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ばばん場新開場!柿落とし公演 扇辰・天どん二人会 [落語]

ばばん場新開場!柿落とし公演 扇辰・天どん二人会
於:高田馬場 ばばん場

春風亭㐂いち『しの字嫌い』
三遊亭天どん『いつもの歌』
入船亭扇辰『徂徠豆腐』

カネがない。

まあ理由はハッキリしている。落語に行き過ぎだ。
昨年は113回も落語に行ってる。普通に考えて3日に1回行ってることになる。リーマンでこれはいくらなんでも行き過ぎだ。
一応以前は「月に2万円まで」と決めて財布を分けたりしていたのだが、一昨年の緊急事態宣言中に1ヶ月以上落語に行けない期間がありその反動もあってかその後は行きたい会に金のことを考えずに行っていた。ばーかばーか。それと予算を決めていても、クレジットカードで前売券を買ったりするとそこらへんが曖昧になってしまう。木戸銭が平均2500円として、113回で282500円。月の予算が2万としたら24万だから……。やっぱオーバーしてんな。いや、平均2000円と考えればセーフ……か?
このブログを始めた当時は一之輔師や天どん師など、追っかけている人も二ツ目が多かった。最近はみんな真打に昇進して単価が上がっているのもひとつの要因だろう。今年はついに小辰さん一蔵さんも昇進して贔屓が全員真打に。祝儀だってキッチリ切るつもりだし、その予算も確保しておかなければ。
それと単純にここ最近は会の単価が上がっているような気がする。コロナ禍もあって人数を制限すれば売上が落ちるのは当たり前で、それをカバーするのに値段を上げざるを得ない、というのはもちろん理解してるしそれには一切異論を挟むつもりもない。
ということでやはり自分の中で線引きをする必要がある。いくら兼好師の会といえど無制限につぎ込むわけにもいかないし。
  • 4000円以上の会には行かない:今度よこはま落語会で「兼好宮治二人会」があって、一公演4000円を昼夜で前売購入した後にさすがにやりすぎたと思った。1日で8000円て。交通費入れたら1万近くなるぞ。
  • 三人会は行かない:三人会だとチケットが高額の割にひとり一席ずつなので割に合わない。ただし新版三人集および出演者全員が贔屓の場合はその限りにあらず。なお4人以上出る会は少なくとも四席以上は聴けるので結構お得だったりするが、半数以上が贔屓の会のみにする。
  • あまり遠出しない:チケットが安くても交通費や駐車場代が結構かかっている時がある。横浜以南は基本行かない。
  • 迷ったら行かない:無理に行くことはない。自分の中で「高いな」と思ったら行かない。
  • 平日の会は基本行かない:去年は結構平日も行ってた。兼好師の「けんこう一番!」とか「人形町噺し問屋」以外はやっぱり平日は基本行かないようにしないと自分の中で歯止めが効かなくなりそう。

こんなとこかな……。
なので今年は更新頻度が落ちる。はず……。

さて。
新しく高田馬場にできた小屋、ばばん場の柿落とし公演最終日。ノラやが立ち上げたらしい。Hacoよりは広い、が、まあ、そんなに広くはない。Haco同様にこのご時世にぎっちりと詰め込んで50~60人は入るかな。新目白通りから少し入った雑居ビル風の建物の3階でエレベーターもない。
前に住んでいたアパートから前に勤めていた会社に通うときに毎日のように近くを通っていたが、こんなところがあるとは知らなかった。
一蔵さんのひとりの会と迷ったが、扇辰師と天どん師の二人会という珍しい組み合わせのこちらに。
ぎっしりと入っており、最前列の真ん中の席だけが残っていたのでそこに座る。最前列は幼稚園用? かと思うほど小さい椅子が置かれている。最初はいいけれども時間が経つにつれて尻と腰が大変なことになるので要注意。一応座布団もあるけれど。

㐂いちさん、お囃子で入っている恩田えりさんとのエピソードをマクラに。モノマネが結構似てる。
この規模の会場に生のお囃子さんが入っているのもすごい。
清蔵のふてぶてしさがすごい。こんなのが後輩とか部下としていたら嫌だろうなー。

天どん師、白い着物と羽織で登場。「お正月なんでね。これ真打昇進のときに作ったんですけど、ほとんど着てないんですよ。白い着物って汚れが目立つじゃないですか。(某寄席)とかの楽屋とかにいたらホコリとかで大変なんで。紋付きなんですけどね、あんまり目立たないんですよ。昨年死んじゃったウチの師匠が真打披露興行の高座の舞台袖で『お前コレお客さんが見てわからないだろ。なんとかしろ』って言い出して。いや、もう出番なんですよ。『早くなんとかしろ』ってマジックで塗れと? 初めてじゃないですかね、師匠に『無理です』って楯突いたの」。そら無理だ。
「今日は二席ずつだと思っていたんですよ」。えっ。「でも昨日の公演の人が一席ずつだったみたいなんですよ、エラソーに」。えっえっ。「二席なら一席スベってもいいんですけど、一席しかないとねー」。いや二席やってもらって全然構わないんですけど……。
「工事してるときにも下見にきて、高座の位置とかエアコンの位置とかも見てたんですよ。でー、楽屋に窓があって手すりがないんですよ。これスベった芸人が飛び降りるかもしれない。一席しかないんで笑ってもらわないと僕が第一号になるかも」。えー。
「今日は夜公演だと思って昨日お酒飲んじゃってー。で一応大人なんで次の日の確認したら昼だって。なんで最前列の人は危ないですよ。師匠はこの席のこと『ツバかぶり』って言ってましたけど『ゲ○かぶり』になるかも……」って完全に俺範囲内じゃん。やめてください。
などと話しているときに「水の音聞こえるー?」という扇辰師の声が。「それほど聞こえませんけど……トイレ入ったんですか?」「うん、おしっこしたの」「……まさか身内に敵がいるとは」。天どん師ってこういう身内からのイジりが多いような……。
「今日は扇辰師匠と一緒だからあまりいえないんですけど、最近は噺家でもバンドとかやる人いるじゃないですか。……ヤベ『悪ふざけ』とか言いそうになっちゃった。僕は大学時代に落研だったんですけど、部室棟みたいなのがあったんですよ。落研の手前がロック研で、そこを通るといっつも先輩がディープ・パープルの『ハイウェイ・スター』ばっかり練習してるんですよ。この曲だけ。『I love you!』って。エライもんで僕も通りかかるたびに聴いてるからもうこの声を聴いただけでその人の体調がわかるようになった。たまに声が出てない時があって『ああ体調悪いんだな』って。……ていう噺をします」と噺に入る。
路上ライブで新曲をを歌おうとしている人のところに「いつも歌っている歌を歌ってよ」というリクエストが。「あの歌はもう歌ったんで、後でアンコールとして……」「いやー、君いつも同じ時間に同じ歌を歌ってるでしょ。私いつも君の歌を聞きながら帰るんだよー。だからもう帰りたいからあの歌うたってよ、あのクソみたいな歌」と失礼なことをいわれるが、次々に賛同者が出てきて「クソみたいな歌」が連呼され……というもの。
天どん師らしいシニカルでヘンな人たちがたくさん出てきて楽しい。というかまともな人がひとりもいない。
歌っている歌もヘン。長渕剛風の歌い方にデーモン小暮風のセリフも入るという。

仲入り、普通だと出囃子のCDが流れるが、今日は天どん師の噺を受けて『ハイウェイ・スター』と『蝋人形の館』が。

扇辰師、「こういう三席しかないときはせっかく温まった客席が冷めちゃうから仲入り入れない方がいいんですがね。逆に今日は仲入りあって助かったと思ったんだよ。でもスタッフがこういうことするから仲入りにならない……」とボヤキから。
キチンと羽織袴姿で登場し、「お正月ですからちゃんと正装しないと。こういうところが天どんとは違う。この羽織もね、紋付きなんだよ。一つ紋で背中にしかないんだ」と頭を高座につけて背中を見せてくれる。「上方は紋が大きいし羽織の紐の房も派手。でも江戸落語はね、こういうのは目立たないほうが粋なんですよ。……あの一門はそういうこともわからない」と圓丈師もまとめてネタにされる。
「楽屋が高座の真裏なんですがね、いいですなあ、昔の池袋にそっくりで思い出しますよ。こんなにしっかりした壁じゃなくて、はめ込みの板でね。高座の声がよく聞こえました」と高座の後ろの壁を叩く。それでも壁は薄いようで、おそらく裏で着替えているであろう天どん師の衣擦れの音やチャックの開け閉めの音まで聞こえてきた。
「ここの下見にきたときにね、『杮落とし公演で誰と一緒がいいですか』って聞かれたんだけど特に考えもなく『誰でもいいですよ』って言っちゃったんだよ。……今とても後悔してます。なんだあのクソみたいな落語」とこき下ろすようでちゃんと拾ってる。
「正月は弟子が家にきてお屠蘇と雑煮を出すんだけど、浅草の初席は朝早いんだ。辰ぢろに何時に寄席に行くんだって聞いたら6時半だって。『なんで?』と聞いても『兄弟子がそうするって』だそうで。6時半に浅草に行くためにはうちを5時半に出なきゃいけない。そうするとうちに4時半集合!? なんでおめえのために早起きしなきゃなんねえんだってさすがにひとりで行かせましたけど……。元日は寒かったねえ~」と寒さが苦手の扇辰師、寒い日に大変なのは朝が早い商売、と豆腐屋の噺へ。
いつもだと年末に掛かることが多い噺だが、おめでたい噺でもあるので杮落としにはぴったりだろう。
このところ少しクドいかと思っていたが、今日はクサさ抑えめでいつもの端正な扇辰師だった。
なんども聴いたことのある噺ではあるが、少しずつ変わっているところもあってその違いを探すのも楽しい。

サゲの後に㐂いちさんと天どん師も登場して手ぬぐい争奪じゃんけん大会に。「この杮落としでこんなことしてる人いる!? いない? どうです。こういうところですよ」と自画自賛の扇辰師。「……でも天どんは今日手ぬぐい持ってきてないって。普通正月に手ぬぐい持ってこないなんてある? 色紙にサインしたけど、色紙はここの備品だからね。この人だけ自腹切ってない」とバラされた天どん師、ひとりそっぽを向いて苦笑い。あとスワローズマスクしてた。

にしても三席で3300円かー……。二席ずつかと思ったんだけどなー。決意した端から微妙な……。
まあ杮落としだからご祝儀込みでいいとして、今後もこの価格帯だと苦しいかなあ。ケツ痛くなるし。
でも高円寺よりは近いしバイク置くスペースもあるのはいいけどね。
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