SSブログ

第八十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好・桂宮治二人会 第二幕 [落語]

第八十八回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好・桂宮治二人会 第二幕
於:吉野町 吉野町市民プラザホール

三遊亭けろよん『雑俳』
桂宮治『饅頭こわい』
三遊亭兼好『高田馬場』
三遊亭兼好『町内の若い衆』
桂宮治『紺屋高尾』

夜席までマックで時間を潰す。
南太田ってホントなんもない。

夜席の前座はけろよんさん。
『雑俳』にはいろんな型があるんだろうが、今日のはこれまで聴いたのとはかなり違っていた。たまにじわっと兼好師っぽい仕草というかリアクションが出る。

宮治師の一席め、今日は昼夜で出番順を変えたという。というのも夜席なら自分の出番が終わったらすぐに帰れるというメリットがあるそうで。「兼好師匠が高座務めてる脇で『じゃ、お疲れさまでーす』ってできないじゃないですか」という理由らしい。
「夜席まで2時間空くんですよ。その間稽古するとかそんな真面目じゃないですから、なんかお茶飲むところとかないかなーって探したらここらへんホント何もないのね。夢庵とデニーズしかなくて、ファミレスはなーて思って1時間半ずーっと歩きっぱなし。疲れた……。兼好師匠は出てないから元気です」。兼好師匠は周りに何もないことを知ってるんだろうなあ。
「最近みなさんどうですか。感染してますか」。最近の感染者の増加でここまでシャレにできるまでになったんだなあ。まあシャレにならない人もいるんだろうけど。
「でも私は『みなし陽性』ですから。子どもが熱あるからって病院行ったんです。で、親御さんも検査しますか? って聞かれて、別に検査しなくてもよかったんですって。検査しなければ引っかかることもなかったんですよ。検査を受けない者勝ちですよ。多分ここにいる人たちも検査受けたら6割くらいアウトですよ」。まさかそこまでじゃないだろうけど、確かに何人かはいそう……。
「『陽性』っていうのも聞こえが悪い。『ティンカーベル 』ってどうですか。『検査の結果、あなたティンカーベル でしたよ』って。『粉かけてくれー』って」。粉?
怖いものつながりか「今怖いのはバカな指導者ですね。ボタンひとつで世界が終わるかもってビビりながら生きなきゃならない」としてそのまま怖いものの噺に入る。
「俺は四つ足のものはなんでも食っちまうんだ」と豪語する男に「じゃあコタツ食ってみろ」と吹っかける場面で「入船亭じゃねえぞ。アイツは今陽性で寝てる」と小辰さん情報も入る。確か共演する会がこないだあって、代演なしで他の出演者が頑張ったという話は聞いた。
「饅頭が怖い」と言い出す場面では「アタシ饅頭が怖いの」とそれまでの人格と変わっていきなりオネエになるのがおかしい。

兼好師の一席め、当然のごとく宮治師をいじる。
「わさびくんとこないだ会ったんですけど、恨んでるみたいですよ。宮治くんはずっと笑点レギュラーについて『自分じゃない』と言い続けていた。一之輔くんにもプライベートで『自分じゃない』って言っていて、『じゃあわさびなんじゃないか』っていう空気が流れて本人もその気になったみたいなんですよ。それでこれ。ガッと上がったところでドンッと落とされた。相当恨んでるみたいですよ。近いうちにわさびくんが宮治くんを刺すんじゃないかと……。でもあと数年のうちにチャンスは何回もあるでしょう。そうすればそのときはわさびくんじゃないの、と言ったら『それとこれとは話が別だ』、そうですよ」と対立を煽る。
噺家の仕事ぶりにも触れ、「我々は楽ですよ。前座が辛い、修行が辛い、といいますが、あれは志願者が殺到しないように言ってるだけ。似たような商売に講談師がありますが、あれは大変。人物の名前を間違えられないですから。登場人物が決まってるし、間違った歴史も言えない。そこへ行くと落語はゆるい。冒頭で子どもが『亀』と呼ばれていたのに、最後の方では『金坊』になっていることが普通にありますから」と暴露し、「さらに大道で商っているもので難しいのは蝦蟇の油売り」となって『高田馬場』に。
蝦蟇の油売りの口上は実に見事で淀みがない。さすが。
仇を見つけた蝦蟇の油売りの様子を長屋の連中に伝えている男が、驚きのあまりに買おうとしていた蝦蟇の油を思わず懐に入れてしまうという細かいくすぐりがやたらと楽しい。
仇討ちをひと目見ようと集まってきたお客を相手にしている店で飲んでいる酒がやたらと酸っぱく、一口飲むたびに身を縮めて「酸っぱっ!」と身悶えするのがおかしい。そのうち盃を口に近づける仕草をするだけで笑いが起きるというのもすごい。

兼好師の二席め、コロナが明けて保健所からいろいろと家族にうつさないように注意を受けたそうで、「マスクして1m以上離れる」、「一緒に食事しない」、「なるべく話さない」、「触れたものに触らない」などをいわれたそうな。「……うん、コロナの前からやってましたね。私は隔離されていたのか……」。うん、だいたいオチは読めていた。多分会場は「やっぱり」の笑いだったと思う。
そんな夫婦の話から『町内の若い衆』に。『高田馬場』は3年ぶりだしこの噺は4年ぶり。普段と違う噺が聴けて嬉しい。
主人公の男があの悪妻と所帯を持った理由としては、苦手の蛇に襲われているところを助けてもらったからだが、それが仕込まれていたというのがおかしい。助け方もまず蛇に石を当てた上でしっぽを掴んでフルスイングという、「二刀流!?」と驚愕されるのも時代に沿ってアップデートされている。

宮治師の二席め、これもまた4年ぶりくらい。やあ夜席はあまり聴いてない噺を一気に聴けてなんかすごいお得感がありますよ。
宮治師のは世間知らずの久蔵が、親方のところに「三浦屋の高尾と所帯を持つことにした」と勝手に決めて相談に来た型。久蔵のピュアさが現れている型だと思う一方、それはやっぱりありえないんじゃないの、と思ってもしまう。まあ『紺屋高尾』はファンタジーだ、っていう人もいますからね。そもそも全盛の花魁が「来年3月15日」で落籍できるはずもなく。どんなに長くてもあと1年で花魁が円満に辞められるはずもないしなあ。初回で床入りもないだろうし。まあそんなことをいっていたら楽しめませんね。
とにかく今日はお得な会だった、ということで。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

第八十七回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好・桂宮治二人会 第二幕 [落語]

第八十七回 よこはま落語会〜未来の大看板を応援する会〜 三遊亭兼好・桂宮治二人会 第二幕
於:吉野町 吉野町市民プラザホール

三遊亭しゅりけん『真田小僧』
三遊亭兼好『近日息子』
桂宮治『宿屋の仇討』
桂宮治『強情灸』
三遊亭兼好『品川心中』

今日は昼夜。勢いでチケット取ったけど、通しで8000円はやっぱちょっと高いな。

しゅりけんさん、明明後日には二ツ目に昇進して兼矢さんとなる。前座としては今日が聞き納めかな。最初の頃の危なっかしさやハラハラ感などまったく感じさせない堂々とした高座。

兼好師の一席め、満面の悪い笑みで宮治師のことを話す。「いまでは周りの扱いが違いますからね。後輩は皆キラキラした顔で見て『顔以外宮治さんになりたい!』って顔してる。先輩は前から『コイツ鬱陶しいな』みたいな空気出してたのがもっと強くなった」そうで。あんまり扱いよくないような気が。
「これからは宮治さんは日本全国を回って落語の面白さを伝える役割がありますから。これまでの笑点メンバーはひとりで700人くらい集める力がある。それでメンバーふたりの二人会で1000人くらいを集める、というやり方をしていたけど、それじゃもったいない。メンバーひとりで700人集めるんだから、メンバーふたりが別々の場所でやれば1400人集められるんですから」。まあそれはそうでしょうね。
「さてそうすると、誰と一緒に回るか、ということが重要になってくる。後輩じゃ荷が重い。同期じゃなかよしクラブになってしまう。やっぱり先輩とでしょう。といってさすがにさん喬権太楼じゃない。喬太郎師匠は『俺はひとりで行くからいいよ』っていうだろうし。白酒師匠はいいんですけど、見た目が面白いっていうのがつく。三三師匠は断るでしょう、『芸が汚れる』って。一之輔くんは笑点がらみでウソつかれてたことで険悪になった。そうなるとどうですか。……来年あたりは各地で兼好宮治二人会が開かれるかもしれません」。兼好師これ以上売れてチケット取れなくなると困るなあ。
噺はいつも通りの面白さ。長屋の連中がガヤガヤやっているところが好き。言い間違いをする男とそれを指摘する男がホントに仲悪そう。

宮治師の一席め、「どうも、TVスターです」。あれ、そういや笑点決まってから初か?
こないだの中野のらくご長屋は小辰さんの会と被ったのでパスしたら、小辰さんが陽性になるという……。当日じゃ入れないかもなーとそのままパスしたんだった。
「これまで友だちや仲間と思っていたのにいろんなものを失った気がします。ひとつ得るとひとつ失うんだと……。兼好師匠はなにも変わらないので安心しました」だそうです。
珍しくマクラをほとんど振らずに噺に入る。
江戸っ子三人が大騒ぎして止められる場面で、なかなか隣の客が侍だと気づかないのがおかしい。「ただ者じゃないってなに? パンダ? 二本差してる? 笹を?」とどうしてもパンダに持っていく。仲間から侍じゃないかといわれ、「そんなわけねぇよ、もし侍だったらコイツはもっと必死で止めてるはずだよ。……侍じゃねえよな? 侍? バカお前なんで俺を泳がすんだよ! 隣に聞こえたらどうすんだよ!」とパニくるのが笑える。
色事の話が終わり、「源ちゃんは色事師、色事師の源兵衛」と囃されるうちに座布団の上に立ち上がり「俺は色事師〜♪」とミュージカルのように歌い出すのがバカバカしい。

二席めもすぐに噺に入り、さらっと終える。
峰の灸の従業員のイントネーションがなぜか外国人のような関西系のような、なんかいろいろ混ざっているような感じなのがおかしい。
兄貴分が腕に灸を据えて熱さが伝わってきたときに「お前もう帰っていいよ。本日閉店です」などといろいろ帰そうとするのも笑える。

兼好師の二席め、落語界を昔の遊び場所に例え、「落語協会が吉原、芸協が四宿。圓楽党は岡場所で立川流が美人局」と相変わらず危ないことを言う。
兼好師の場合、最近は上だけで終わらず、下までやるのが通例になっている。
本来の下の部分の暗い感じがなく、むしろ明るいくらいなのが兼好師らしい。臆病者の子分や、すぐに気絶する元御家人の先生などいろいろキャラの立った人物たちの振る舞いが楽しい一席。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

お江戸なまらく両国亭 てんまんの会 その26 [落語]

てんまんの会 その26
於:日本橋 お江戸日本橋

三遊亭ごはんつぶ『わけがあって』
三遊亭萬橘『半分垢』
三遊亭天どん『長屋の花見』
ちゃぶ台トーク
三遊亭天どん『老後が心配』
三遊亭萬橘『駒長』

両国から一度家に戻るも、座る間もなくすぐにまた家を出る。とはいえ直で移動すると両国から日本橋なんで30分もかからないから時間が余り過ぎてしまうし。

この会は前売で買うとチケット送料が強制で発生し、それだけで当日券と同じ値段になってしまう。振込手数料を含めると結局当日券より高くなってしまう。ネットで買うとシステム手数料やら発券料やらで結局そういうことがままあるが、なんか微妙に釈然としない。まあそれらを含めても妥当な木戸なのでいいんだけど。最近金欠なので小銭に細かくなってセコイなというのは自覚している。
どうやらほぼ満席だったようだし、前売で買っておいて正解ではあったようだ。

ごはんつぶさん、前座の期間が長く、なかなか二ツ目になれずに客からもいろいろ言われることがあるという。そうなの? 見習い期間が長かったからか。「モチベーションが上がらないんじゃない?」と言われるというところから、宝くじが当たってやる気を失った社員と社長のやりとりを描く『わけがあって』。
前にも一度聞いているが、微妙に噛み合わないふたりの会話がおかしい。

萬橘師の一席め、オリンピックが終わって世間の話題がウクライナへ向いた、と話す。「なんかよくわからないですけど、ロシアへの制裁でソブリン債がどうとか。ソブリン債ってわかります? 音で聞くだけだとゆるキャラのお祭りみたい」。確かに。
ウクライナにはいいボクサーが多いそうで、「みなさんご存知」みたいな感じでどんどん語り出すが、会場にはほとんど伝わっていないのがよくわかる。
話がどう飛んでそうなったのか忘れてしまったが、お見舞いの返礼として皇室献上品のトイレットペーパーをもらったそうだ。それがとても柔らかいらしく、ちょっと引っ張っただけで切れてしまうのだという。萬橘師の息子さんが初めてのペーパー交換でそのペーパーを使ったそうだが、初めての上、そんなに柔らかいものだから大変だったようだ。トイレから出てきて発した一言がおかしい。
『半分垢』はあまり聴いたことがない。萬橘師では初めて。
大阪から帰ってきた関取が大きくなっていたと吹聴するおかみさんは何故そんなことをしたんだろう。落語には登場人物の行動原理がよくわからないものも多いが、この噺は特にわかりづらい。この人何がしたいんだろと気になってしまう。萬橘師ならうまいこと理由をつけられそうだが特に改変はなし。

天どん師の一席め、季節の噺をしたいのだが、最近は花の咲く時期が変わりやすいのでやりにくいという。「でもまあ扇橋師匠なんか二の席から花の話してましたけどね。『正月過ぎたら春だよ』って。『めっきり春めいてまいりました』とか言ってましたから。寒いわ! って思ってましたけど。こういうのは早い者勝ちですから。桜なんてね、入学式のあたりで満開になるからいいんですよ。それが早まったら毛虫が出るだけですから」と大学で行われていたライトアップのエピソードを交えたマクラから『長屋の花見』に。早いな……。
大家が長屋を三軒持っており、貧乏長屋は噺に出てくるところだけらしい。大家自身はそこそこお金を持っているようなのだが、やっぱりおちゃけだし、大根のかまぼこと玉子焼き。
なんでこんなことをするかというと、貧乏人が苦しんでるのを見るのが楽しいというとんでもない性格。いいですねえ天どん師っぽいですねえ。「こういうことをするためにお前らみたいなのを飼ってるんだからな」と言い放つ。飲め、食え、酔えとやってることはスタンダードな噺と同じなのだが、サドっぷりが突き抜けてておかしい。
重箱の中身も昆布巻きと海老が追加されているが、昆布巻きは炭に茶色の紐を巻いたものだし、海老はザリガニ。嫌がらせのためだけに婆さんとよなべして昆布巻きを仕込んだというのがたまらない。ザリガニも要所要所で出てきて指を挟まれるのがバカバカしくて最高。

仲入り後はこの会の特徴であるちゃぶ台トーク。
圓丈師のことについて萬橘師が話を振ろうとするも、ふたりともすぐにヤクルトの話やボクシングの話に脱線するのでなかなか話が進まない。
名古屋の圓丈師の話をする前に、萬橘師の地元の豊川の話をしろ! と天どん師が混ぜっ返す。が、萬橘師も豊川稲荷くらいしか思いつかないようで。
さんざん遠回りしてようやく話が戻る。が、「別に何もないよ。『死んじゃったなあ』くらい。形見分けもまだしてない」そうで。
ふう丈さんわん丈さんを引き取ったいきさつなども語る。特に話し合いなどもなかったそうで、「ふんわりと決まった」そうだ。というか上の人たちが揃って断ったそうで、その言い方がそれぞれ特徴的だったとか。
「弟子なんかリスクしかないじゃん。今後もし彼らが人を殺しちゃったら僕が一緒に謝んなきゃなんないんでしょ」。謝って済む問題かなあ。
「真打になったときに口上とか並ぶのやだよー。その期間だけ失踪しようかな」とかいろいろぶつぶつ。
ふう丈さんには「琴調先生と仲いいんだから先生のとこ行けば?」といってみたところ、「分野変わっちゃうじゃないですか!」と漫才のように手の甲で突っ込まれたという。「『お前さすがにそれはダメだろう! 師匠になるかもしれないんだぞ!』って小言言っといた」そうだ。よくあることとはいえ、兄弟子が師匠になるってのはお互い気苦労が多そう。ふう丈さん入門時にはまだ天どん師も二ツ目だったんだもんなあ。

天どん師の二席めは久しぶりに聴く『老後が心配』。
高座上でゴロゴロ転がりまわる噺だが、今日は舞台の上に高座を組んでおり舞台の上まで落ちる。舞台の上で転がりながら「予定にはなかったのに落ちたー。……思ったより高かった……これどうやって戻ろう……」とゴロゴロ。「……まあいいか……」と普通に立ち上がって高座に戻り、反対側にも「一応落ちとこうか。……でも(高座に上がるための)段差あるから怖い……」と言いながら落ちる。「……地味に痛い……」だそうだけどしらんがな。
最後は高座の上でもう一度ゴロゴロするのだが手と足をわさわさ動かしながら「50になったらやめようかな……」とポツリ。まあ動きもそうだし、テンションを保つのが大変そう。

萬橘師の二席め、『駒長』も普段なかなか聴かない噺。まあ今のご時世には向かない内容ではあるけれど。
だからといって安易な改変などをしないのが逆に萬橘師らしいというか。今日は珍しく二席ともスタンダードな型。
しかしそれにしてもお駒は長兵衛を好きなわけでもないのにいやいや一緒にいる。なのになぜか立場的にはお駒のほうが上っぽい感じ。噺ができた当時には珍しくなかったのかもしれないが、今ではちょっと不思議な関係に映る。長兵衛は強気なんだか弱気なんだか、暴力的なんだか臆病者なんだかつかみどころがない感じ。これを違和感なくやるのは難しそう。
今日は二席とも珍しい噺が聴けて嬉しい。これならお得だなあ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

三遊亭遊馬のツキイチ落語会 [落語]

三遊亭遊馬のツキイチ落語会
於:両国 江戸東京博物館小ホール

三遊亭遊馬『転宅』『粗忽の使者』『崇徳院』

天気がいいので洗濯が終わったら早めに出かけてメシ食って会場近場で写真でも撮って……と思っていたら昼メシを食おうと訪れた店が定休日。そうなるとその店の周りは全然知らず、しかも徒歩ならぶらぶら歩きながらよさそうな店を探すのだがバイクなのでそれもできず。あてもなくバイクでふらふら走ってすっかり予定が狂ってしまった。ううむ。

遊馬師が毎月23日あたりに開いている会で、今月はたまたま祝日なので初めて来れた。
つか遊馬師を聴ける機会が少ない。
聞いてみたら後援会は解散してしまって、もう板橋のみやこ鮨での遊馬百席はもうないのだとか。なんと。
いや後援会入ってなかった俺が言えた義理ではないのだが。
土日で都内近郊で会やってくださいよとLINEで頼んでみるもあまり色よい返事がない。

そう思っていたら、ほぼそのままマクラでその話が出た。
聞けば遊馬百席がみやこ鮨でできなくなったために改めて勉強会を開こうと会場を探していたところ、ここを見つけたのだとか。平日の昼間なら他の人とかち合うこともないだろうと年間だかで一括で抑えているという。「お客さまは気軽に『土日で』というんですが、仲間たちも考えることは皆同じで会場がなかなか借りられない」だそうで。
いやいやそうはいっても。
「お客さまに『今日は祝日だから行けます』っていわれてようやく気づいた次第で……今日はいつも来ていただいているお客さまもお気づきかと思いますが、人が入っている。いつもと違う風景で驚きました」。ほらー、土日なら客が入るんだからやってよー。まあ「祝日だから行ける」ってLINEで予約したの俺だけど。
で、この会場も再来月からまた改修が始まるため、来月でツキイチ落語会はいったん終わり。「改修が終わるまで待つか、他の場所を探すか……。あとはもう勉強しないということも考えられますが」っていやいや。でもなんかあんまり積極的にやらなさそう……。なんかどこか欲がないというか。

客席には小さな子もいて、どうも遊馬師の『こども落語』シリーズを聴いているっぽい。そんな会話がちらっと聞こえてきた。落語とのファーストインパクトで遊馬師はとてもいいと思います。というか俺も近いものがあるので。
そんな小さな子もいるのでどうしようかと思いつつ普通どおりに、とお妾さんの噺に。
泥棒が旦那の食べ残しを漁る一品目はだいたい刺身だが、その後の品がそれぞれ人によって異なっていて、それがなんとなく楽しい。遊馬師はイカ納豆。なんでそんなものを。
泥棒が酒に弱いににも関わらず、お菊にいわれて駆けつけ三杯飲まされてキッチリ戦闘能力を奪われていくのがおかしい。

二席め、噺の主役が治部田治部右衛門と三太夫から留っこにシフトチェンジをするパターンとしては、治部右衛門が屋敷に到着したら視点を留っこに変えて留っこが会話を再現するものと、ある程度までは侍ふたりが話していて途中から留っこに変えるもの、尻をつねる最後まで侍視点で進むものといくつかあるが、遊橋のは3つめのパターン。噺の半分くらいでいきなり留っこが登場して主役が変更される。そういうのを違和感なく展開できる落語ってすごいな。

三席め、入れごとや脱線も少なく、スタンダードな型。でもなんだろ、そこここの細かいところに兼好みを感じるのだけれども気のせいだろうか。なんかやたら明るい熊さんとか「三軒長屋、みーつけた」と歌うところとか。
若旦那が病を告白するときに、「でもお前さん、下品に笑い出しそうだから……」というフリからの熊さんが「肥(こえ)患い」と聞き違えて盛大に笑うという伏線を回収する。これは初めて聴いたかな。

というか三席とも私が最後に行った遊馬百席で掛けた噺だった。偶然なのか意図的なのか。とはいえ久しぶりに複数のネタを聴けてよかった。

終演後、お見送りに出ていた遊馬師と久しぶりに声を交わすも他の人も多いので「どうもご無沙汰」程度。やっぱり土日の会が必要だなあ。
タグ:三遊亭遊馬
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

けんこう一番!第十九回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第十九回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『雛鍔』
三遊亭しゅりけん『小言念仏』
三遊亭兼好『うどんや』
のだゆき 音楽パフォーマンス
三遊亭兼好『崇徳院』

危なかった。完全に今日だってことを忘れてた。
いつも通りに会社で仕事して、なんならちょっと遅くまで残業して仕事片付けようかと思っていたところ、iPhoneが「もうすぐ行われるイベント」としてリマインドを出してきた。あん? 今日なんか予定入れてたっけ、と確認して大慌て。あたふたと後片付けして会社を出る。こりゃ明日の俺が大変な目を見るパターンだ。
幸いまだ発券していなかったので、オフィスビル内のコンビニで発券してチケットも用意できた。
急いで移動して5分前に到着。なんか国立演芸場っていつもギリギリのような気がする。

さて一席めはやはりこないだも話していたコロナの言い訳から。
兼好師がコロナに感染したと知ったしゅりけんさんの第一声は「マジっすか、すげえ」だったそうだ。「アイツは『マジっすか』が尊敬語だと思ってますから」と暴露。
10日ほど休んでからの復帰高座では「待ってました!」の掛け声……などはまるでなく、そちらの方がコロナよりもダメージがあったとか。
とはいえ噺家は長い商売で60歳70歳まで続けてようやく評価されるので、数週間、なんなら1年休んだところで大したことはないという。
それを思えば、一発勝負の受験やオリンピックでカンニングやクスリをやってしまうのは仕方ない、とブラックなことを言いだす。
こないだの共通テストでのスマホを使ったカンニングはいかにも今どきだ、といい、「私がカンニングしてたときなんて……え、してませんか? してたでしょ?」と鉛筆を細工したカンニングの思い出を話す。まあ中学時代は似たようなことしてましたね。
親というものは受験だけじゃなくて子どもに習い事をさせたがるが、それでオリンピックに出られるのは本当に特別な才能が必要で、それには親も他の人とは違うのではないか、という。それでも親というものは子に期待をしてしまうもので……と『雛鍔』に。
兼好師の『雛鍔』は久しぶり。こういった時季の噺はめぐり合わせによっては結構間が空いてしまう。
お店の番頭さんとの会話の場面の後にある、おかみさんに小言を言いながらお茶と羊羹を用意させるシーンが楽しい。来客用に羊羹を切りながら一切れ食っちゃうおかみさんの天然ぶりも明るくてたまらない。
金坊の「こんなもーのひーろた、こんなもーのひーろた」がやたらとわざとらしく、それを見たお父つぁんの「この野郎……」という表情がおかしい。

しゅりけんさん、「まさかバラされるとは……」といいながら全然こたえてなさそうな感じ。兼好師も「ああいうのが一年後にすごい伸びてるか破門されてるかどっちか」と言っていたが、俺は伸びるんじゃないかなーと期待している。
とはいえ今日の『小言念仏』、悪くはないんだけどちょっと聞き取りづらかったように思う。念仏のところとぎゃーぎゃー小言をいうところとトーンというかテンションが同じなので、ぱっと聞いたときに今は念仏なのか小言なのかの区別がつきづらかった。

兼好師の二席め、先日松山へ行ったときにラーメン屋に入ったのだが、メニューに鍋焼きうどんがあったためにそれを頼んでしまったエピソードをマクラに。
その店は挨拶の声も小さく、基本的にやる気を感じなかったという。しかも鍋焼きうどんの鍋が歪んでいたそうで、箸を入れると鍋が回転したのだとか。……俺は店で鍋焼きうどんを頼んだことがないので知らないのだが、鍋焼きうどんてそういうものなの? 俺は小さい土鍋に入ってるものだとばかり思っていた。
結局のところラーメン屋でうどんを頼んだのが間違っていた、というようなところから『うどんや』に。
酔っ払いが「おじ様、さてこの度は」と再現しようとして炭火に手を近づけ過ぎて「あっつっ!」とそこだけ素に戻るところが芸が細かい。話がリピートしても毎回やるのがおかしい。

のだゆきさん、こういうすごい実力を持った人がチープな道具で超絶テクを見せつけるの好き。
まずはイヤリングのように付けていたミニハーモニカで『聖者の行進』を吹き、いつものようにピアニカでファミリーマートのテーマを奏でる。
鍵盤がついてるのに音色はリコーダーという珍しい楽器も。
配信用の画角の関係なのか、座った体勢のままでというのは珍しい。

兼好師の三席め、春になってくると人間も盛りがついてくる、と『崇徳院』に。
この噺を聴くたびに毎回書いている気がするのだが、やはり若旦那から恋煩いを打ち明けられたときの、熊さんが笑うまいと必死に取り繕おうとするところが最高。あの場面でここまで会場を沸かせられる人は他にいないんじゃないだろうか。
そんな明るい熊さんが、「お嬢さんがどこの誰だかわからない」と聞いたときに「あらー……。じゃあダメだ、諦めなさい」とあっさりと冷たく突き放す温度差がまたたまらない。
最後の床屋のシーンで、どこかの棟梁がお嬢さん側の人間だと気づいたときの表情がまた。「三軒長屋、見ーつけた♪ 三軒長屋、見ーつけた♪」と迫っていくのだが、今日はそこがからくり人形のような動きになっており、ホラーチックなおかしさがあった。

いやー危なかった。こんな楽しい会を忘れてたらダメージ半端なかったわ。いつもはリマインダー鬱陶しいな、と思ってたけど感謝だわ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

高円寺演芸まつり(第12回) おしくら饅頭、四派でドカン [落語]

高円寺演芸まつり(第12回) おしくら饅頭、四派でドカン
於:高円寺 座・高円寺

立川笑えもん『つる』
立川談笑『猫の女郎』
三遊亭兼好『宿屋の富』
林家彦いち『掛け声指南』
桂文治『ラーメン屋』

腹が痛い。
なんか昨日からずっと腹具合がおかしい。なんか変なもの食った覚えもないのになあ。
今「おぼえもない」って打ったら「お墓絵もない」だって。は? と思って打ち直したら普通に「覚えもない」って出た。iOSってたまにいきなりバカになるよね。

さて毎年恒例の四派でドカン、昨年は遊馬師で俺得だったのだが、今年はオリジナルメンバーの文治師。先週に引き続き高円寺に電車で向かう。なんで週末狙って雨降るんだよ。

前座は談笑師の四番弟子の笑えもんさん。
確かに丸顔で丸い体型でドラえもんぽい感じではあるが。

談笑師、この会はいつの間にか会場入りした順番で高座に上がるようになったため、みな楽屋入りが早く、1時間前には全員揃っていたという。久しぶりに楽屋で馬鹿話に花が咲いて楽しいという。
談笑師は自宅が方南町だそうで、高円寺は近いのでこの辺もよくくるという。
最近は同じ時間に散歩しているそうで、歩いていると有名人をよく見かけるという。
こないだは某元メジャーリーガーが奥さんと子どもと一緒にいたところを見たそうで、奥さんが子どもをすごい勢いで怒っていたとか。
また、散歩ルートにものすごいセクシーな格好をした一門で話題になっている人がいて、一度ついていってみたことがあるそうだ。なにしてるんですか。そして行き先を突き止めて「わかったぞ!」と弟子たちに連絡したところ、笑二さんと笑えもんさんはすでに知っていたという。一門で何してるんですか。
結局は歌舞伎町が行き先だったようで、噺もそっちっぽいものに。
猫の恩返しみたいな噺で、恩返しのために猫が化けて女郎屋に売られそうになるというもの。
冒頭で熊さんが自分の家に帰ってきたら八っつぁんがいて、八っつぁんだと思ったらご隠居で、ご隠居かと思ったら八っつぁんになる……というルパン三世のような場面が楽しい。

コロナから復帰した兼好師、復帰後は初。重症ではないことはインスタなどで見て知っていたのでさほど心配はしていなかったのだが、やはり元気な姿を見るとホッとする。
「言い訳するわけじゃないですが、すごく気をつけてたんです。でも罹った。思ったんですが、ちゃんと気をつけている人の方がオミクロンには罹りやすいんじゃないですかね。『笑点』だってすごく気をつけている昇太師匠やたい平師匠が罹って、なーんにも考えていないウチの師匠とか小遊三師匠、木久扇師匠のおじいちゃんたちは平気。でも考えてみれば、まだコロナに罹ったのは少数派。ということはこれは逆に運がいいのでは? と思ってネットで宝くじを買いました」そうだ。当たったら噺家をやめる、ということなので私としては外れることを祈るばかり。
宝くじの話から『宿屋の富』に。
いつも湯島天神の境内でワイワイやっている場面が楽しく、その中でも特に「二番富が当たる」と言い張る男の話が面白い。天神様が夢枕に立ったというやり取りで、天神様がやたら軽い。「じゃあお前に当ててあげる」と言っていたのに、困った顔で「お前に当ててあげることができなくなったんだ、ゴメンね」とやるのがなんとも兼好師っぽい。

彦いち師、軍歌をかけながら売り歩く山梨の桃屋の話や、体育会系の新幹線での自由席の鉄板エピソードを。「なにを話すかまだ決めてない」といいながらタイ人のムアンチャイが他人を応援する噺に。「お客さんが引いてるけどもう始めてしまったからやめられないぞお。『お父つぁんアメ玉買って』とかに引き返せない。やるしかない。このまま行きます!」と決意。まあ面食らいますな。
とはいえなんかタイ人の話すタイ訛りの日本語がなんかやたらそれっぽい。彼らは確かにああいうイントネーションで話すんだよなあ。

文治師も新作で、古典は兼好師だけ。まあ確かにこのメンツならそうなることもあるか。
ラーメン屋台を営む老夫婦のところに食い逃げの男が来るという噺なのだが……さすがにストーリーに無理がありすぎるし、正直気持ち悪い。なんかテレビとかでもやっているようで、代表作のひとつなんだろうか。ぶっちゃけキツかった。見ず知らずの他人に金払ってまで「お父つぁん」「おっかさん」と呼ばれて嬉しいか? ちょっと私は無理。

ロビーで開かれていた柳家紫文先生の追悼展を見てから帰宅。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

高円寺演芸まつり(第12回) 演芸まつり寄席 第三部 [落語]

高円寺演芸まつり(第12回) 演芸まつり寄席 第三部
於:高円寺 長仙寺

三遊亭栄豊満『猫と金魚』
春風亭昇也『壺算』
春風亭一蔵『短命』
立川吉笑『ぷるぷる』
林家はな平『寝床』

中野の扇辰師の会からそのままひと駅隣りの高円寺に急いで移動。
今日は「一蔵ひとりの会」があってそっちも行きたかったのだが、扇辰師の会もチケットとっているのでどうしてもそっち優先になってしまう。せめてこの会には行って一蔵分を補充しなければ。
扇辰師の会が16時50分くらいに終わり、この会は17時開演。
おそらく真打間近の一蔵さんがサラ口ではないだろうと踏んで少し遅れて会場に到着。でも5分くらいしか遅れなかった。バイクで行ければもっと早く着けたかもしれないが今日は雨なので電車。とはいえバイクを置ける場所からは歩くことを考えるとあんまり差はなかったかも。

というかこれ今年真打に昇進する人ばっかりじゃん、大丈夫かな? と慌てて木戸銭を払って2階に上がると一蔵さんと出くわす。「いつもすんません」みたいな挨拶を受けるが多分「今日コイツひとりの会には来てなかったな」とバレてるはず。ここ最近なんか一蔵さんとタイミング合わないんだよな。でも間に合ってよかった。

会場に入ると栄豊満さんが『猫金』に入ったところ。
んー? 顔が暗いな……(物理的に)。でも普通の座敷だし仕方ないのか? と思って上を見るとちゃんと照明があるのについていない。あらら。
栄豊満さんのはカシラの寅さんが猫が苦手と最初からわかっていて猫とおっかなびっくり対峙する型。個人的には風呂場に行くまでは威勢よくて『きゃー、やめてー』で猫が苦手だったとわかる方が好き。

一週間前に足を骨折したという昇也さん、見台を前に置き、小さい椅子のようなあいびきという器具を使って座る。
『笑点特大号』のレギュラーでもある昇也さん、最近宮治師に決まって「残念でしたね」といわれることも多いが別に残念でもないという。「そもそも三平師匠が降板することの方が想定外でしたから。私が狙ってるのは黄色か紫の位置。以前紫が体調不良のときは私が代わりを務めたんですから。……それに水色とピンクはやる気がない。なんなら座布団運びだってあの人じゃなくてもいい。そう考えるとあと5回はチャンスがある。それを全て逃したらそこで初めて『残念ですね』といってください」だそうで。
噺に入ると……うん、これは兼好師のだな。「いいの買ったねっと! いいの買ったねっと!」が一番わかりやすいが、番頭のあの一見人当たりが良さそうで実は腹に一物抱えてそうなあの感じ。兼好ニストである私には簡単に見極められますな。

一蔵さん、最近行った地方の落語会の出来事をマクラに。無料の上、さらにお茶が2本貰えるという会だったそうで、お茶目当てのお客さんがたくさんいたそうな。外の空気を吸いに行った帰り、エレベーターでまさにお茶目当ての婆ちゃんと乗り合わせて会話をしたそうだが、その婆ちゃんが最前列にいたという。さすがに婆ちゃんも気づいたようで、そのリアクションを面白おかしく話す。
一蔵さんの『短命』は久しぶりに聴いたように思う。
一時期のとにかくわーわーまくし立てて押しっぱなし、というのではなく、全体的に抑えめにして後半に向けて徐々にアクセルと踏んでいくという感じに変わっていたように思う。
それはそれでもちろんいいのだが、あの暑苦しいまでの押し一辺倒というのも良かったんだけどな。

吉笑さん、前座の頃は高円寺に住んでいて、快適だったらしい。とはいえ徒歩20分という遠めの物件だったそうで、両隣と上の部屋の住人も夢追人だったそうだ。ひとりだけサラリーマンがいて、それが逆に怖かったとか。
噺は親方から預かった松脂をなめてみたら唇がくっついてプルプルと震わせながらでないと喋れなくなってしまったというもの。
まずはその発想力に驚く。そしてプルプルいわせながら噺を実行するところも驚く。
最初のうちは相談を受けているご隠居の通訳がないと聞き取れないのだが、噺が進むに連れだんだんと何を言っているかわかるようになっていくのも驚く。これ計算してプルプル加減を変えているなら相当稽古したんだろうなあ。

はな平さんは旦那が「自分は上手い」と信じて疑わない型。
一度へそを曲げてしまっても、その自信が揺らがないのはすごい。どっかの根岸のお人のよう。

雪の予報が外れたのはよかったが、それでも寒さは厳しい。早く春にならないかなー。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

扇辰・誕生日記念独演会 [落語]

扇辰・誕生日記念独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『十徳』
入船亭扇辰『片棒』
入船亭扇辰『徂徠豆腐』

最近は駅前で都が無料のPCR検査とかやってんのね。
会社の最寄駅でもやっていて、会社から受けるんだったら外出していいと言われたので、せっかくだから受けてみる。会社でも2人陽性が出たし、無症状だったりしたらかなわんし。
とはいえそれで1週間休みとかになったらそれはそれでヤバいのだけれど。
結果が出るまで2〜3日かかると言われていたが、実際には翌日には結果が出てめでたく陰性。
とはいえこんだけ落語行ってることは職場には言えんな。

さていつものオフィス10の独演会なのだが、いつもとは会の名前が変わっている。
文字通り今日は扇辰師の誕生日だそうで、辰ぢろさんの高座でも拍手の練習を行う。

その甲斐あってか扇辰師が高座に登場したときには万雷の拍手。しかし「拍手の練習したでしょ。心がこもってない。『やりゃあいいんだろ』って感じがする」とツンデレなことをおっしゃる。
もともと自分の誕生日には特になにもしないそうで、おかみさんの奢りで夕食、という程度だそうだ。
師匠の扇橋師は自分の誕生日が大好きだったそうで、「僕のお誕生日会をやります」と言っていたそうだ。「俳句をやってて言葉にはうるさい師匠だったのに……」とちょっと遠い目。師匠のリクエストしたプレゼントを弟子たちで購入していたそうな。
「去年は小辰と辰乃助が朝にいきなりきた。手ぶらで。いや何もいらねえけどさ、でもなんか持ってこいよって話でね。今年は電話すらない」。いや小辰さんは午前中から仕事があるからでは……。
以前は映画の招待券をもらったこともあるそうだが、その映画が大層つまらなかったそうで、今年は扇橋師にならって防寒靴をリクエストしたそうだ。
それを今日おろしてきたという。
「それで思い出したんですが、子どもの頃は新しい靴をおろすときは部屋の中で履いてそのまま玄関に降りてたんですよ。何でかなーと思ってたんですが、昔の弔いは土足で居間に立って一本箸でぶっかけ飯を食べる習慣があったんだそうですよ。つまり縁起が悪いんですが……本来靴をおろすっていうのはいいことのはず。親父と祖父さんは靴を作る仕事してまして、だから縁起が悪いってのに抗ってたのかもなあ、と……。……誕生日なのに弔いの話になってしまいましたが……」と『片棒』に。
扇辰師の『片棒』は久しぶり。
兄弟を金と銀のふたりだけにしているので、実際には「片棒」という単語はまったく出てこないんだけど。
でもあの番頭さんが出てくるサゲならもう少し足せば「私も片棒担いでますから」とかできそうな感じだけどなあ。まあ扇辰師がそれを考えなかったとも思えないし、多分ボツになったんだろう。
扇辰師は音楽をやっているからか、銀の狂乱の祭囃子がとにかく上手い。笛や鉦や太鼓の口三味線でもダイナミズムをつけていて、とにかく盛り上がる。思わず中手が入るほどで、それを受けて大旦那が「店の者も拍手するんじゃない!」とさらに噺に盛り込んでくる。

二席めは黒紋付に袴姿。「正装してきました」と腕を広げる。
やはりおめでたい席での噺といえばまあ『徂徠豆腐』となりますな。
今日もクサさ抑えめで端正な感じに。やっぱり扇辰師はこういうのが好きです。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

日本橋三人船 [落語]

日本橋三人船
於:日本橋 食堂ピッコロ

オープニングトーク
入舟辰乃助『阿武松』
入船亭遊京『弥次郎』
入船亭小辰『不動坊』

年末あたりから胸が痛むことがあるのでCTを撮ることに。一度医者に診てもらったときには「心臓じゃなさそうだし胆石じゃないか」ということらしいのだが。何もなけりゃいいんだけど。

この三人船は企画自体は去年から動いているのだが、コロナで3人集まれず、組み合わせを変えて二人会の形で何度か行っていた。小辰さんと辰乃助さんの会には行ったな。3人集まるのは一年越しだそうな。
オープニングトークでは3人揃ってそんなような話を。
また入船亭の若手の噂話なども。
辰乃助さんはなぜかお互いの家から1時間位の場所で偶然辰ぢろさんと会ったらしい。橋の上でじっと考え込んでいたそうで、「『文七元結』か!」というツッコミが入る。「財布ぶつけて帰ってきたの?」という追い打ちも。
小辰さんの扇橋襲名についてもいろいろ聞こう、となったが脱線が多くてなかなか肝心なところには入っていかない感じ。
たっぷりと40分ほどトークが続く。

辰乃助さん、持ち前の明るさで、板橋宿での場面も悲壮さはまったく感じさせない。なので全体的にカラッと明るめで湿った感じがまるでしない。
でもそれが辰乃助さんの良さのように思う。変に人情噺っぽくせずに軽く聴かせる。

遊京さん、二ツ目昇進後に行った中国一周の話をマクラに。その時一緒に行った人も今日の会にきているという。いろいろとおかしなエピソードが語られる。名所にまつわるエピソードが急に「は?」という展開になるのは日本も中国も同じらしい。
イノシシで終わらず、山伏のホラまでフルサイズ。ここまで聴いたのは初めてかもしれない。

小辰さん、「あの『弥次郎』は大師匠がよくやってたもので……。やっぱりアイツは扇橋欲しかったんだなあ。……ゴメンね」と謝る。
噺はもう相変わらずの面白さ。吉公の狂気は今日はちょっと抑えめ?
屋根の上のわちゃわちゃがメインの笑いどころに持っていっている感じ。
前座に幽太を頼むときも「怪談噺結構ですな。私、怪談噺たくさん持ってます。では『弥次郎』を……」と遊京さんにも絡む。
屋根の上で仲間割れしたときも「あんころ食えよ。ほら食え!」とちんどん屋の万さんが迫るのもおかしい。

来週は同じ会場で「冬のコタツ」。今回はネタだししてないのかな。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

新宿末廣亭 令和四年二月上席 2月6日 [落語]

新宿末廣亭 令和四年二月上席 2月6日
於:新宿末廣亭

昼席
柳家権太楼『町内の若い衆』
柳家㐂三郎『時そば』
ロケット団 漫才
橘家文蔵『目薬』
柳家はん治『背なで老いてる唐獅子牡丹』
柳家小菊 粋曲
柳家喬之助『茶の湯』

夜席
三遊亭ごはんつぶ『子ほめ』
三遊亭青森『新作(高橋留美子伝)』
たにし 漫談
三遊亭れん生『ゾンビちゃん』
隅田川馬石『垂乳根』
おしどり 夫婦音曲漫才
古今亭志ん五『トイレの死神』
古今亭志ん橋『居酒屋』
林家正楽 紙切り 相合傘 節分 牛若丸と弁慶 双子パンダ
柳家さん喬『転宅』
三遊亭わん丈『矢橋船』
青空一風・千風 漫才
柳亭燕路『幇間腹』
林家きく麿『歯ンデレラ』
マギー隆司 奇術
三遊亭天どん『寄席ダイエット』

もっと早い時間に出ていた三三師やアサダ2世先生も見たかったが、二度寝して家のこととかしてたら遅くなった。
昼席仲入りの権太楼師に間に合えばいいかと入ったらちょうどマクラのところだった。

㐂三郎師、ダブルピースをする客も少なく「アウェー感がある」とのこと。
㐂三郎師の『時そば』は上方の『時うどん』をそばに変えた型。男の奇行に頭を抱える2軒めの蕎麦屋の親父がおかしい。

はん治師、「若えモン」が60を超えたヤクザの高齢化を描いた噺。ヒットマンが老人ホームに入っていたり、昭和任侠映画の主題歌が歌えなくなっていたり。

ごはんつぶさん、やはり寄席では古典。高確率で『子ほめ』だが、噺を刈り込む編集が上手い。ちゃんと噺のポイントは残しつつ、不要なところは大胆にカットしている。

青森さん、目にも眩しいひよこみたいな金髪。
そんな輩のような見た目と態度でずっとアニソンと高橋留美子の魅力を語るという、いろんな意味で「なに言ってんだコイツ」という一席。

末廣亭の代演情報に「たにし」と出ており、誰だっけ? と思っていたら高座の見出しに「ホームラン」の文字が。ああ。
介護レク?の1級を取得したというような話や昔の喜劇人の話、最後に昨年亡くなった相方の勘太郎先生の話など。

れん生師、髪を伸ばして後ろにまとめていた。こういう風にするとホント若くてイケメンだなあと思う。確か50近いんじゃなかったっけ。見えないなあ。
噺のサゲが弱すぎて終われない、というのはガチなのか台本なのか。面白いところも随所にあるのだが、どことなく弱いのも確か。

馬石師、新作派に囲まれながらの『垂乳根』。名前の言い立てもペラペラーっとやるのではなく、ゆっくりと噛み締めるように。全体的に優しく穏やかな感じで馬石師の人柄が表れているよう。

おしどり、面白いんだけど旦那の方のわざとらしい高音の声があまり好きになれない。もう中とかできたくんとか、クリエイト系お笑いの人って裏声が多いのは気のせいか。

志ん五師は今日はマクラで志ん橋師のモノマネやらないのかと思っていたら、その後に本人が出るのね。志ん橋師は扇遊師の代演で事前の情報にもなかった。つーかよく考えたら志ん五師のモノマネ似てねえな。

正楽師、双子パンダのかわいらしさがとんでもない。リクエストじゃないからかなり自信作なんだろう。

わん丈さん、今月から天どん一門に移籍したそうで。まあ白鳥師も3人弟子いるしなあ。
こんな深い時間の出番は初めてだということで普段寄席ではできない噺を掛けるといい、出身滋賀のご当地噺?でもある『矢橋船』を。
上方落語にありがちなネッチョリとしたいやらしさがほとんどなく、使っている言葉は上方訛りなのにテイストは江戸っぽい。わん丈さんならではのハイブリッドな感じ。

一風千風さん、一風さんが北千住在住だそうな。こういうときはだいたい足立区の悪口とセット。まあしょうがないけどさ。

マギー隆司先生はいつもどおり。それがいい。

天どん師、以前にも一度聴いたことがあるが、寄席に来た若いカップルが主人公。女子のほうが寄席で笑うことがダイエットになると聞き、詳しい男子に連れてきてもらったという設定。
この女子が無邪気にいろいろなことを尋ね、男子が毒気たっぷりに返すという落語好きにはたまらない一席。
「イケメン落語家はいつ出てくるの?」「イケメンはいないんだよぉー。あれは『話す商売の中では』っていう前提が入るからね。前座のときはそうかもしれないけど、二ツ目になるととたんに自堕落になって一気に太るんだよ。そうすると真打になる頃にはみんな小太りのおじさんになってるんだよ」とか「食べ物持ち込んでいいの? じゃあ今度ケンタッキー持ってくる」「それはやめたほうがいいよぉー。特に池袋は寄席の斜め前にケンタがあって年に1~2回は持ち込む人がいるんだねえ。あそこは狭いし、完全に匂いがこもって事故案件になるからやめなさい。高座でもオエッてなるからね」などなど。
「僕は末廣亭で何やってんですかね」とポロッとこぼすのもおかしい。

にしても換気のためかしらんけどとにかく寒い。防寒はしっかりして行った方がいいと思います。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能