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第2回 兼好集 [落語]

第2回 兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭兼好『三人旅(びっこ馬)』
三遊亭しゅりけん『粗忽長屋』
三遊亭兼好『たがや』
三遊亭兼好『佃祭』

全然仕事が楽にならない。はあ。
今日はその隙間のスキマをついて早めに上がる。また明日からは遅くなるんだろうな……。

前回は時間が短めだったからか兼好師は二席だったが、今回はいつもの独演会と同様に三席。とはいえ今日は主催がエムズなので市馬師か権太楼師の会の助演だと思っていたらしく、独演会と気づいたのは昨日だったとか。「非常に焦っております」。

一席め、宮治師の真打昇進の会で久しぶりに長崎へ行ったそう。「口上もやりまして、……ふたりしかいないのに。ほぼ雑談でした」。それはそれで聴きたいなあ。ふたりの雑談楽しそう。
長崎の食事で丼で茶碗蒸しが用意されており驚いたとか。「茶碗蒸しというのは会食でオジサンが『これなんだろね……あちちフタ熱い……あ、茶碗蒸しだ』というものしか知らない」という小芝居が面白い。
「旅はいいですね」と旅の噺に入る。
兼好師の『三人旅』は約3年ぶり。
江戸っ子の軽薄っぽい話し方と馬子たちの素朴な話し振りの差が楽しい。馬子がふたり出てくるが、訛りは同じでも喋りのスピードで人物を演じ分けている。とはいえ東海道の馬子が東北訛りなのはちょっと違和感があるかな。いつもはそんなに気にならないんだけど。

二席め、今年もいろいろなものが自粛され、隅田川の花火も中止になったと『たがや』に。花火の褒めようから歌舞伎の声掛け、噺家への町名の声掛けで「町屋こんがり」を経て本編へ。
私は兼好師が一番の贔屓で、基本的にはすべての噺が好きだが、唯一『たがや』はあんまり好きじゃないんだよなあ……。前にも書いたことがあると思うが、噺の途中で「うちのおじいちゃんがそう」「うちの女房がそう」といって脱線するのが話の腰を折られる感じであまり効果的とは思えないのです。今日は以前に聴いたときと比べて「うちの師匠がそう」というのが追加されていた。
まあ好みだと言ってしまえばそれだけなのだが。

三席め、赤木ファイルに触れ、「なんで今頃出てくるんですかね。『見つからなかった』って……。官僚てそんなに馬鹿なんですか? 前座が馬風師匠や権太楼師匠に『探してこい』って言われたら20分で見つけてきますよ。前座以下ならそれ相応の税金しか払いたくない」というのは正直そう思う。
「あのファイルを作った人も報われませんよ。悪いことをしたら悪い行いが返ってくる、というのと同じように、いいことをしたらいいことが返ってくるというのが理想でしょうね」と『佃祭』に。その話の流れと小間物屋が出てくるので『小間物屋政談』かとも思ったが。
「仕舞船がひっくり返った」という報を受けて、長屋の連中が「昨日蕎麦屋で会ったときに『一緒に行かねえか』って誘われてたんだよ。……行かなくてよかった」と正直すぎる感想を述べた上、お悔やみに行ったときにお内儀さんにそれを馬鹿正直に伝えるのがおかしい。しかもなぜか蕎麦をたぐる実演付きというバカバカしさがたまらない。
また次郎兵衛さんに女房を世話してもらったという半公が、悔やみで延々と「いかに自分たちの仲がいいか」というのろけ話をしているのがいかにも兼好師らしくて面白い。個人的にはここが一番のピークな気がする。船頭の亭主が「うちのが旦那を助けたんじゃないんだ」ちといいながら自分で何を言っているかわからなくなってしまう場面もいいが。

終演後、兼好追っかけ仲間から柚子胡椒をいただく。この人は九州出身で、自分好みの調味料を常に持ち歩いていて、飲み屋でもそれを出してくる。美味しい柚子胡椒を知ってるということで、以前「今度頂戴」とおねだりをしていたところ、それ以来ずっと用意していて持ち歩いてくれていたのだとか。ありがたやありがたや。柚子胡椒好きなんだよねー。鍋によし塩で焼いただけの鶏肉によし。歳の離れた友人というのはありがたいものですな。
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