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花の新真打五人衆 [落語]

花の新真打五人衆
於:王子 ほくとぴあ

柳家しろ八『道灌』
入船亭扇橋『初天神』
柳亭小燕枝『湯屋番』
春風亭柳雀『転宅』
春風亭昇也『塚原のす』
桂小すみ 音曲
春風亭一蔵『ふぐ鍋』

今年の落語協会と落語芸術協会両方の新真打を集めた会。ときん師が企画らしい。
小燕枝師と一蔵師は披露目以降は初。

小八師の一番弟子のしろ八さん、落ち着いた雰囲気で口跡も爽やか。それに何より声がいい。『道灌』なんて笑いどころの少ない噺でこれだけ笑いをとれるのもすごい。これは将来売れるんじゃないと思わせる。
貼り雑ぜの小屏風に「歴史画が貼ってあるんだ」というご隠居の説明に、「電車で轢かれた人が……」というちょっとブラックなネタが入るのも私好み。

扇橋師、披露目の期間にお子さんが風船を父親代わりにしていたという話をマクラに『初天神』に。
飴玉を買ってもらうために金坊がペラペラと口数多くまくし立てる。買ってもらった後に今度は父親が飴玉を噛むな洟が垂れてる涎が出てるとものすごい勢いで小言をいう。なるほどこれは親子だ。
団子で蜜がいいと言い張る金坊に「あんこにしとけ、着物汚すだろ。おっかさんに怒られるの嫌だろ」「怒られてもいい」「おとっつぁんが怒られるんだ」「一緒に怒られよう、一緒に謝って。だから蜜がいい」というやり取りがなぜかやたらおかしい。

小燕枝師、披露目が終わって池袋演芸場に顔付されているそうで、しかも結構深い出番らしい。「前座の頃から池袋には通ってましたけど、真打になって戻るとどこに座っていいのかわからなくなる」そうで、立場が変わったことにまだ戸惑いはあるようだ。
若旦那がお湯屋へ奉公へ行こうとしているときにひとり語りとして「ブロッサムホールでの披露目の会で人気の師匠がたっぷりやって自分の持ち時間が13分しかなかった」とボヤくのがおかしい。
想像の中のお妾さんに石鹸を「これサービスです」「あらありがとうございます……古典落語で『サービス』なんて言ってよろしいんですの?」というのはどこまで計算なのか。
能天気な若旦那がワーワー明るく騒ぐこの噺は小燕枝師にすごく合っていると思う。

柳雀師、他の協会の披露目に遊びに行くことが普通になったのはここ数年だという。そこで落語協会と落語芸術協会の違いがあるといい、落協は「ちゃんとした師匠が出番のときにスッと来て高座をきっちりやってスッと帰る」だそうで、緊張感があるという。それに対して芸協は緊張感がないそうだ。
「今日も兼太郎さんと会ったときに『いやー落語協会の楽屋緊張しましたよ』と言ってたんで『芸協はどうだった?』と聞いたら『芸協は遊びに行きました』と言ってましたから。まあ芸協の楽屋は明るいんですよ、学級崩壊ですよ。高座がシーンとしているときに文治師匠の笑い声が響いてて、無線で『楽屋うるさい』って注意がきますから」。
噺にはいってお菊が泥棒だったといったときに「え、姐さんみたいな泥棒いたっけ!? 仲間なら知らねえはずないんだけど……。あ、そうか、協会が違うんだ。姐さん泥棒協会? 俺は泥棒芸術協会だから。泥棒協会はスッと盗んで帰るけど、芸術協会は奇抜な手を使ったりする」とマクラとつながるのが面白い。

この会のためのトートバッグやサイン色紙が売られており、これまで扇橋師や小燕枝師も高座でグッズ買ってくれといっていたが、仲入りにも客席に行商にやってくる。『初天神』の金坊のノリで「グッズ買ってくれー!」「色紙買ってくれー!」と回る。

昇也師、柏市の一日警察署長をやった話などを。
イオンモールで落語をやったそうだが、警備だかの警官がまったく笑わないのだとか
「もっと笑え! 署長だぞ!」というボヤきがおかしい。
話はあちこちと飛び、芸協の披露目興行の番頭連がいかにポンコツだったかなどたっぷりと。
「一応落語もやりますから」と始めたのは『馬のす』の改作。
「塚原」というのは実在の人物で、いわゆる「戸越銀座おじさん」。最初は宮治師に「よっ、戸越銀座!」と声を掛けていたのを、一蔵師や扇橋師などにも声を掛け始め、また声を掛けられた方もいじらざるを得ないのでいじっていたら喜んじゃってさらに暴走し、ここ最近ではいろんな若手に矢鱈目鱈声を掛けるという自己顕示欲の化け物のような人。いじられると「うひゃひゃ」と気持ち悪い声で笑う。最近は一蔵師も扇橋師も「はいはい」というような対応だったのだが、こういうことするからさらに調子に乗るぞー。

小すみさんは都々逸、長唄をマシンガントークを交えながら。
相変わらず超絶テクニックを魅せる。

一蔵師、「18時に楽屋入りして、今21時過ぎですよ。待ちくたびれた! でもおかげですべてのボートレースも終わったのでなんの気がかりもない。今日は……プラスでした」。おめでとうございます。
「寒いときに安くてうまいものといえば鍋でしょう」と大阪のふぐ屋の話題に。ふぐ刺しとふぐ鍋しかない店で、東京よりもだいぶ気楽に食べられるような店らしい。東京はふぐは気軽に食えるもんはないしなあ。
一蔵師の『ふぐ鍋』は約3年ぶり。というか『ふぐ鍋』自体あまり聴かない。
一八が幇間なのに頑なに旦那よりも先に食べようとしない往生際の悪さがおかしい。

終演後、最後に残っていたサイン色紙を購入。
そういやあ前座の頃から追っかけてるのに、一蔵師のサインて初めてかも。
扇橋師は小辰時代に謝楽祭でもらったことがあったはず。
まあ噺家にサインもらう機会といえばCDとか本買ってそこに入れてもらうくらいしかないかな。なので兼好師と天どん師、遊馬師のサインは大量に持ってます。

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