SSブログ

人形町噺し問屋 その91 [落語]

人形町噺し問屋 その91
於:人形町 日本橋社会教育会館

三遊亭兼好 ご挨拶
三遊亭けろよん『雑俳』
三遊亭兼好『四段目』
岡大介 カンカラ三線
三遊亭兼好『居残り佐平次』

1年3か月ぶりとのことだが、確か2020年の3月は中止になってるはずなので、実に1年5か月ぶりの人形町噺し問屋。
ちょっと仕事忙しくなってきたんだけど、今日ばかりは早めに上がる。ま、先週の火曜も早めに上がったんだけど。
会場はギッシリのお客で、皆待ってたんだなあ。

まずはご挨拶。
仕事の打ち合わせで「株はやらないんですか?」と聞かれ、全然知らないと答えると最近は変わったんだと教えられたという。東証一部とかではなく、プライム、スタンダード、グロースに分けられ、「プライムは『どこに出しても恥ずかしくない』、スタンダードは『まあいいんじゃない』、グロースは『これから伸びる』会社なんですって。『わかりやすく言えば真打、二ツ目、前座みたいなものですよ』と説明された」らしい。なるほど。「でも落語界には『どこに出しても恥ずかしい真打』がいますよ、といったら『株も同じです』といわれた」そうだ。うーむ。正直銀行の資産運用のファンドとかも日本企業は相手にされてないもんなあ。
「噺家も階級を『プライム』『スタンダード』『グロース』にするってどうですかね。『お宅は株やってるんですか』『もちろん。三三、白酒、一之輔、ちょっと高かったけど喬太郎……』『手堅いですな』『あなたは?』『ふふ、私はこれですよ』『おお、宮治株!』『スタンダード時代から持ってましたから』なんて。中には『私はこれしか持ってなくて……』『うわあ三P株!』みたいな」と盛り上がる。まあ師匠はプライム確定でしょうから。ちょっと話はそれるが、今日のチラシに某イベント会社の○周年記念落語会が入っていたのだが、いくつか会を開くうち、兼好師の会は独演会で前売り4000円当日4500円。これは喬太郎師と同じ値段。他の人は3000円とか若手ふたりで2500円とかなのに。兼好師の人気と実力なら当然と思う反面、これが標準価格になるとちと辛いなあとも。スタンダード株からの株主優待はないものか。
種田山頭火の足跡をたどるという雑誌の企画で、佐賀の温泉へ取材旅行へ行った話も。武雄温泉で殿様の湯に入ったり、嬉野温泉で名物の湯豆腐を食べたりという話を。嬉野は玉露発祥の地だそうで、旅館に置いてあるお茶さえも美味しく、飲みすぎて眠れなくなったとか。

けろよんさんはいつもの『雑俳』なのだが、今日はなんかいつもとちょっと間が違っていたり、抜けてるところがあったり。……というかまだ1年めの前座なんだからそっちのほうが当然なんだよなあ。いつもよりも客がぎっしりみっしりで当てられたか。

兼好師の一席め、コロナの間は客席が空いており、また声掛けもできないので芝居も締まらなかったと芝居の噺に。
旦那の小言をのらりくらりとかわそうとするもすべて潰され、呻吟する定吉の様子がたまらない。
また蔵の中で芝居の真似事を始めるが、仮名手本忠臣蔵の薬師寺次郎左衛門の表情がまた素晴らしい。本当に歌舞伎の隈取が見えるようだ。いや歌舞伎見たことないんだけど。劇中劇というか落語中劇でも楽しめるんだからやっぱりすごい。
最後、旦那がお櫃を蔵に持っていくときも芝居仕立てになるのもおかしい。

二席めの『居残り』は3年半ぶりくらいか。
いや、これはホントに素晴らしい、名演だよ。兼好師はどの高座もほぼ外れはないけれど、今日のこの高座は特によかった。
見世の若い衆との攻防もいいが、やはり「いのどん」として見世の客を取り巻いていく場面が圧巻。押し付けがましくないのにみるみるうちに客を持ち上げまくる様は、人たらしである兼好師だからこその怒涛の技。聴いているこっちまでいつの間にか噺の中の座敷の客と同じように気持ちよくなって、祝儀を切りたくなってくる。
サゲも「おこわにかけた」よりはわかりやすく、でもある程度落語を知らないと面白くないという絶妙な加減。
いやあ週の頭からいいもん聞きましたわ。

昨日の一蔵さんもそうだったが、今日は兼好師もお見送りを復活。いよいよアフターコロナに向かっていくのかな。うちの会社ではまた先週出たけれど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。