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第六十三回 一蔵ひとりの会 スペシャル [落語]

第六十三回 一蔵ひとりの会 スペシャル
於:池袋演芸場

金原亭のの香『千早振る』
春風亭一蔵『熊の皮』
春風亭一蔵『お見立て』
ダーク広和 奇術
春風亭一蔵『佃祭』

今日は割とのんびりと。
午後に清瀬の落語会へ行こうかと思っていたのだが、なぜか急激に面倒になってしまって家でダラダラと過ごす。
どこか写真でも撮りに行けばよかったんだけど。

前座はのの香さん。はあこの人が落語界および落語ファンのおじさんたちをざわつかせている噂の前座か。
確かにこら噺家としては美人すぎるわ。
噺の仕上がりとしてはまあ入門したての前座というそのまま。
ただ本当はこんなことをいってしまってはいけないのだろうが、あまりに美人すぎると話の内容が入ってこない。これは初めてつる子さんを聴いたときにも思ったのだが、あまり美人すぎても噺家として話芸で勝負したい、となったときに噺の実力で評価されづらいかもしれない。
そう考えるとまた怒られるかもしれないがこみち師とか粋歌さんはホントちょーどいい感じなんだろうなあ。

一蔵さんの一席め、今日は会場に入ったらなぜか選挙ポスター風の一蔵さんのポスターがベタベタとそこかしこに貼ってある。何かの会のポスターかと思ったら、特にそういうわけではなさそう。何かと思えば一蔵ファンにはおなじみの地元の印刷会社の社長が勝手に刷ったらしい。夜中に電話をかけてきて無理やり持ってきたそうで。「え、それはいいけどこういうの(祝儀袋に息を吹きかける仕草)ないの?」と催促したところ「ポスター刷るのにお金使っちゃった」といわれたとのこと。
さらに地方へ行ったときに打ち上げで自称「気功が使える」という人とのやり取りをマクラに。それも縁だというところから人の縁の中で一番不思議なのはご夫婦の縁、と『熊の皮』に入る。つーかこのつながり万能すぎんだろ。
女房の投げキッスでいいように使われる甚兵衛さんがおかしい。
またお礼の口上を「言葉じゃなくて音で覚えるの」とリズムを取って覚えさせようとするのが斬新。そしてそれを女房もできていないというのが面白い。

一度高座を降りてそのまま二席めに入る。
会場の池袋演芸場は一蔵さんが一朝師に一目惚れして弟子入り志願した思い出の会場であり、見習い時代にバイトしたデリヘルがあった場所だという。その当時は私も池袋によく行っていたが、10~15年くらい前の池袋はいろいろ面白かったなー。
でもってデリヘルの話題から吉原へつないで『お見立て』に。
喜瀬川花魁も投げキッスで喜助を使おうとするのがおかしい。
今日は細かい部分をカットしたちょっとコンパクト目。
やっぱりこの噺はお大尽のキャラが鍵を握るね。

ダーク広和先生、いつものように派手さはなくてもいつの間にか引き込まれるテクニックを魅せる。
流れるようなトランプが増えるマジックがすごい。

三席め、ありの実の説明から。最近では珍しい型になっている。
佃島の船頭の亭主が鯔背で一蔵さんのキャラに合っている。
甚兵衛さんが死んだと勘違いした長屋の連中のやり取りがおかしい。糊屋のババアの悔みやタケの女房のノロケもいい。結局悔みはバカの与太郎が裏がない分一番上手いというのがおかしい。

終演後、選挙ポスター風のポスターも写真撮っとくかと思ったら全部はがされて持っていかれてた。……まあ2000枚あるそうだからまたどこかで見られるか。
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第九回 大師匠噺 [落語]

第九回 大師匠噺
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭ごはんつぶ『転失気』
隅田川馬石『ざるや』
三遊亭天どん『寝床』
三遊亭天どん『よかちょろ』
隅田川馬石『笠碁』

予報通り移動時に雨が降り出す。最近の天気予報はすごいなあ。
本来はこの会は天どん師と龍玉師の二人会なのだが、今日は龍玉師がダブルブッキングをしてしまい、もう一方の方へ行っているために兄弟子が代演だという。もう一方の会は雲助師との会だそうで、じゃあしょうがないか。

ごはんつぶさん、今日は古典の会だからか前座さんも古典で。
なんか落ち着いた感じ。
なぜか登場人物が全員上を向いた感じ。珍念はいいんだけど大人も上を向いているので視線が合わないなーと思っていたら「転失気」がおならだとわかったところで「和尚も知らねえんだ……お時間でございます」と斬新なところでブッた斬る。

これには馬石師も驚いたようで「あれいいんですかね」と戸惑い気味。
それにしてもごはんつぶって、とやっぱり名前に反応する。子どもの頃に口元のホクロを指して「ごはんつぶついてるよ」と散々いわれたらしく、「ごはんつぶって俺のことかなと思った」とか。
前座時代を思い出したのか、最初の1年間は本当に嫌だった、と話す。
縁起担ぎを立前座から厳しくいわれ、ほぼイチャモンに近いこともあったとか。
そんなところから『ざるや』に。
ざるやを呼び止めるところからでちょっと短め。
馬石師のざるやは「旦那から巻き上げてやろう」という悪意というかいやらしさをあまり感じない。
多分馬石師のキャラが出てるんだろうなあ。

天どん師の一席め、「あの一門はスキあらば『ざるや』を演るなあ」とぽつり。たしかにあまり他の一門より聞くことが多い気がする。
ごはんつぶさんの高座にも触れ、「10分やるっていったときに『転失気』演りたいですっていったんですよ。あいつ10分以内の噺も何本か持ってるんですよ。稽古つけたんで。で、『噺を切ってもいいんですか』って聞かれたんで刈り込むのかなと思って『いいよ』って答えたんです。そしたら10分過ぎても終わらないからあと5分くらいこぼれるかと思って馬石師匠に『うちの弟子がスミマセン』って謝ってたんですよ。そしたらいきなりアレですから。クビにしてやろうかな」そんなに?
天どん師は先にネタ出しの『寝床』を。
旦那が折に触れてちょいちょい「ぼえ~」と挟んでくるのがたまらなくおかしい。ジャイアンか。
ジャイアンキャラらしく、旦那は周りが聴きたくないと思っているということにギリギリになるまで気づかない。そしてちょっとおだてただけで機嫌を直すのもそれっぽくておかしい。

二席め、「旦那の遊び」というテーマの会なので二席めもそうしようかと思ったが、大旦那が遊ぶ噺というのはあまりなく、しかも2回くらい前のこの会で演ってしまったということで、若旦那の遊びの噺で『よかちょろ』に。
この噺は久しぶりに聴く。大旦那をおちょくる若旦那のキャラが天どん師にハマっている。

馬石師の『笠碁』は初めて聴く。
いつも柳家のものばかりで、古今亭の型は初めてかもしれない。一之輔師が馬生型かもしれないとのことだが、かなりオリジナル入ってるしなあ。
笠をかぶった旦那が首を振ってお店を覗き込むという場面はなし。
喧嘩していてもやっぱりどこか穏やか。馬石師のこのえもいわれぬ柔らかい雰囲気ってのはちょっと独特のものがある。

終演後、受付で天どん師がトリの鈴本七月上席のチケットを師が手売りしていたので一枚購入。
天どん師コンスタントにトリとっててすごいな。
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なかのらくご長屋 小辰・吉笑二人会 [落語]

なかのらくご長屋 小辰・吉笑二人会
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭小辰『鈴ヶ森』
立川吉笑『明晰夢』
立川吉笑『黄声』
入船亭小辰『ねずみ』

降水確率が高いので電車で行く。
ハシゴする予定なのでバイクの方がいいんだけど、雨の日は乗らない軟弱派なので。

やっぱり小辰さんもこの会の開始時間の早さを嘆く。
今日はこの後に同じ会場で菊之丞師や小満ん師などの独演会があり、全部で5公演あるそうだ。開演前にアナウンスがあり、さすがに最後は失笑というかそんなにやんのかよ、というような笑いが漏れる。
小辰さんも「5回転ですか?」と驚いた様子。こういうのも「回転」っていうのかな? 私は「回転」というとうっふん系のお店で使われる用語だとばかり。小辰さんの出身の大塚も本場というか盛んだからね。
「このお客さんたちも何人かは残るんじゃないですか? いや、ここじゃなくたってどうせこの後どこか他の会に行くんでしょ? 朝早くからくるお客さんは大体そういうもんです。中野の駅前からだってブロードウェイを通らないで脇の道からくるような人たちでしょ?」なぜわかる。その通りです。
後の師匠たちとあまり被らないような噺をしなければ、と少し考えて泥棒の噺を選ぶ。
なんというか小辰さんの話しぶりは落ち着くというか心地よい。二席めの『ねずみ』もそうだが、あまり派手なことをしなくてもなんかおかしい。『鈴ヶ森』のようにかなりスラップスティックな噺でも派手すぎないからか聴いていても疲れないのが心地よさの元かもしれない。

吉笑さん、足を怪我しているそうで、正座用のあいびきという補助椅子を持って登場。
MRIを撮りに行ったそうだが、閉所恐怖症気味なところがあり、それを紛らわせるためにMRIに入っている間に落語の稽古をしたのだが……という話をマクラに。もうほぼ治ったとのことだが、ちょっと足を引きずりながら気味だったのでお大事にしてほしい。
一席めは古典チックな新作。落語黎明期の時代の噺で、友人の誘いで寄席なるものに行ってみると、出てきた前座が先程自分たちが話していた内容をそのまま落語として話し始め、さらに劇中劇ならぬ噺中噺の中の人物がまた寄席に行き……と入れ子構造になっている。
さらに最初に登場した人物たちも「俺たちも落語だ」とメタ的なことを言い出して……という非常に複雑というか、今どの階層にいるのかわからなくなる。が、そのカオスな感じが面白い。毎回思うがよくこんな噺思いつくなあ。

二席め、自分は立川流なので粋やらいなせやらがよくわからず、先程の噺はその憧れなのかもしれないとのこと。
立川流の中で粋な噺家といえば先日亡くなった左談次師で、楽屋に入ってきたときの「おはよう」を「おぁんよ」というのが粋だった、という。他の協会だと雲助師も同じように「おぁんよ」というらしい。
その挨拶と同じくらい声をかけられて嬉しがったのが「あんちゃん、やってるね」という言葉で、これは万能の言葉なのだという。
二席めも古典風新作で、町内対抗でかけくらべをしているのだが、町内一の韋駄天のタケが隣町の代表に勝てない、ご隠居さん知恵を貸してください、という噺。
ご隠居は応援の差が原因だというが、自分たちだってタケに「あんちゃん、やってるね」と応援しているという。そんなものは応援といえず、必要なのは「黄色い声」だと実演してみせる。正座しながらぴょんぴょんと飛び跳ね、足は平気なのかと心配になる。
これは珍しく理屈っぽくない感じ。
いつもは状況説明がちょっと鬱陶しいと思ってしまうことがあるのだが、今日は二席ともそんな印象はなく楽しめた。

終演後、近くの松乃屋で昼食を摂る。
近くの席に3~4歳くらいの女の子を連れた親子がいて、女の子はどこか怪我をしているのかしきりに痛い痛いといいながらずっとぐずっており、時折大きめの泣き声を上げる。
うーむ食事中ずっとこのぐずりっぷりを聞かされるのか、と思っていたのだが、親子が頼んだものがきたら「からあげたべる」といってあっという間に機嫌が治ったようだ。唐揚げの偉大さをまざまざと見せつけられる。
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人形町噺し問屋 その八十一 夜の番組 [落語]

人形町噺し問屋 その八十一 夜の番組
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭しゅりけん『牛ほめ』
三遊亭兼好『紀州』
寒空はだか 歌うスタンダップコメディ
三遊亭兼好『お化け長屋』

ここ数日仕事がヒマだったのに今日の夕方に限って緊急の仕事が舞い込む。なんで今日?
なんとか最低限こなしてあとは明日の自分に丸投げする。
多分明日の俺は今日の俺を恨むことだろう。
15分ほど遅刻でご挨拶の途中から。
岡山駅前の定食屋の話。

しゅりけんさん、前座の決まり文句とはいえども「最初に出てまいりましたのは〜」というのはどうかなーと思っていたら案の定兼好師の一席めで突っ込まれていた。
「家は総体へのき造り、天井はさつまいもとうずら豆」というのはお父つぁんとのやり取りのときのみで、伯父さんとのやり取りのときは文言は正しく言えるが棒読み、という形。やや珍しいが誰の型なんだろう。

兼好師の一席め、先月あたりに聞いていた右寄りの団体から仕事をもらった、という話の当日の話を。
やはり右寄りの団体なので、挨拶なども「『兼好師匠いらっしゃいましたァ!』『お疲れ様ですッ!』『高座はこれでよろしいですかッ!』『いいそうだ、高座よしッ!』『高座よーしッ!』……なんてことまるでないの。『あ、兼好さん? 今日は頑張ってね』とか『国旗ちょっと曲がってるんじゃねぇか? あ、どーも』とかそんな軽い感じなの」と拍子抜けした様子。
和気あいあいとした雰囲気の中、お茶会などもあったそうだが、やはりホットな話題は眞子さまの結婚なのだそうだ。「お相手のことどう思います?」と聞かれてもいつものような黒いことはいえないので当たり障りのないことをいったら、「でもねえ、ゴムショクでしょう」といわれたらしく。「一瞬考えて『ご無職』だとわかったけど、長靴でも売ってるのかと思った」とのこと。確かに発音からするとそう思える。
そのまま天皇陛下の退位の話に移り、その次は愛子さまになるのか、それとも他の方になるのか、そのときにまた揉めるでしょうねえ、そういう話は昔もあって……と将軍選びの噺の『紀州』に。
兼好師では初めてかな。珍しい。
噺自体は短いので合間合間に脱線して雑談というかエピソードトーク的な話が挟まる。ややもするとそれが間延びしてダレた感じになることも多いが、流石というか兼好師はそんなこともなく一定して面白い。

はだか先生はいつものとおりに。
地下鉄ネタは2年ぶりくらい。やっぱりこのネタ面白い。「便利な場所を不便に走る大江戸線」というフレーズはよくわかる。

兼好師の二席め、季節をやや先取りした『お化け長屋』。
この噺も好きだなあ。
怪談話をしてもまったく応えない威勢のいい江戸っ子の半畳がいちいちおかしい。
たぬ杢がおどろおどろしく話そうとしているのを「その話し方やめろ」「手短にっていってるのがわからねえのか」とイライラしている様子が面白い。

会場では兼好師が『東京かわら版』で連載している『お二階へご案内』の書籍が売られていたのでサイン本を購入。さらに兼好師が名前を入れてくれるサービスもしていたが、時間がかかりそうだったので今日はパス。
知り合いのおじさんにも久しぶりに飲みに行くか、と声をかけてもらったが、さすがに今日はサッカー観たいので真っ直ぐ帰る。……よく考えてみれば中継している飲み屋に行けばよかったか。
まあNHKがネットでも中継していたので電車の中でもスマホで見れたし、後半までには家に着いたのでよかった。まさかコロンビアに勝つとはなあ。
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鈴本早朝寄席 平成三十年六月十七日 [落語]

鈴本早朝寄席 平成三十年六月十七日
於:鈴本演芸場

柳家花ん謝『ちりとてちん』
入船亭小辰『鈴ヶ森』
三遊亭歌実『堀の内』
桃月庵こはく『四段目』

花ん謝さん、次の真打昇進が決まっているので次回に出るときは卒業公演だそうだが、その日は10時開演で11時には終わらなければならないらしく、ひとり10分程度しかないそうだ。さん若さんと「10分じゃ何もできないよねえ」と話していたら、駒次さんは「あっ、大丈夫です。どの噺もだいたい10分に抑えられるんで」と言われたそうで、「真面目に古典をやってきたのにこんな目に遭うなんて」と納得いかない様子。まあ自作の新作ならどうにでもカットできるだろうしね。
噺だが、登場人物の金さんと六さんはちょっと極端すぎるかな……。

小辰さん、この『鈴ヶ森』は誰で聴いても何度聴いても面白い。
ヒゲをネコヒゲを描いて「お前なめてんのか!」「なめてニャいです」というのは小辰さんオリジナルか。

歌実さんは初めてかな。
鹿児島実業出身だそうで、だから歌実なのだろうか。
ちょっと調べてみたら長渕ファンで動物好きで、私と共通点が多い。
なんか雰囲気が歌之助師っぽいなと思ったらやぱりお弟子さんだった。

こはくさん、二ツ目昇進後は初めて。
初早朝寄席はトリというしきたりに従って今日はトリ。
二ツ目になったばかりでこれだけ話せるのはすごいなあ。
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第31回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会 [落語]

第31回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭ごはんつぶ『新作(四葉のクローバー)』
三遊亭天どん『出来心』
三遊亭天どん『クリスマスの夜に』
古今亭駒次『カツノキセキ』
三遊亭天どん『新作(ひな祭りの夜に)』
三遊亭兼好『粗忽長屋』
三遊亭天どん『新作(七夕の夜に)』

明日は父の日なので彼女のお父さんと義姉夫婦と上野で食事。
最近病気して入院もしていたのだが、思ったよりも元気そうで安心する。

天どん師のゲストに兼好師という俺得な会。さらに駒次さんも飛び入りゲスト(2日前に決まったらしい)で天どん師も四席という大変お得というかちょっとした寄席興行くらいの規模になっている。

まずオープニングトーク。長らく名無しだった見習いさんの名前が決まったそうで、協会や後輩たちから怒られたのだそうだ。「なんで俺の弟子なのに俺の意思は無視されるんですかね」、ってさすがに長過ぎたんじゃない。

でお弟子さん登場。「……えー、名前紹介してくれると思ったんですが……。自己紹介します。三遊亭、……ごはんつぶです」。おおう……。
兼好一門のけん玉、じゃんけん、しゅりけんは名前を言った時点で軽く笑いが起きて、少なくとも全滑りということはない。それに客も演者も少し緊張が解けるという効果もあるように思う。
……けど「ごはんつぶ」は笑いよりも先に引くというか面食らうほうが強いかもなあ……。
それでも「名前をつけてもらっただけでも幸せです。幸せといえば……」と四つ葉のクローバー売りのおじさんと小学生のやり取りを描いた新作を掛ける。怪しいおじさんと子どもという天どん師っぽい噺。自作だとしたら見習いのうちから新作をいくつも作ってるのはすごいね。

天どん師の一席め、まずはお弟子さんの名前について。「僕がムリヤリつけたように思われるでしょうが、僕は民主主義だからそんなことしませんからね。こんな名前つけられた苦労を一番知ってるんですから」と至極ごもっとも。
「『天』と『どん』とどっちが欲しいんだ」と聞いたら「『どん』がいいです」と答えられたとか。「そっちかー」と驚いていたけど、うん、そっちじゃない? 俺がもし天どん師の弟子だったらそっちがいい。絶対天どん師の弟子だって一発でわかるし。
で、じゃあ本名が岸くんだし「岸どん」はどうだ、といったら「本名が入ってるのはちょっと」と断られたとか。
さらに見習いが入ったときからネット上ではどんな名前になるかと大喜利的なものが始まっており、「うどん」とか「天つゆ」とかが上がっていたとか。その予想と合ってしまうのも癪だし、採用されなかった人たちとファン同士で喧嘩するのも嫌なので、と予想に上がっていなかった「ごはんつぶ」か「岸どん」どっちがいいかと迫ったところ「『ごはんつぶ』にします」と言われたとか。
これには天どん師の方が驚いたらしく、「お前本当にいいのか」とか「お父さんにその名前言えるのか」とかいろいろ聞いたのだけれど本人の意志は固くその名前になったとか。
二ツ目などに昇進時にも名前を変えずこのまま行く可能性だってあるのにあいつ大丈夫なんですかね、とどこか他人事。
「でも寄席に前座として入るのは9月くらいなんで、それまでに怒られたり『かわいそう』という声が出たら変えます」とのこと。
「それはそれとして」みたいな感じで強引に噺に入る。『間抜け泥』部分がなく、『花色木綿』部分のみの『出来心』。後から考えるに、この後の三席のためのイントロダクション的な噺だったというか、それらの噺の主人公の先祖っぽいというか。

天どん師の二席めはなんどか聴いたことのある『クリスマスの夜に』。着物もサンタカラーに近い赤に変えてきた。なんでまたこんな時期外れの噺を、とも思ったが、三席めと四席めはこの噺の続編。三席めの噺は一度他でやったことがあるらしいが四席めはネタおろし。
主人公の泥棒が忍び込んだ家の中で留守番の兄弟たちと出会い、話をするうちにケーキを買ってきて一緒に食べる流れに。その後に警察官が踏み込んでくるのだが逆に兄弟たちにかばわれて……というストーリー。
三席めは足を洗った泥棒がたまたま入ったキャバクラで『クリスマスの夜に』の兄弟の母親がホステスとしてついて……という噺で、四席めはさらに定食屋に入ったらホステスをやめた母親がそこで働いていて……という続き物。
なんやかんや話しているうちに男がケーキを買ってきて、食べようとしているときにトラブルに巻き込まれ、そこに警官が現れてというフォーマットは三席とも同じ。だけどそのパターンが面白い。
それとそれぞれのエピソード間になにもないというのもなんか天どん師らしい。
普通、というか陳腐なストーリーだったら、それぞれの噺の後になんやかんやあって主人公と兄弟&母親ともう少し親密になっているとか進展がありそうなもの。噺の中ではいい雰囲気になってるんだし。
でもその間には何もなく、噺の中でしか繋がりがないというところがどこか醒めている天どん師らしいというか。
最後の最後、幕が下りかけているときに幕を止めて少しアフタートーク。「これ2月と5月でも作れることに気づいた」。バレンタインとこどもの日かな。「『もういいやめて』という人はアンケートに書いてください」と言っていたので、「12ヶ月分待ってます」と書いてアンケートを出す。

駒次さん、2日前に天どん師と一緒に西武ドームに野球を観に行ってその場で今日の出演が決まったという。
次の真打昇進が決まって、天どん師的にはご祝儀的にゲストに呼んだようだが駒次さんの口からは昇進について何もなし。天どん師に「言えばいいのに」と心配される。
競馬の競走馬のカツノキセキとその厩舎の職員と、ライバルの馬たちと……という漫画の『みどりのマキバオー』的な噺。結構ベタっちゃあベタな感じ。

兼好師、「まともな設定の落語はここだけです」。
マクラで天どん師について話す。「大好きな兄さんで。ツンデレですよねえ。でも言わなくていいようなことまでペロッと言っちゃって損をする。そういうのを粗忽者といって……」と噺に入る。
行き倒れの現場を仕切っている役人が、話の通じない兄いと会話をしているうちに混乱してきて、「んん? 最初に『まともな設定の噺』っていったけどおかしいぞ?」とメタ的なつぶやきを漏らすのがおかしい。

天気がなんとか持ったのでバイクで行ったのだが、今日は寒すぎ。ダウン着てもバイクだとギリギリ。
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遊馬百席 第110回 [落語]

遊馬百席 第110回
於:板橋 みやこ鮨

三遊亭遊馬『かぼちゃ屋』『青菜』『酢豆腐』

カタログハウスで腰に負担のかからないというマットを買ってみる。
思ったよりも薄いのでホントに効果があるのかと思ったが、うんなんだがいつもより起き抜けの腰の痛みがマシな気がする。

午前中はなんとか天気が持っていたので手早く買い物などを済ませたのだが、午後は本格的に雨が降ってきたので久しぶりに電車で板橋まで向かう。エレベーターができていたりして驚いた。

一席め、仙台に常設寄席の「花座」という小屋ができたそうで、そこで2日間4公演独演会をしてきたという。
その宣伝のために某国営放送局の仙台支局にも出演したそうで、そのあたりの顛末やボヤきなどをたっぷりと。遊馬師がここまでマクラ長いのも珍しい。
それにしてもこの間の独演会の内容を毎回演ったという。そら大変だ。一席一席が結構大きめのネタなのに。
ツイッターなどで「独演会と同じ内容でやります」と宣言したから、だそうだ。ストイック。
NHKの女子アナとは面識があるのかな? 「遊馬さんの与太郎さんはいつも笑ってますね」といわれたのが強く印象に残った、ということで『かぼちゃ屋』に入る。
確かに遊馬師の与太郎はなんか常に楽しそう。

二席め、噺家仲間で句会などを催しているのだが、最近はほとんど出席していないそうだ。
というのも以前はくだらない句でもみんなで面白がっていたのだが、最近では周りがわざわざ勉強までしてレベルアップしており、それについていけないのだとか。
最近では川柳の会も開かれるそうで、そのためにユーキャンの川柳講座で勉強を始めたそうだ。某国営放送ラジオ講座とも迷ったそうだが。
でもって「庭に水 新し畳 庵すだれ 透綾縮に 色白の髱」「西日射す 九尺二間に 太っちょの 背なで子が泣く ままが焦げ付く」と定番の句を並べて『青菜』に。もうそんな時期なんですなあ。
遊馬師も植木屋夫婦が仲睦まじい感じ。変にギスギスしているよりこういう方が聴いていても気持ちいいよね。

三席め、最近『酢豆腐』は遊馬師でしか聴いていない。
『ちりとてちん』ばっかりだからなあ……。俺は『酢豆腐』の方が好きなんだけど。
今日は私の好きなぬか漬けを巡る攻防のシーンがあって嬉しい。このわかりやすくノセられる半公が憎めなくて好き。
エキセントリックな若旦那もいい。
もっとみんな掛けてくれればいいのに。
タグ:三遊亭遊馬
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立川笑二・三遊亭兼太郎 二人会 負けてたまるか!? [落語]

立川笑二・三遊亭兼太郎 二人会 負けてたまるか!?
於:新宿三丁目 道楽亭Ryu's Bar

三遊亭兼太郎『善光寺由来』
立川笑二『居残り佐平次』
立川笑二『かぼちゃ屋』
三遊亭兼太郎『宮戸川』

中野から一度家に帰って宅急便を待つ。
テレビをつけたらたまたまラグビーの日本代表戦がやっていたのでついつい見てしまう。
詳しいルールはよく知らないけど、見てるだけでも面白いね。サッカーは今見てても面白くないしなあ……。

久しぶりの道楽亭。店の前は割と通ったりするんだけど。
客は残念ながらつばなれしないくらい。
最初のオープニングトークでじゃんけんで出番順を決める。

兼太郎さんの一席め、なんだかんだで八割方マクラというか。
はち好さんの話題が中心。
二ツ目さんにありがちなんだけど、マクラで同期や後輩の話をされても、どこまでいっても内輪ネタというか楽屋ネタなのでこっちには面白さがほとんど伝わらないのよ。
だし、そもそも……そのー……なんというか、はっきり言ってしまえばはち好さんにまるで興味ないんで、長々と語られても困る。どんなに変な人だろうが、好楽師のおかみさんにハマってようがぶっちゃけて言えば知ったこっちゃない、というか。
噺は『お血脈』のイントロ部分。「『善光寺由来』の一席で笑二兄さんと交代です」と言われたときは冗談なのかと思ったくらい。

笑二さんの一席め、かなりアレンジされた『居残り』。
最初に店に一緒に行く他の三人は友人ではなく全くの他人。居残りを始めてから客や女郎たちを取り込んでいくのは同じだが、妓夫太郎たちまで小遣いを与えて味方にしてしまい、店を乗っ取ってしまうというサスペンス風のストーリーになっていた。
かなりよくできており、上手いなーと思う。

二席めの『かぼちゃ屋』は割とスタンダードに。
以前に二度ほど聴いているがそこからはあまり変わっていないようだ。

兼太郎さんの二席め、お花が肉食系の『宮戸川』。
最後の場面でお花を抱きとめる半七の手がイヤらしく動いているのがおかしい。

帰り道、何度も通っている道なので、ちょっと脇道から行ったところ、東に行きたいのにいつの間にか南に向かっていて狐につままれたような気分に。そんな方向には向かってないはずなのに、とあとでよくよく地図を見てみれば、微妙に曲がる角度が急になっており、さらにそこから緩やかにカーブを描いていていつの間にかまるっきり違う方向に向かっていることがわかった。すげえトラップを食らった気分。まわりが暗かったからということもあって、しばらく気づかなかった。
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なかのらくご長屋 正太郎・一蔵二人会 [落語]

なかのらくご長屋 正太郎・一蔵二人会
於:中野 なかの芸能小劇場

春風亭正太郎『看板のピン』
春風亭一蔵『笠碁』
春風亭一蔵『猫と金魚』
春風亭正太郎『甲府い』

兼好師以外の朝のらくご長屋は初めてか。
朝方雨が降っていたようだが晴れてよかった。

正太郎さんの一席め、この時間の会だとやはり皆一律に「芸人は朝弱い」とボヤく。もはやお約束か。
「特に一蔵さんには朝から会いたくない」とブツブツ。
三道楽に触れて博打の話題に。正太郎さん自身は博才があまりないのでギャンブルはほとんどしないし、宝くじも買わないという。「だって当たらないでしょ。それに私金持ちだから」。そういうキャラだったっけ。
そんなマクラから噺に入る。
親分が割と穏やかなお爺ちゃんという感じ。

一蔵さんの一席め、朝の6時半まで眠れなかったそうで、殆ど寝ていないという。
「眠くて仕方ないんですが正太郎兄貴の一言で目が覚めました。『私金持ちですから』って……確かにお坊ちゃんですけど、そこまでのモンじゃないですからね」。
一蔵さんも趣味の話題に触れ、「こんな朝から落語に来ている人は『趣味:落語』でしょうが、我々も入門する前は落語を聞くのが趣味だったんです」とのこと。が、噺家になったら客席に回って同業の高座を見るのはご法度なので以前のようには見られなくなったという。最近では末廣亭の深夜寄席では行列整理以外にも場内整理も二ツ目が行うようになり、先週久しぶりに客席から高座を見られて嬉しかったとか。
んで碁将棋の流れになって『笠碁』に。
ワガママおじいちゃんたちがやいやいやっているが、激しさはないのでなんとなく柔らかい。猫たちが猫パンチを繰り出し合ってる感じ。
碁を打っているお店の旦那はねちっこいイヤらしさがあってそれがおかしい。

二席めはコンパクトに寄席サイズの『猫金』。
この番頭さんはどう見てもアスペです。本当にありがとうございました。
その番頭さんに振り回されてイライラしている旦那がまたおかしい。

正太郎さんの二席めは正統派の古典を。
善吉がいわゆる落語の田舎弁ではなく「泣くなし」とか「喧嘩するなし」とか「~し」ってのは本物の甲州弁っぽい。
……正太郎さん歌あまり得意じゃない? 売り声がなんか不自然なような……。
善吉がお花との縁談を断ると思い込んだお父つぁんのキレっぷりがおかしい。

終演後はなかの芸能小劇場に行ったときの恒例の高円寺のタイ料理屋に。
いつもはグリーンカレーなのだが、今日はカオマンガイにしてみる。
タイ料理は全般好きなんだけど、一番好きなのはタイカレーなのでどうしても毎回タイカレーを頼んでしまう。タイに行ったときは3食タイ料理だからいろいろ頼めるんだけど、日本だとそうもいかないしね。
うん、やっぱりカオマンガイ美味しい。……美味しいんだけどやっぱりタイカレーに気が残る。
今度朝飯抜いて昼に2種類食ってやろうかな。
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両国寄席 平成三十年 六月五日 [落語]

両国寄席 平成三十年 六月五日
於:お江戸両国亭

三遊亭兼好『お見立て』

会社出ようとすると呼び止められて相談を受ける。さすがに「落語行きたいから帰りたいんだけど」とは言いづらいので一段落するまで話を合わせる。
こういうときに限って総武線が止まっていたりする。
おかげで入ったときはマクラも終わって噺に入ったあたりだった。
兼好師の面白さはいつも通り。
で、客のワザとらしく大笑いして手ェ叩く馬鹿もいつも通りいる。つーか今日はそれがふたりいた。なんで増殖してんのよ。

終わった後、今日はノラやで兼好一門会があったことに気づく。
あーだから今日はいつもの兼好追っかけが誰もいなかったのか。
そういやどっち行くか当日の仕事の具合みて考えようと思ってたんだよな……。
どーすっかなーと思っていたら目の前をダッシュで駅に向かう兼好師が。大変だー。
さすがに平日に落語ハシゴするのはしんどいし帰ることにする。
なんか最近うまくいかないなあ。
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