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遊馬百席 第63回 [落語]

遊馬百席 第63回
於:板橋 みやこ鮨

三遊亭遊馬『味噌蔵』『片棒』『八五郎出世』

いつもよりもだいぶお客さんの入りがいいようで、遊馬師も「今までの『遊馬百席』の中で一番の大入りじゃないか」とのこと。
「勉強会なので、『今日はこれを演ろう』とあらかじめ決めておくんですがね、これだけ初めてのお客様が多いと『笑ってもらおう、楽しんでもらわなければ』と欲が出る」ということで、迷っている様子。
スタンダードに立ち返って「寄席の三ぼう(ケチんぼ、つんぼ、泥棒)」の噺にしたようで、まずは『味噌蔵』。
番頭さんに計画を持ちかけて「そんなことができると思っているのか!……私もそう思ってた」という落差と、「番頭さんにどがちゃかしていただいて……」というところが大好き。
さんざん酩酊しているのに、旦那が帰ってきた途端にすーっと引いていく様子が楽しい。
いつも思うのは、供についていった定吉はお祝いでもお店の宴会でもご馳走も食べられず、ネチネチお小言だけ言われてかわいそうだなあということ。まあその後の支払いがないからいいのか。

さてその時産まれた子が大きくなり、子どもは全部で3人になり……と舞台はそのままに『片棒』へ。なるほど旦那が「赤西屋ケチ兵衛」なのは共通だし、そのつながり方はちょっと面白い。寄席では「噺がつく」から無理だろうけど、勉強会だからこそできる演出。
私は「ケチの噺」と聞くと一番最初に思い浮かべる。
この噺はやっぱり銀次郎の暴走部分が面白い。山車の上にからくり人形をつけて、電線に引っかかって顎が上がるとか、一体誰が考えたんだろう。
「テンテンテレツクテレツクツ、はーすってんはーすってん、おひゃいとーろー……」「うるせぇー!」というところは何度聴いても笑える。

三席めはおめでたく『八五郎出世』。
だいたいは八五郎が大家に呼び出されるところから始まるのだが、今日は妹のおつるがお殿様に見初められるところから。この形自体は、三三師で一度だけ聴いたことがある。
殿様に「妹をかわいがってくれ」とか「お袋に一度赤ん坊を見せてやってくれ」とか頼むシーンは素面のまま。酔った勢いではないところに八五郎の妹や母親を思う気持ちが出ている。まあ酔った勢いでなければ言えないというのも、江戸っ子の意地っ張りっぽくていいのだけれど。
都々逸の場面では殿様に「はーこりゃこりゃ」と言わせてご満悦。この茫洋とした感じの殿様も味がある。

今日は特に濃い感じがする会だった。遊馬師のサービスかな。
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