め、「兼好さんのお弟子さんで客席が落ち着きましたね。ちゃんとして安心感がある。僕の弟子は開口一番でとんでもないことをしたりしますからね。焼け野原かな? って思うところを後始末しなきゃいけなかったりしますよ」ってごはんつぶさん?
「それにしてもオープニングトークしているのに番組について何も言わない、というね。まあ今僕がここに出てるということは、トリの可能性があるということですよ。『なんで兼好さんがトリじゃないの!?』という方はですね、受付にいる人に言ってください。8人くらいそういう人がいたら代わりますよ」と自虐だかなんだか。
「最近の話題で言うと内閣改造ですか。あの小渕さんすごいですよね。ドリルですよ。証拠の品をドリルで壊すような人ですよ。そんなのゲッターロボでしか見たことないですよ……世代的に大丈夫かと思ったら全然反応ないですね」。ごめんわからん。「さっき『ワルグチを言わない』って言ってましたけど、あの人、口が歪んでますよね。嘘を言い続けてるからああなるんじゃないですかね。そのうち麻生さんみたいになるんじゃないですかね……小渕さんを好きな人がいたらごめんなさいね。でも僕なんか顔が歪まないように毎日顔のマッサージしてるんですよ、『よし、これで今日もワルグチ言って大丈夫だ』って」。どういう努力?
「まあ証拠をドリルで壊すような人ですがら、自分の非を認めない。こういう人いますよね」と開封済みのアダルトDVDを「見ていないから」と言い張って返品しようとするヤベえおじさんの噺に。
いくら店員が断っても「だって見てないんですよ、レシート(3年前の)だってあるのに」と言い張って全然話が進まないという噺。
話の通じない人とそれにうんざりしながらも丁寧にツッコミを入れる人と、それをかき回す第三者と、というなんというか天どん節全開の一席になっている。
面白いんだかなんだかよくわからないっちゃわからないんだけど、それもらしいというか。

兼好師の一席め、「天どんアニさんの噺を聴いててもう……『店員はレシート奪って破って捨てろ!』って思いますよね」とニヤニヤしながら身もフタもない感想。確かにそうだ。
「観光が復活したのはいいんですが、富士山がえらいことになっているそうですね。みんなして登るからすごく混んでる。しかも登ったらすぐに下山するわけじゃないですから、山頂部分は満員電車並みの混雑なんですって。……つり革とかつければいいんじゃないですかね。それで『次はー品川ー』とかアナウンスすれば降りるんじゃないですか」とまたテキトーなことを……。
「昔は登山は半分信心だった」と『大山詣り』に。だいたいひと夏に2回当たるペース。
風呂場での熊の鼻歌「はアんあァああ~♪ お湯ゥにぃ~ 入ィるぅぅぅとおぉォ~ 身体ぁああァンがああああ あったまるね」というのがくだらないのに上手いのがいつもおかしい。

二席め、地元の会津若松に帰ったときに祭りをやっていたそうで、「懐かしいなと思いましたが、なんかちょっと違うんですよね。なにかと思ったら、最近は屋台やなんかでテキ屋を使わないそうで。PTAの人とかがやったりしてるそうですね。んー、どうなんでしょう。ああいうのって、ちょっといかがわしいのがいいんじゃないですか。それが子どもが大人の世界を覗いているような感じで。私が子どもの頃は、指のないちょっと怖そうなオジサンがたこ焼きとか焼いてましたけどね。子どもながらに怪しいなとか、これ食べたら身体に悪そうだなとか思っていましたけど」と『一眼国』に。
六十六部から話を聞き出そうとする香具師は、六十六部が留守の間に父親の面倒を見ていたという設定。その香具師から「恩知らず」と罵られ、仕方なく一ツ目の話をするという形。食事で釣ろうとしているのではないのは珍しい。
「一ツ目? ……二ツ目になれなかった人ではなく?」「誰も前座の話などいたしません」という小ネタでクスリとさせる。

天どん師の二席め、「僕が入門した頃は、まだ吉原を経験した師匠がいてあれこれ教えてくれた」そうで。
「今はそういうところがなくなっちゃって。だからトー横キッズとかああいうところに集まる。……急に僕は社会を語ってますよ。彼らのような人や、さっきの噺の見世物小屋にいるような人たちの受け皿として廓は必要なのです」とやや強引に廓噺に持っていく。昔はそうだったかもしれないけど、今はなあ。まあマクラを本気にする人もいないだろうけど。
「江戸ってところは男が多いから廻しをとっていた。それに地方からの人の集まりなので、野暮を嫌った。その中でも『甚助』と言われるのが一番イヤだったそうですね。甚助ってのはスケベな上に嫉妬深い、『自分だけモテたい』という男で……」と甚助が揃いも揃った『五人廻し』に。
ひとりめの男の嘆き節がいつもの天どん師のボヤキのようでそれが楽しい。
ふたりめが若旦那風、3人めが役人風、4人めが田舎者で5人めが関取という並び。
役人風の男がケンケンがなるところもまたよし。
途中喜助が「それはアレで……」といったところ、「アレってなんだ。優勝か。今頃優勝してるわ!」とセ・リーグファンにしかわからない悪態をつく。今年はお互いペナントレースがつまらない年でしたなあ。やっぱ指揮官の力って大きいね。あ、いやヤクルトは監督変わってないのか……。
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