三遊亭兼好独演会けんこう一番！春スペシャル [落語]
三遊亭兼好独演会けんこう一番！春スペシャル
於：大手町 よみうり大手町ホール
三遊亭兼好『近日息子』
三遊亭けろよん『味噌豆』
三遊亭兼好『花見酒』
佐藤和哉 篠笛
三遊亭兼好『紺屋高尾』
なんかこの会場だといつも到着がギリになる。今日もそこそこ余裕持って出たはずなのに、久しぶりにきたからか曲がる道を一本間違える。するとあのあたり特有の細かい信号にことごとく阻まれ遅々として進まない。結局席に着いたのは開演1分前。
この会は開口一番が兼好師だから遅れるわけにはいかない。
兼好師の一席め、成人の年齢が今年度から18歳になったことについて触れる。とはいえ酒もタバコもギャンブルもこれまで通り20歳からだそうで、「それじゃ意味ないですよねえ。酒呑みながらタバコ吸って、有金すべて突っ込んで『来い、来い、……あぁ〜……」てのをやって大人になっていくんですから」。まあ俺はやったことないけれども。
「私前から言ってるんですけど、これだけ少子化だなんだっていってるなら、逆に成人の年齢を上げちゃえばいいんですよ。35歳で成人ってすれば、ホラ子ども増えた」……ってそういうことじゃないと思うなあ。「18歳から35歳までの間で、大人にふさわしいとなったら大人、でいいんじゃないですか。藤井聡太くんなんてすぐ大人ですよ。こないだ記者に『五冠獲って今は富士山でいえば何合めですか？』って聞かれて、『まだ森林限界の手前でしょうか』って答えたんですから。そんなこと言えないですよ。噺家なんて8割は『森林限界』って言葉知らない」。
そんな大人と子どもの話からいつまでも子どものままの与太郎の噺に入る。
相変わらず長屋の連中がぱあぱあと繰り広げる丁々発止の争いがたまらない。
けろよんさんは「師匠の後に出るのは初めて」だそうで。今後は増えていくでしょうねえ。
『夕立や』『九日十日』『味噌豆』の小咄3つを連続で。
兼好師の二席め、先日けろよんさんを連れて上野公園に行ったそうで、「花が満開だったんですがやっぱり弟子と行ってもつまらないですね。『花が満開だなあ』と言ったら、女性と一緒だったら『わーきれー』とかなんか華やいだ返しがあるのに、アイツは真面目だから『はい、満開でございます』だって。面白くもなんともない」だそうだ。
それとやはりというか今のご時世花が満開なのにその下に酔っ払いがひとりもいない、ということに驚いたそうだ。仕方がないこととはいえ、やはり花見には酔っ払いがいないと寂しいと『花見酒』に。
兼好師では実に7年振り。そんなに聴いてなかったっけ。まあ季節の噺だから、都内で同じネタをひと月は掛けないという兼好師では空いてしまうのも珍しくはないのだが。
酒屋から元手の酒を借りようとして、「あそこの番頭は俺の兄弟分だから俺の頼みを聞いてくれるんだ」といいつつ、番頭に「ヤですよ熊さん『頼み』なんて。あなたとアタシは兄弟分なんですから何でもいってくださいな。そりゃこれまでのツケを帳消しにしろとか、商売の元手の酒を貸してくれとかはダメですけど」と先制されてしまうのがおかしい。
それでもなんとか説得し、「なるほどそれなら儲かりますね、なんで熊さんはそんなに頭がいいのに貧乏なのかわからない」と言われてしまうのも説得力がある。
ゲストは篠笛奏者の佐藤和哉さん。世の中にはいろんな楽器のパフォーマーがいるなあ。
兼好師も笛が得意だったんじゃなかったっけ。
兼好師の三席め、久蔵の病をピタリと当てた医者の竹内蘭石に対して親方が「先生、大したものでござんすねえ。おい若え衆集まれ。これから先生のことをヤブ医者とかいうんじゃねえぞ、大先生と呼べ」と言ってくれたのに、わかったのにはタネがあると割ってしまうと「おい若え衆もう一度集まれ。これから先生のことをヤブ医者とか大先生とかいうんじゃねえぞ、詐欺師と呼べ」という持ち上げてからの落としが楽しい。
金が溜まって「高尾を買う」といった久蔵に対して「大名道具ってお前……ああいうのは鷹匠ってのがいて、その人が笛をピュって吹くとバーっと飛んできてウサギとか咥えるんだろ？ そんなもの買って楽しいのか？」というお約束の勘違いをする親方に向かって「言いたいことはそれだけですか」と詰め寄る久蔵がたまらない。
兼好師は吉原のしきたりに沿って、対面してすぐに高尾が「次はいつきておくんなます」と問う型。そこで紺屋の職人であるということを打ち明けてしまう。
「来年三月十五日」当日になっても誰も本当に高尾が来るとは信じておらず、当の久蔵も当たり前のような顔で「そりゃきますよ約束していたんですから」といいながら気絶するのがおかしい。
花も咲いてだいぶ暖かくなったが、風はまだ冷たく、バイクだと結構冷える。まだ防寒をしっかりしてないと厳しいが、そうすると会場では暑いんだよなあ……。上着も荷物になるし。難しい。
於：大手町 よみうり大手町ホール
三遊亭兼好『近日息子』
三遊亭けろよん『味噌豆』
三遊亭兼好『花見酒』
佐藤和哉 篠笛
三遊亭兼好『紺屋高尾』
なんかこの会場だといつも到着がギリになる。今日もそこそこ余裕持って出たはずなのに、久しぶりにきたからか曲がる道を一本間違える。するとあのあたり特有の細かい信号にことごとく阻まれ遅々として進まない。結局席に着いたのは開演1分前。
この会は開口一番が兼好師だから遅れるわけにはいかない。
兼好師の一席め、成人の年齢が今年度から18歳になったことについて触れる。とはいえ酒もタバコもギャンブルもこれまで通り20歳からだそうで、「それじゃ意味ないですよねえ。酒呑みながらタバコ吸って、有金すべて突っ込んで『来い、来い、……あぁ〜……」てのをやって大人になっていくんですから」。まあ俺はやったことないけれども。
「私前から言ってるんですけど、これだけ少子化だなんだっていってるなら、逆に成人の年齢を上げちゃえばいいんですよ。35歳で成人ってすれば、ホラ子ども増えた」……ってそういうことじゃないと思うなあ。「18歳から35歳までの間で、大人にふさわしいとなったら大人、でいいんじゃないですか。藤井聡太くんなんてすぐ大人ですよ。こないだ記者に『五冠獲って今は富士山でいえば何合めですか？』って聞かれて、『まだ森林限界の手前でしょうか』って答えたんですから。そんなこと言えないですよ。噺家なんて8割は『森林限界』って言葉知らない」。
そんな大人と子どもの話からいつまでも子どものままの与太郎の噺に入る。
相変わらず長屋の連中がぱあぱあと繰り広げる丁々発止の争いがたまらない。
けろよんさんは「師匠の後に出るのは初めて」だそうで。今後は増えていくでしょうねえ。
『夕立や』『九日十日』『味噌豆』の小咄3つを連続で。
兼好師の二席め、先日けろよんさんを連れて上野公園に行ったそうで、「花が満開だったんですがやっぱり弟子と行ってもつまらないですね。『花が満開だなあ』と言ったら、女性と一緒だったら『わーきれー』とかなんか華やいだ返しがあるのに、アイツは真面目だから『はい、満開でございます』だって。面白くもなんともない」だそうだ。
それとやはりというか今のご時世花が満開なのにその下に酔っ払いがひとりもいない、ということに驚いたそうだ。仕方がないこととはいえ、やはり花見には酔っ払いがいないと寂しいと『花見酒』に。
兼好師では実に7年振り。そんなに聴いてなかったっけ。まあ季節の噺だから、都内で同じネタをひと月は掛けないという兼好師では空いてしまうのも珍しくはないのだが。
酒屋から元手の酒を借りようとして、「あそこの番頭は俺の兄弟分だから俺の頼みを聞いてくれるんだ」といいつつ、番頭に「ヤですよ熊さん『頼み』なんて。あなたとアタシは兄弟分なんですから何でもいってくださいな。そりゃこれまでのツケを帳消しにしろとか、商売の元手の酒を貸してくれとかはダメですけど」と先制されてしまうのがおかしい。
それでもなんとか説得し、「なるほどそれなら儲かりますね、なんで熊さんはそんなに頭がいいのに貧乏なのかわからない」と言われてしまうのも説得力がある。
ゲストは篠笛奏者の佐藤和哉さん。世の中にはいろんな楽器のパフォーマーがいるなあ。
兼好師も笛が得意だったんじゃなかったっけ。
兼好師の三席め、久蔵の病をピタリと当てた医者の竹内蘭石に対して親方が「先生、大したものでござんすねえ。おい若え衆集まれ。これから先生のことをヤブ医者とかいうんじゃねえぞ、大先生と呼べ」と言ってくれたのに、わかったのにはタネがあると割ってしまうと「おい若え衆もう一度集まれ。これから先生のことをヤブ医者とか大先生とかいうんじゃねえぞ、詐欺師と呼べ」という持ち上げてからの落としが楽しい。
金が溜まって「高尾を買う」といった久蔵に対して「大名道具ってお前……ああいうのは鷹匠ってのがいて、その人が笛をピュって吹くとバーっと飛んできてウサギとか咥えるんだろ？ そんなもの買って楽しいのか？」というお約束の勘違いをする親方に向かって「言いたいことはそれだけですか」と詰め寄る久蔵がたまらない。
兼好師は吉原のしきたりに沿って、対面してすぐに高尾が「次はいつきておくんなます」と問う型。そこで紺屋の職人であるということを打ち明けてしまう。
「来年三月十五日」当日になっても誰も本当に高尾が来るとは信じておらず、当の久蔵も当たり前のような顔で「そりゃきますよ約束していたんですから」といいながら気絶するのがおかしい。
花も咲いてだいぶ暖かくなったが、風はまだ冷たく、バイクだと結構冷える。まだ防寒をしっかりしてないと厳しいが、そうすると会場では暑いんだよなあ……。上着も荷物になるし。難しい。
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