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亀戸梅屋敷寄席 令和四年三月十日 [落語]

亀戸梅屋敷寄席 令和四年三月十日
於:亀戸 亀戸梅屋敷 藤の間

三遊亭楽太『寿限無』
三遊亭楽花山『真田小僧』
三遊亭ぽん太『猫と電車』
三遊亭好二郎『熊の皮』
三遊亭兼矢『お見立て』
三遊亭圓橘『悋気の火の玉』

有給。
近所にあったタイ料理屋が閉店してしまった。
最後のふた月ほどはこれまで以上に行くようにしていたのだが、最後の2日はずっと満員で入れず、ママさんとちゃんと別れを言えなかったのが少し心残り。
そんなことを思いつつ、食べ放題ランチがあるという高田馬場のタイ料理屋へ行ってみる。うん、まあ普通。でもタイ米を思う存分食べられるのはありがたい。カノムチンの味の奥にバンコクの路地裏の匂いを感じた。

今日は兼矢さんの二ツ目昇進口上があるというので、両国寄席には行くつもりでいた。
が、好二郎さんのインスタを見ていたら梅屋敷寄席でも兼矢さんが出るということだったのでこちらにもきてみる。

楽太さん、寿限無の謂れを家に帰っておかみさんにも講釈するという型で、これは初めて聴いたかも。もちろん落語なので聞きかじりの講釈はいつの間にか間違っている。

楽花山さん、兼矢さんと同じ大学だったそうで。ただキャンパスが違うし学年も異なるので会うことはなかったらしいが。
関西の大学だったということで、上方版の『真田小僧』。なるほどこの話の内容だと上方弁の方がしっくりくるかも。濡れ場などもこっちの方がややどギツめか。

ぽん太さん、戦中の漫画家、田河水泡作の落語だそう。田河水泡作といえば『猫と金魚』が有名だが、他にも90作ほどあるという。それを演じる依頼を受けているそうで、今日はその中の一作をかける。
「古典落語といいながら、稽古は現代の人につけてもらってるのでどこか現代風になっている。でもこれはその当時のままを解凍しているようなものですから……。もしかしたらもう賞味期限は切れているかも」。
噺は校長先生から猫を貰ってくれと頼まれた用務員さん(?)が子猫を連れて電車に乗り込むというもの。電車と言っても多分路面電車だろう。
電車には猫は持ち込めないので、どうにかして車掌にバレずにごまかそうとする。まあたしかに現代からすればちょっと弱いかも……。
『のらくろ』といい『猫金』といい、田川水泡は動物好きだったのかな。

好二郎さん、兄弟子らしく兼矢さんの紹介から「めでたい時期にはめでたい噺を掛ける」と『熊の皮』に。……めでたいの? まあめでたいことがあったから赤飯のおすそ分けがあった、という話の流れだからいいのか。
この甚兵衛さんのおかみさんは結構な悪妻? 甚兵衛さんに仕事を押し付けるときはかなり高圧的で笑い方が悪人のそれ。兼好師とはだいぶ違うなあ。
甚兵衛さんと先生の会話部分もちょっと説明不足というか、わかる人にはわかるけど、初めて聴いた人には通じるかな? という感じ。時間的にカットカットしたらそうなったってことなのか。なんか絶妙に惜しい感じ。

さて兼矢さんとしての初めての高座。
弟子入りのときの話で、兼好師に「出身はどこ?」と聞かれ、「山口です」と答えたところ、「俺会津なんだよ」といわれたという。が、「? そうですか」と返して呆れられたそうだ。まあ正直私も長州と会津の因縁は、小学生の時に林間学校が会津だったからなんとなく知っているくらいで、実際のところはよく知らないのだけれど。
とはいえ兼好師は地元での仕事も多く、その際に山口出身だとバレておじいさん世代に謝罪を求められることもあったのだとか。「まあ『すいませんでした』っていったら『いいよ』って許してもらえたんですけど」だそうだ。
そんな「自分は田舎者だ」という自己紹介から田舎者にシンパシーを感じると『お見立て』に。
これもまた兼好師の型とは大きく異なっている。
大体の人は杢兵衛お大尽を振る口実として最初は「患った、風邪が悪化した」というものが多いのだが、兼矢さんはこの時点から恋患いということにしていた。確かにそうすれば次の「恋患いで死んじゃった」という展開には理屈が繋がりやすいので、なるほどと思った。が、そうすれば「見舞ってやんべ」となるのは当然で、そうすると「どうしても帰らないお大尽」という野暮天を笑うという構図にはなりにくい。
それに、この喜瀬川の言い訳は理屈の通らない無茶苦茶なことをいっていることとそれに困る喜助、さらにそれに気づかないお大尽という構図が面白いのであって、言い訳の理屈が通っていることは実はそんなに重要に重要じゃないんだなあと気づいた。
とはいいつつもまずは前座噺から離れ、真打も掛ける噺を堂々とアレンジを加えて演じていることに感慨深いものがある。頑張れ。

圓橘師、「『お見立て』という噺はリズムが大切。……今日のあれでは……」とかなり辛口の講評を下す。「なんで私がこんなに厳しいことをいうのかというと、私が『読書会』というものを開いていて、外国作品などを読んで『ここはこういう意味でこういうことを話している』とかなんとかみんなで話し合っている。そこでチェーホフだったかな、私が『これこれこうだ』と話したら、アイツは文学部出身ですから『師匠、その解釈は間違っています』って」。……すげえな大叔父筋に当たる師匠にそんなこといっちゃうの? イマドキというか……。
縁起の話もしていたと思ったが、『悋気の火の玉』って縁起いいの? 人ふたり死んでるけど……。「燃え盛る」ってことで縁起いいのかな。謎。

終演後に出口に好二郎さんとスーツ姿の兼矢さんがいたので祝儀を渡して(←重要)、両国寄席にも行くことを伝えて一度家に戻る。
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