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第44回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会 [落語]

第44回 僕のらくご道 三遊亭天どん独演会
於:中野 なかの芸能小劇場

三遊亭天どん『新作(パワハラ)』
三遊亭ごはんつぶ『新作(運命の出会い)』
三遊亭天どん『新作(笑点に出たい)』
三遊亭兼太郎『五目講釈』
三遊亭天どん『三軒長屋』

池袋から中野へ。
そろそろバイクが寒くなってきた。股引とヒートテックが必要な季節が近づいてきましたな。

まずはご挨拶。「もうね、落語どころじゃないんですよ。いま日本シリーズやってるんですよ」。あー。まあ巨人ファンなんで興味ないっす。まあヤクルトは巨人の次に好きだけどさ。「村上くんすごくないですか。22歳で三冠王ですよ!? 村神様って言われてるんですよ!? ……興味ないですか。でもやめませんよ。小川くんてのが投げてるんですけど、全然投げないんですよ! ずっと球持ってるの。早く投げろよ! って思うんですけど」などと本当に止まらない。
「今日はふう丈くんとか呼ぼうかと思ったんですけど都合が合わなくて。……わん丈!? やですよあんなに前向きになりすぎて目がバッキバキになってるヤツ。そしたら、兼好さんとこの兼太郎くんがきてるんで『着物持ってるのか? カバン見せてみろ! オラァ! 持ってるじゃないか!』ってなったんで出てもらいます。僕が休みたいからなんですけどね」。兼太郎さんはちょっと予想外だったな。
自宅のトイレが壊れたために水道屋を読んだら明らかに輩がきたという話も。挨拶が「ウェイ」だったそうで、巨人に移籍する前の中田と同じくらいの金ネックレスをしていたとか。「巨人に移籍する前の中田と同じくらいのしてましたらから」とまた野球の話に。

一席め、天歌さんの騒動をマクラに。
正直他一門のことには口は挟めないそうで。まあそうだろうなあ。
ただ、圓歌師も天歌さんもド天然なのだという。例を挙げると圓歌師が「噺家には体力が必要だ」といい出し、弟子たちを自宅の周りでランニングさせたという。「天歌くんね、真面目なんですよ。彼がなにをしたかというとタイムを測りだした。そんで真面目に走らない他の弟子に腹を立ててましたからね」。……なんというかほんとに言われたことを100%額面通りに受け取ってしまって、他の人なら聞き流すようなことも全部受けてしまったのかなあ。それが積もり積もって今回の騒ぎになってしまったのか。私は部外者だから本当のところは分からないが、内部でどちらも見ていた人の直接的な意見が聴けるのは貴重だ。
他にもいろいろいっていたが、センシティブな話だし「天どん師がこんなことを言っていた」とねじれて伝わってしまってもまずいのでこの程度にしておきます。
で、「これ半年くらい前にたまたま作った噺なんですけど、もう今後できなくなってしまうかもしれないのでやっておきます。師匠が生きてたら作りそうだなあと思いました」と師匠からパワハラを受けていた若手真打が、自分の弟子から訴えられるのを怯えている噺を掛ける。……わータイムリー。というか半年前って最初のアクションがあった頃では……?
弟子に向かって「これはパワハラか?」といろんな行動を聞くのだが、それは多分天どん師が圓丈師にされたことなのでは……というリアリティがある。
「なんで俺はこんなことをされたのに弟子にはやっちゃダメってなってるんだ。それで下からは訴えられるかもしれないって何だそれ!」と憤懣やるかたない様子。笑ってはいたけれど、これは実際結構深刻な話で、弟子を取りたがらなくなってしまう。そうなったら、落語の文化が先細りになってしまう。というか私も天どん師と2歳くらいしか離れてないのだが、我々の世代、いわゆるロストジェネレーションはなんかいつもこういう貧乏くじを引かされているような気がしてならない。
で、結局噺の中で師匠が編み出した解決法はというと、弟子に弟子入り志願するというカオスな構図に。さらに大師匠も登場し、カオスはどんどん加速していく。こういうパラドックス的な噺はいかにも天どん師っぽい。

ごはんつぶさんも新作のネタおろし。
出会いのない男子が、交差点でぶつかったことで恋に落ちるというベタな出会いをするために友人に協力してもらいながら奮闘するというもの。
ごはんつぶてこういう男女ものというか「モテ」関連の噺多いな。
実際にはモテそうなんだけど。

天どん師の二席め、一席めの一門の後年譚? 一席めの時点から20~30年経っており、人間国宝になり100歳を迎えた大師匠が入っている病院か施設にお見舞いに行くところから。
人間国宝にまでなったのに「『笑点』にはいつ出るの?」と言われ続けており、「『笑点』に出たいなあ~」と言い続けるだけという噺なのだが、これが面白い。
天どん師の「別に本当に『笑点』には出たいわけじゃない」という本音ものぞかせつつ、噺家は常に言われ続けてるんだろうなーとうかがえる。

兼太郎さん、「さっきマクラで『カバン見せろ』って言ってましたけど、アレ本当ですからね。今度新作をやる必要があって、勉強させてもらおうと思って挨拶に行ったら開口一番に『着物持ってるのか』って聞かれましたから。『……いえ』『そのカバンはなんだぁ』『……ちょっと登山に』『嘘ぉつけぇ、見せてみろ! あるじゃないか!』って言われまして……」。
兼太郎さんの『五目講釈』は初めてか。伯山のモノマネなども含め、講釈のマネゴトの様子がなかなか上手い。「なかなか」ってのもエラソーで失礼だけど、じゃあスゲー上手いのかといったらそれはそれで講談師に失礼だし。難しい。微妙に力んでいるようないつもの調子が、講釈にはピッタリ合うような気がする。

天どん師の三席め、「兼太郎くんは兼好くんのところの弟子でね」。兼好師を君付けで呼ぶ人って珍しいな。
「兼好くんは僕より入門は後なんですよ。でも圓楽党は昇進が早いんで、彼のほうが先に真打になったんですよ。ま、それはいいんですよ団体が違うから。けどね、いろんな人が出る落語会の場合、僕のほうが先に上がったり、彼のほうが仲入りとか重要な位置にいるんですよ。まあね、それもいいんですよ、正直楽だから。でね、二人会とかやるじゃないですか。そうすると『兼好・天どん二人会』って彼の方の名前が先に出るんですよ。そんなのちょっと調べればわかるじゃないですか。……と僕のケツの穴が小さいことがわかったところで……」と噺に入る。正直どちらのファンでもあるので、そのへんのバランスは微妙なところではあるんだけど、あの口調とあのテンションでいわれるとなおさらおかしい。
『三軒長屋』は好きな噺なのだが、なかなか掛からないので嬉しい。
棟梁の家の二階で若い衆がケンカをしているワチャワチャしているところや、剣術道場で武張ったふたりがドタバタやっているところなど、なんでかわからんけど天どん師がやるだけで面白いんだよなあ。なんだろう、このクセになる独特のテイスト。
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