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けんこう一番!第二十三回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第二十三回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『犬の目』
三遊亭けろよん『桃太郎』
三遊亭兼好『だくだく』
佳代子と陽子 トロンボーンとチンドンと歌
三遊亭兼好『火事息子』

なんとか定時内に仕事をやっつけ会場へ。

まずは兼好師の一席め、「この時期はいろいろと状況が変わることが多くてお忙しいなか、ありがとうございます」と挨拶。
「状況が変わるといえば、一之輔くんね」とニヤリ。
「今でもあんなに忙しいのに、さらに忙しくしてどうしようっていうんでしょうね。たとえば面白いこといえるのに実はそんなに忙しくない、天どんアニさんとかだっていいじゃないですか」。ああー、確かにあのキャラは笑点に向いてるかも。言われて気付いた。まあそこそこ失礼なジャブではあるけれど、悪くないように思う。ああ、でもこれ以上天どん師が売れるのもちょっと複雑だな……。
「それにしても、全然教えてくれないの。そりゃテレビのエラい人に口止めされてるのはわかりますよ、でも口では『いやー俺じゃないっすよー』とかいいながら手の仕草とかで教えてくれたっていいじゃないですか。エラい人と我々との友情とどっちを取るかって話ですよ。それにこないだなんか一之輔くんと宮治くんと3人で仕事があって、一之輔くんに『お前なんじゃないの?』『違いますよ、アニさんなんじゃないですか?』なんていっちゃって。宮治くんもメンバーなんだから絶対知ってたはずなのに『こんな怖いアニさんと一緒なんて嫌ですよー』なんて……」。確かにその状況を考えるとすべてを知っている笑点メンバーふたりが、何も知らない兼好師ひとりに対してとぼけてるという、今の兼好師からしたらちょっと恥ずかしい状況。その仕事の兼好師の高座のときに楽屋で「危なかったな」「そっすね」みたいな会話があったのかもなあ。
「私はてっきり桃花ちゃんだとばかり思ってたので、彼女に優しくしてたのに……」と苦笑い。というか兼好師は笑点の新メンバーふたりとは以前から付き合いが深いんだから、一緒の仕事とか増えそうな気もするが。しかし一之輔師が新メンバーに加わったことで「すでに売れている噺家が今さら笑点には出ないだろう」という考えはなくなったわけだ。てことは好楽師の後釜に兼好師ってことだってあながちないわけじゃないのかもね。
さて「笑点メンバーはみなタフで健康。健康でなきゃあんなに仕事をこなせない」というところから医者の話になり、『犬の目』に。兼好師では久しぶり。
目医者のところにやってくる犬の名前は忠四郎さんで、兼好師の得意ネタ『元犬』とつながっていることを匂わせる。
犬の目の他にも魚の眼やカエルの目などが用意されているが、それぞれメリット・デメリットをちゃんと説明してるのがバカバカしくて楽しい。

二席め、「最近は物騒で、金を持っていたら強盗に狙われるし、金を持ってなかったら裏バイトで犯罪に誘われる。金がすべての世の中になりましたね。しかし闇サイトってアクセスするのも難しい。そんなスキルがあるなら普通に仕事すればいいのにと思いますが……」と犯罪の話からいつものように足立区の犯罪いじりがあって泥棒の噺に。『だくだく』も久しぶり。
壁の絵に「女房を描いてくれ」というのは初めて聴いたかも。しかも「ちょっとすねて寝ている女房」で、その架空の女房とイチャイチャする様子を楽しそうに語るのがいかにも兼好師らしい。
考えてみると「目を病んだ人が出てくる」ということで一席めとついているような気もするが。
その泥棒が絵であることに気づかずに箪笥の引き出しを開けようとしているところなどは完全にパントマイム。こういうことができるってのはやっぱり器用なんだろうなあ。

ゲストはトロンボーン湯浅佳代子さんとちんどんパーカッションの織田陽子さん。
織田さんはちんどんバンド☆ざくろのメンバーで、10年近く前に遊馬師の会のゲストで聴いていた。
ふたりが初めて組んで演奏するそうで、今後はユニットとして活動するとか。
『聖者の行進』で高座に上がり、『リバーサイドホテル』、『ミネソタの卵売り』、『ラヴィアンローズ』、『好きになった人』を。

兼好師の三席め、最近のスシローの騒動に触れ、「萬橘くんなんか舐めそうなんで、『舐めちゃダメだよ』っていったんですよ。そしたら『俺は舐めませんよ。どっちかっていうと俺がナメられてるんだ』って……」。ホントにいったかは分からないが、萬橘師ならいいそう。それにしても兼好師、萬橘師のことが好きすぎなのでは!?
「ああいうのは親が大変ですね。昔は子の不始末は親も同罪ということになったので、不始末を起こしそうだと思ったら勘当して籍を抜くということをしていた。勘当していれば子どもがなにをしようが親は関係ない」と『火事息子』に。
これは昨年の昼に開かれた噺し問屋で掛けられたもので、さすがに昼の会には行けずに聴けなくて悔しかったので嬉しい。もちろん初めて聴く。
兼好師らしく火事の場面で蔵の上で番頭さんが困っているコミカルなシーンを厚くしており、大旦那が臥煙となった若旦那に小言をいうシーンや母親が若旦那をかばうところなどのいわゆる泣かせるシーンは逆にあっさり。
噺し問屋がネタおろしだとしたら、おそらくその後はせいぜい地方で1、2回掛けたくらいか。兼好師にしてはまだ硬くこなれてないような印象を受けたかな。
噺の冒頭に「臥煙になる条件」という説明が入っており、その中に「江戸っ子であること」というのがあったそうだ。「なぜかはわかりませんが、緊急時は江戸っ子が威勢よく江戸弁で話すのが良かったんでしょう。田舎者だとそうはいかない」と東北訛の火事現場を描くのは兼好師らしくてとても楽しい。
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