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第10回 三遊亭兼好 噺の会 [落語]

第10回 三遊亭兼好 噺の会
於:浅草 ことぶ季亭

三遊亭兼矢『垂乳根』
三遊亭好二郎『愛宕山』
三遊亭兼太郎『朝立二郎 噺の会に参る』
三遊亭兼好『宮戸川』
桂小すみ 三味線と唄
三遊亭兼好『井戸の茶碗』

年末恒例の一門会。毎年この会にて落語納め。
一門会といえど弟子が増えたため、けろよんさんとげんきさんは楽屋仕事で高座はなし。

兼矢さん、以前にも聴いたことがある『垂乳根』だがやっぱり面白い。
女房になる人の口調が丁寧過ぎるからとわざわざ書生さんに挨拶を考えてもらおうとする八公の前向きぶりがなんか兼矢さんぽい。
打ち上げのときに聞いたら自分で考えたストーリーなのだとか。

好二郎さん、着物生活も一年を超えたが、まだまだ和服の男性は珍しいらしくいろんな人からジロジロ見られるのだとか。
着物の話から芸者たちと飲んだりする機会があるという流れで『愛宕山』に。
持ち時間も短いだろうにと少し驚いたが、上手いこと刈り込んでちゃんと最後まで仕上げる。やっぱりこういう噺の編集は上手い。

兼太郎さん、古舘伊知郎氏のトーキングブルースを観に行ったそうで、大分感銘を受けた様子。
「今日は何の噺をやろうか考えたんですけど、今日のこの状況を実況してみたらどうかと」。ううん? 「扇子をこうやったら実況中。普通に話してたらこれは私が落語をやっているところ。で、こうやってうつむいて話してたらこれは心の声です」。はあ。
なんでしょうメタ的な要素盛りだくさんで面白いといえば面白いんだけど、んんん? これはなかなか評価が難しい?

兼好師の一席め、「今年は大谷くんを別にすれば藤井くんでしょうねえ。でもあまりに強すぎると挑戦者待ちの状態になってしまって対局が減ってしまう。それで人気が落ちるってことがあるんだそうですよ。それで50歳以上の棋士限定のタイトルを作った。藤井くんには勝てなくても、昔強かった棋士が再びタイトル戦に登場してくる。これでまた人気が出る。頭いいですね。で、羽生さんが優勝しちゃったの。会長だから表彰式で自分で自分に賞状渡してるんです」。さすが羽生先生。
「プロ棋士ってどうやって稼いでるのかとと思ったら指導対局ってのがあって、ズラッと並んだ素人とどんどん指していく。素人ったって強い人ばっかりなんですよ。それを盤を一瞬見ただけで指していく。あれはやっぱり一種のバクチなんでしょうね。だから昔から『碁将棋に凝るヤツは』となる。でもああいう人は子どもの頃から強いんでしょうね」と子どもの話になり、育ちの良し悪しの話に。
「昔はそういう育ちのいい子どもは若旦那といってろくでもないのが多いんですが、中には純情な若旦那もいて」と『宮戸川』に。
半七がお花に「私たち噂になってんですよ。『お花と半七はデキてる』とか『もうすぐ結婚する』とか」「あ、その噂流してるの私」とさらっと話すお花の狂気が楽しい。
いつもながらお花に気づいたときの霊岸島の叔父さんのニヤーーーーっとした表情がたまらない。

小すみ先生、隅田川を唄う『さわぎ』を国際化してナイル川から南米のラプラタ川まで飛ぶ。相変わらずこの人すげーーー。なんで三味線でラテンの雰囲気出せんの。

兼好師の二席め、「脱税の金額が過去最大なんですって。脱税する業種の1位はコンサルタントなんですって。……胡散臭いですからねー」と黒い笑み。
「もう『コンサルタント』って言葉だけで怪しいでしょ。『あくび指南』ならいいですけど『あくびコンサルタント』とかイヤですよねえ」と胡散臭いのと正反対の正直者の噺に入る。年の最後に聞く噺が正直者が主人公で爽やかなサゲの『井戸茶』なのはいいですね。
「若侍がなぜ屑屋を呼び止めるのか」の理由を話すのに小銭を集め「これで今日働かなくてすむ」と話す男がなんかかわいらしい。
毎度のことながら千代田朴斎と高木作左衛門の意地の通し合いをいつの間にか「……と言っておりましたので」と清兵衛さんが話していたという場面スイッチの手法が素晴らしい。

終演後に抽選会。けろよんさんとげんきさんは今日はこれが晴れ舞台。
お客の2/3に何かが当たるこの抽選会、なのにほとんど当たったことがない。
今年もまた何も当たらず……と思っていたら、最後の最後、兼好師のサインと「わたしたちは 笑うために 生きているのだ」という格言が入った扇子が当たる。よおおおおし! 今年いいことがなかった俺を神様が哀れんで当ててくれたのに違いない。
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さて恒例の自己満足120%2023年に聞いた落語集計。
今年は616席。さすがに昨年よりは減っている。昨年は披露目があったからなあ。

でもって一番聴いたのは当然のごとく兼好師で103席(54会)。これだけ聴いてても『ちりとてちん』『壺算』『不孝者』が三席ずつでほとんど重複がない。

二位は入船亭扇橋師で55席(31会)。
三位三遊亭天どん師22席(13会)。
四位と5位は15席ずつで春風亭一蔵師(12会)と入船亭扇辰師(11会)。
六位に三遊亭萬橘師11席(6会)。
七位柳亭小燕枝師10席(9会)。
参考値としてけろよんさん27席。

遊馬師を7席しか聴いてないってのがなあ。また来年。
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