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三遊亭白鳥・三遊亭兼好 二人会 [落語]

三遊亭白鳥・三遊亭兼好 二人会
於:渋谷 伝承ホール

三遊亭白鳥・三遊亭兼好 オープニングトーク
三遊亭白鳥『ナースコール』
三遊亭兼好『氷上滑走娘』
三遊亭兼好『のめる』
三遊亭白鳥『真夜中の襲名』

会社で仕事中に今日この会があったことに気づく。うー明日までに終わらせておくべき仕事があるんだけど仕方ない。少しだけ残して会社を飛び出そうとしたところに微妙なトラブル。あーーもう。
しかし会社から渋谷は思っているより近い。割と余裕を持って会場へ着く。
大荒れだった天気もあって蒸し暑さがすごい。

まずはふたり揃ってオープニングトーク。
「聞くところによると兼好、お前家でクーラーつけてないんだって?」「あー、苦手なんですよ。家では扇風機を3台使って……」「そんなの熱風をかき回してるだけだろ。暑くないの?」「暑いですよ、でもそれよりもクーラーに弱いんで」「お前それ熱中症になるおじいちゃんの言い分だぞ……家族は何もいわないの?」「あー、だからカミさんは扇風機を我が子のように常に抱えて動いてますよ」。
白鳥師も自転車に乗ってるときに熱中症になりかけ、「視界が急に狭くなって道が輝いて見えて向こうに師匠が見えた」そうな。
出身の大学の話になり、兼好師から「(白鳥師の母校の)日大は大変ですね。やっぱり当時は大麻やってたんですか?」とアブない話が振られる。「俺はやってないけど〇〇同好会は893の集まりで……」なんて物騒なブラックジョークも語られる。白鳥師が昔パプアニューギニアで体験したある植物の根を水の中で叩いてその水を飲むという話になり、「……客席引いてるじゃねえか! この話は全部ウソです!」となる。はてさて。
白鳥師は「真理子ちゃんもかわいそうだよなあ、彼女のせいで薬物が広がったわけじゃないのに謝らされて。理事長になんかならなければ謝る必要なんかなかったのに。……でも『ルンルン』の頃は好きだったんだけど、最近ムカつくよね!? 『どこそこでフレンチを食べた』とか……」などと林真理子の擁護なんだかワルグチなんだか。
「次回やるときはまた前回のように兼好に俺の噺をやってもらって。兼好に合いそうな噺の音源を送っておくから。『蜆売り』とか。『こんな素晴らしい”蜆売り”があるんだ……』ってなるから」「なんかルンルンよりムカつくんですけど」と両師らしい応酬が楽しい。

白鳥師の一席め、「たくさん新作を作っていると、ある時期はよく掛けていたのに突然ピタッとやらなくなる噺がある。時代に合わなくなっていったり……。今日はそんな噺をします。5年ぶりくらいかな」と『ナースコール』に。
この噺どっかで他の誰かで聴いたと思ったんだけど、記録にない。天狗連でも聴いたことはあるんだけど、和泉師とかであったような気もするんだけどなあ。記憶違いか。
ちょっと足りない与太郎的なキャラの新人看護師みどりちゃんが主役の噺で、途中でエロオヤジの入院患者が「パンツを見せろ」というセクハラ的なギャグがあるのだが、先日それを池袋でやったら最前列のオバサンに「今はそういう時代じゃない」と高座の途中で説教をされたらしい。というような自虐ネタ(?)なども交えて。どこまでも破天荒でちょっとヤバい領域まで突き抜けたキャラが楽しい。

兼好師の一席め、最近の暑さに触れ、「こんなに暑いとイライラしてゴルフボールで車を傷つけたくなるのもわかる」と時事ネタを挟む。「今だと藤井さんと大谷さんくらいしか日本人を癒す人はいないんじゃないですか。藤井さんの名人就任式には会場の羽田空港に400人くらい集まったんですって。……白鳥師匠とふたりで林真理子のワルグチ言ってこの程度のお客さんしか集められないのとわけが違う」と自虐で笑いを取る。
「大谷さんも成績がすごくて顔も良くてスタイルも良くてそれでいて性格もいい。あそこまでいくと妬ましいとさえ思えないですもんね。以前だとそのラインに羽生結弦くんもいたんですよ。でも今では癒やされる人もいないんじゃないですか」と黒い笑みを浮かべる。
「結婚したのに奥さんの情報が全然ない。だから奥さんへのワルグチも言えないのでモヤモヤしてる人が多いんじゃないでしょうか。奥さんの写真があったりすれば『そんなにかわいくない』とか『美人だけど性格が悪そう』とか言いようもあるんですけどそれもできない。……それに会場を見渡してみると……この中には羽生くんと結婚できる人はいません。それに息子とか孫とかにできる人もいません。だから本来は羽生くんが結婚しようがどうしようが関係ないはずなのにモヤモヤしてるんじゃないですか」と説く。なるほど?
「まあでもあれだけのナルシストですから、奥さんは美人ではないはず。『自分を見て』という人がふたりいても合いませんから。多分癒し系じゃないですかね。羽生くんが好きな癒し系……くまのプーさんみたいな女性かもしれません。白鳥師匠が女装してるような」と容赦がない。
フィギュアの話題からそのまま『氷上滑走娘』に。今年は2月に一度聴いていて、年に二度というのは珍しい。
相変わらず座布団の上でのフィギュアスケートの表現が秀逸。年々細かくなっているような。

二席め、「一席めを袖で聴いてた白鳥師匠に『新作派にくる!?』と声を掛けられましたが丁重にお断りしておきました」。
「最近ではら抜き言葉なんかもだいぶ容認されてきているようで。ただ我々噺家はやはり昔の話をするんで、普段からカタカナの言葉を話さないように心がけてる。『トイレ』といわずに『はばかり』とかはよく注意されましたね」というところから噺家の言葉遣いに染められた娘さんのエピソードをマクラに振って口癖の噺へ。
相手の半公をすごく嫌なヤツとして描き、仲の悪いふたりとする人もいるが、兼好師の半公は「え、俺そんなこといってた? そりゃあすまねぇ、気をつけらぁ」とカラッと明るくいい人。
八公がご隠居に相談するときも「アイツはズル賢いところがある」などといわず、「アッシはそそっかしいでしょう」とあくまで自分がすぐに負けそうなのでという話に持っていく。
それだけに鰻屋の開店祝いのくだりもカラリと自然な流れで騙され、このふたりの関係性が微笑ましい。

白鳥師の二席め、「兼好さんの一席め、新作だったので驚いた。聞いてみたら年に一回くらいしかやらないそうで、そんな噺を新作の私との会だからやってくれたんでしょう。嬉しいじゃないですか、だってあんなフィギュアの仕草をクーラーの効いてない家の中で稽古してきてくれたんですよ」。たしかに想像してみるとシュールでそれだけでおかしい。
「私も普段やらない噺をしようかと。この噺は作ったのは2009年ということは覚えてるんですが、それから14年ほとんどやっていない」そうで。
上野動物園で芸人ならぬ芸動物としてふれあい広場で働くパンダうさぎのピョン吉は、いつかはパンダの大名跡である「カンカン」を襲名したいと思っているのだが、その年に生まれたシャンシャンが継ぐことになり……というシャンシャンが産まれたことに合わせて作った噺なのかと思ったら、「襲名に親が出てくるなんておかしい」とか「襲名は客に認められることも大切だが、仲間内から認められなきゃダメなんだ!」とか。その年はどっかの二世が名跡を継いだらしく、「あのときは芸人は誰も認めていなかった。その披露興行の最中にこの噺を掛けたら席亭から出入り禁止になった」そうで、皮肉とブラックユーモアが効きすぎたパンチのある一席。いやすげえわ。

次回は兼好師がまた白鳥師のネタを掛けることを約束していたが……、次回の日程はまだ決まってないのかな。前回前々回は終演時にチケット予約を受け付けていたのだが今回はなし。とりあえず待っていよう。
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