三人集あっさり解散特別公演 第三夜 [落語]
三人集あっさり解散特別公演 第三夜
於:赤坂會館 6階稽古場
オープニングトーク
春風亭一蔵『夏泥』
入船亭扇橋『蒟蒻問答』
柳亭小燕枝『粗忽長屋』
春風亭一蔵『死神』
二ツ目昇進直後の頃からやっていた「新版三人集」というユニットだが、ひとまずは一区切りということで解散とのこと。
3日間あったのだが、本来昨日一昨日は岩手へ行く予定だったのでチケットを取っていなかった。初日は扇橋師と扇辰師の独演会をハシゴしたのでまあいいか、と。
昨日はせめて旅行っぽいことをしたいと思い、高速に乗って茨城の海の見える温泉へ。高速久しぶりに乗った。普段近場への買い物とかしてないけど、たまにはエンジンをぶん回した方がいいのかな。帰ってきたのは夜になったので落語はパス。
なので当初の予定通り最終回のみ。
つったって「新版三人集」という名前がなくなるだけで、同期三人会は今後もやるだろうし……。主催がエムズじゃなくなるだけなので、客の立場からすると「ええっ、最終回!?」って感じじゃないと思う。実際来週は北海道に3人揃って行くらしいし、ばばん場でも三人会あるし。本人たちでさえ「年末には『帰ってきた三人集』とかあるんじゃない? (エムズ社長の)加藤さんならやりかねない」と特別感はあまりない。
まずはオープニングトーク……なのだが小燕枝師がいない。遅刻とのことだが浅草での出番があるらしく、毎日遅刻しているらしい。「いやー、アナタとふたりでトークができるのかと心配だったんですけどなんとかなるもんですね」と一蔵師が扇橋師に向かっていう。「なんでですか、今までだってふたりでトークしたことあるでしょ」と扇橋師はいうが、確かに三人集のトークのときは一蔵師と小燕枝師の後ろにいてたまに話すという印象だったしなあ。
「どうですか最近は。高校野球ですか」と水を向けられた一蔵師、「もうね、この時期は一番舟券買ってない!」と相変わらずハマっている様子。一方扇橋師は野球にまったく興味がないので全然響いてない様子。「じゃあ来年行こう! 一之輔アニさんをエスコートしたようにアナタを連れきましょ」と提案されるも「え~~~~いいですよー……」とまったく乗り気でない。「そもそも甲子園は行ったことありますもん」。高2の頃に母校が甲子園に出場したそうで。「応援は任意だってことだから最初は『行かない』っていってたんですよ。そしたら両親に『そんなことは一生に一度あるかないかなんだから』と諭されて直前に『やっぱり行きます』と担任に言ったんですけど、直前過ぎてバスの座席がなくて他のクラスのバスに乗らされた。しかも私文系クラスだったのに理系クラスのバスで誰も知ってる人がいない。しかも一番後ろの席。そんなの不良の席じゃないですか。で、夜中に出発だったので消灯すると不良たちが後ろの席に集まるんですけど、『コイツ誰?』みたいな感じで囲まれて……」というところで小燕枝師が「スミマセンでしたあ!」と到着。「今ね、扇橋さんのおもしろ漫談のオチ直前なのよ」「あ、そうなんですか」とそのまま客席の座布団席に座り、トークを眺める小燕枝師。スマホを手から落として「お客さん! スマホ落とさないで」「スイマセン! あ、写真撮っていいですか」と迷惑な客になりきる。無事にオチまでたどり着いた後に小燕枝師も交えてトークになる。
つか小燕枝師の着ているTシャツがすごい。
https://www.houyhnhnm.jp/news/379119/?image_page=3
一席めは一蔵師。「小燕枝さんは浅草、扇橋さんと私はいま鈴本で出番を頂いている。この三人集での切磋琢磨がなければそんなことにならなかったと思っています。それにヨイショじゃないですけど三人集のお客様というのはいいお客様でね。ついつい甘えちゃって……」と初日は『たがや』で45分、昨日は『青菜』で1時間やったらしい。なっが。
「私は自他ともに認めるサイゼリヤンですから。この会場で連続で会をやるときは一日はサイゼリヤで打ち上げをしようじゃないかと。昨日も行ってきたんですけど……。でね、私の頼むものは決まってるんです。以前いつものようにオーダーしたら、その店の店長がやってきて『あの、どの店の店長の視察ですか』って聞かれた。それくらい完璧なオーダーなんです」ってそんなオーダーあんの?
噺は昨年の真打披露興行2日め、扇橋師初日に聴いた以来。
泥棒に入られた方の男が最初は弱々しく礼儀正しい感じではあるのだが、どんどん図々しい本性を出していくさまが面白い。泥棒も「俺はそんなに悪いやつじゃないんだ、ホラこれだってニセモノだ」とバネで引っ込むタイプのドスを持っているのがおかしい。
扇橋師、「先ほど一蔵アニさんがサイゼリヤの話をしてましたけど、もうね、ほとんどのもの食べてるんですよ。昨日なんか3人で会計が18000円ですよ。私もサイゼリヤはよく行くほうですけど、家族3人で腹いっぱい食べて5000円行ったことないですよ」。俺もよく行くけど割としっかりめに酔って腹いっぱい食ってだいたい2000円とかだもんなあ。コスパすごすぎるんだサイゼリヤは。
扇橋師の『蒟蒻問答』は二ツ目最後の会で聴いて以来か。
売っぱらってしまった象牙の袈裟輪のかわりに戻す前のお麩がつけられており、それがちょいちょい出てくるのがおかしい。
小燕枝師、浅草の住吉踊りに顔付されており、今日あったことの裏話を聞かせてくれる。橘之助師に諭されるベテラン真打の様子など、聞いて想像するだけで楽しい。
「いまだに『イケメンかっぽれ』やれといわれて……で、『私ももう39ですし、他の若手のイケメンがいるじゃないですか』と断ろうとしたんです。そしたらベテランに『お前は生意気だ』と。『イケメンだといわれたくてもいわれなかったモンの立場も考えろ』といわれました。その言葉に私は求められているうちはずっと踊り続けようと決意しました」だそうで。
『粗忽長屋』はなぜか聞いているうちにそそっかしい兄貴分の言い分を受け入れてしまいそうになる。兄貴分と弟分の、本人たちは切羽詰まっていると思っている、呑気な会話が小燕枝師の雰囲気と合っていて楽しい。
トリは一蔵師。「さすが扇橋さんと小燕枝さんは後輩なので、昨日の仕返しとして長々とやったりしない。昨日なんて今の時間でようやく仲入りくらいでしたから」。どんだけ長くやってたんだろう。座布団席だったら腰が大変なことになってそう。
「この三人集の会は三夜連続とか五夜連続とか多くてキツかった。中でも一番キツかったのが『御神酒徳利』をネタおろしする会。その頃は忙しくて本番5日前からやっととりかかった。その間にもボートの仕事とかもあって、レースの合間に稽古するという……。だからそのとき一緒にいたスポーツ新聞の記者は私のことすごく勉強熱心だと思ったんじゃないですかね。で本番当日の朝までかかってようやく覚えた」。え、それって誰に教わったってことになるんだろう。アゲの稽古とかってしないの? よくわからん。
趣味の博打の話から『死神』へ。死神が登場するときに「アバラが浮き上がるほど痩せて……いない」となり、「死神ってのは痩せてるんじゃねえのか!」というツッコミに「喬太郎! ……歌武蔵! ……一蔵の死神は太ってる」というのがおかしい。
一蔵師の主役の男はとことんクズで、おかみさんが人格者というのが他の人と少し違っている。結局はクズは死に、いい人がそのまま他人を助け続けるという、ちょっとだけいい話というか救いがあるというか。
最後に三人揃ってご挨拶。「最後だっていうのに『死神』ってどうなんですか」「一席めに『殺せー殺せー』っていってて、次が寺の噺、その後に人が死んだ噺で最後が『死ね! 死ね!』って言ってるって……」と見事に縁起の悪いというかそんな噺が揃っていた。
最後は三本締め。
最後はせっかくなのでお見送りに出ていた三人を撮らせてもらう。まあ機会は今後もありそうだけれども。
RICOH GRII
於:赤坂會館 6階稽古場
オープニングトーク
春風亭一蔵『夏泥』
入船亭扇橋『蒟蒻問答』
柳亭小燕枝『粗忽長屋』
春風亭一蔵『死神』
二ツ目昇進直後の頃からやっていた「新版三人集」というユニットだが、ひとまずは一区切りということで解散とのこと。
3日間あったのだが、本来昨日一昨日は岩手へ行く予定だったのでチケットを取っていなかった。初日は扇橋師と扇辰師の独演会をハシゴしたのでまあいいか、と。
昨日はせめて旅行っぽいことをしたいと思い、高速に乗って茨城の海の見える温泉へ。高速久しぶりに乗った。普段近場への買い物とかしてないけど、たまにはエンジンをぶん回した方がいいのかな。帰ってきたのは夜になったので落語はパス。
なので当初の予定通り最終回のみ。
つったって「新版三人集」という名前がなくなるだけで、同期三人会は今後もやるだろうし……。主催がエムズじゃなくなるだけなので、客の立場からすると「ええっ、最終回!?」って感じじゃないと思う。実際来週は北海道に3人揃って行くらしいし、ばばん場でも三人会あるし。本人たちでさえ「年末には『帰ってきた三人集』とかあるんじゃない? (エムズ社長の)加藤さんならやりかねない」と特別感はあまりない。
まずはオープニングトーク……なのだが小燕枝師がいない。遅刻とのことだが浅草での出番があるらしく、毎日遅刻しているらしい。「いやー、アナタとふたりでトークができるのかと心配だったんですけどなんとかなるもんですね」と一蔵師が扇橋師に向かっていう。「なんでですか、今までだってふたりでトークしたことあるでしょ」と扇橋師はいうが、確かに三人集のトークのときは一蔵師と小燕枝師の後ろにいてたまに話すという印象だったしなあ。
「どうですか最近は。高校野球ですか」と水を向けられた一蔵師、「もうね、この時期は一番舟券買ってない!」と相変わらずハマっている様子。一方扇橋師は野球にまったく興味がないので全然響いてない様子。「じゃあ来年行こう! 一之輔アニさんをエスコートしたようにアナタを連れきましょ」と提案されるも「え~~~~いいですよー……」とまったく乗り気でない。「そもそも甲子園は行ったことありますもん」。高2の頃に母校が甲子園に出場したそうで。「応援は任意だってことだから最初は『行かない』っていってたんですよ。そしたら両親に『そんなことは一生に一度あるかないかなんだから』と諭されて直前に『やっぱり行きます』と担任に言ったんですけど、直前過ぎてバスの座席がなくて他のクラスのバスに乗らされた。しかも私文系クラスだったのに理系クラスのバスで誰も知ってる人がいない。しかも一番後ろの席。そんなの不良の席じゃないですか。で、夜中に出発だったので消灯すると不良たちが後ろの席に集まるんですけど、『コイツ誰?』みたいな感じで囲まれて……」というところで小燕枝師が「スミマセンでしたあ!」と到着。「今ね、扇橋さんのおもしろ漫談のオチ直前なのよ」「あ、そうなんですか」とそのまま客席の座布団席に座り、トークを眺める小燕枝師。スマホを手から落として「お客さん! スマホ落とさないで」「スイマセン! あ、写真撮っていいですか」と迷惑な客になりきる。無事にオチまでたどり着いた後に小燕枝師も交えてトークになる。
つか小燕枝師の着ているTシャツがすごい。
https://www.houyhnhnm.jp/news/379119/?image_page=3
一席めは一蔵師。「小燕枝さんは浅草、扇橋さんと私はいま鈴本で出番を頂いている。この三人集での切磋琢磨がなければそんなことにならなかったと思っています。それにヨイショじゃないですけど三人集のお客様というのはいいお客様でね。ついつい甘えちゃって……」と初日は『たがや』で45分、昨日は『青菜』で1時間やったらしい。なっが。
「私は自他ともに認めるサイゼリヤンですから。この会場で連続で会をやるときは一日はサイゼリヤで打ち上げをしようじゃないかと。昨日も行ってきたんですけど……。でね、私の頼むものは決まってるんです。以前いつものようにオーダーしたら、その店の店長がやってきて『あの、どの店の店長の視察ですか』って聞かれた。それくらい完璧なオーダーなんです」ってそんなオーダーあんの?
噺は昨年の真打披露興行2日め、扇橋師初日に聴いた以来。
泥棒に入られた方の男が最初は弱々しく礼儀正しい感じではあるのだが、どんどん図々しい本性を出していくさまが面白い。泥棒も「俺はそんなに悪いやつじゃないんだ、ホラこれだってニセモノだ」とバネで引っ込むタイプのドスを持っているのがおかしい。
扇橋師、「先ほど一蔵アニさんがサイゼリヤの話をしてましたけど、もうね、ほとんどのもの食べてるんですよ。昨日なんか3人で会計が18000円ですよ。私もサイゼリヤはよく行くほうですけど、家族3人で腹いっぱい食べて5000円行ったことないですよ」。俺もよく行くけど割としっかりめに酔って腹いっぱい食ってだいたい2000円とかだもんなあ。コスパすごすぎるんだサイゼリヤは。
扇橋師の『蒟蒻問答』は二ツ目最後の会で聴いて以来か。
売っぱらってしまった象牙の袈裟輪のかわりに戻す前のお麩がつけられており、それがちょいちょい出てくるのがおかしい。
小燕枝師、浅草の住吉踊りに顔付されており、今日あったことの裏話を聞かせてくれる。橘之助師に諭されるベテラン真打の様子など、聞いて想像するだけで楽しい。
「いまだに『イケメンかっぽれ』やれといわれて……で、『私ももう39ですし、他の若手のイケメンがいるじゃないですか』と断ろうとしたんです。そしたらベテランに『お前は生意気だ』と。『イケメンだといわれたくてもいわれなかったモンの立場も考えろ』といわれました。その言葉に私は求められているうちはずっと踊り続けようと決意しました」だそうで。
『粗忽長屋』はなぜか聞いているうちにそそっかしい兄貴分の言い分を受け入れてしまいそうになる。兄貴分と弟分の、本人たちは切羽詰まっていると思っている、呑気な会話が小燕枝師の雰囲気と合っていて楽しい。
トリは一蔵師。「さすが扇橋さんと小燕枝さんは後輩なので、昨日の仕返しとして長々とやったりしない。昨日なんて今の時間でようやく仲入りくらいでしたから」。どんだけ長くやってたんだろう。座布団席だったら腰が大変なことになってそう。
「この三人集の会は三夜連続とか五夜連続とか多くてキツかった。中でも一番キツかったのが『御神酒徳利』をネタおろしする会。その頃は忙しくて本番5日前からやっととりかかった。その間にもボートの仕事とかもあって、レースの合間に稽古するという……。だからそのとき一緒にいたスポーツ新聞の記者は私のことすごく勉強熱心だと思ったんじゃないですかね。で本番当日の朝までかかってようやく覚えた」。え、それって誰に教わったってことになるんだろう。アゲの稽古とかってしないの? よくわからん。
趣味の博打の話から『死神』へ。死神が登場するときに「アバラが浮き上がるほど痩せて……いない」となり、「死神ってのは痩せてるんじゃねえのか!」というツッコミに「喬太郎! ……歌武蔵! ……一蔵の死神は太ってる」というのがおかしい。
一蔵師の主役の男はとことんクズで、おかみさんが人格者というのが他の人と少し違っている。結局はクズは死に、いい人がそのまま他人を助け続けるという、ちょっとだけいい話というか救いがあるというか。
最後に三人揃ってご挨拶。「最後だっていうのに『死神』ってどうなんですか」「一席めに『殺せー殺せー』っていってて、次が寺の噺、その後に人が死んだ噺で最後が『死ね! 死ね!』って言ってるって……」と見事に縁起の悪いというかそんな噺が揃っていた。
最後は三本締め。
最後はせっかくなのでお見送りに出ていた三人を撮らせてもらう。まあ機会は今後もありそうだけれども。
RICOH GRII
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