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第十五回 大師匠噺 [落語]

第十五回 大師匠噺
於:両国 お江戸両国亭

三遊亭ごはんつぶ『秘密ばくろ』
蜃気楼龍玉『鰻屋』
三遊亭天どん『死神』
三遊亭天どん『熱中症対策本部』
蜃気楼龍玉『もう半分』

猫のトイレ掃除や久しぶりに洗車など。今日は日が出たり出なかったりだけど湿っぽくなくて過ごしやすい。

今回は「怪談」がテーマ。

ごはんつぶさん、酔っ払うとすぐに自分の秘密を話したくなる後輩と、口が軽くてすぐに秘密をしゃべっちゃうことを自覚しているためにあえて秘密を聞きたくない先輩の居酒屋での攻防。
先輩が「やめろ! 言うな!」といってるにも関わらず重めの秘密をペラペラと話し、「先輩もなにか秘密話してくださいよ!」と迫る後輩が面白怖い。サイコパス。

龍玉師の一席め、「呑みに行こうよ」と誘うも「銭は全然ねえんだ」と笑う男の表情が実に悪くて小憎らしいのがたまらない。こういう表情はホントに龍玉師は上手いと思う。
「鰻裂きの職人がいなくて……」と苦り切っている主に「じゃあおめえがやればいいじゃねえか」とニヤリと笑いながら迫る男の圧で追い込んでいくさまが実に自然で有無を言わせない感じがさすが。

天どん師の一席め、「ネタ出ししてますけどね、ネタおろしなんであっさりといきますよ」とどこか達観したかのような感じ。まあいつもの通りといえばいつも通りなんだけど。
主人公の男が明るくてまったく悲壮感がないというのが新鮮。
死神に対しても「おじさん、首くくるから帯貸してよ! 大丈夫、終わったら返すから」ととんでもないことを言い出す。
その死神、「お前、俺が見えるのか?」と主人公との出会いはまったくの偶然というのも初めて聴いた。
「お前は寿命がまだあるから死なねえよ。この松で首をくくっても枝が折れる……」「(ドサッ)いってえ、枝、折れるね!」「試すな! ……たとえば崖から落ちても……やめろ試すなバカ」というやりとりもバカバカしくて楽しい。
アジャラカモクレンの呪文は変えずにそのまま。「……呪文変えないんだ」「『誰はどうやってた』とかさあ……そういうのは立川流とかがやればいいんだ」などとバッサリ。
女房子供と別れないというのも初めて聴く型だし、ろうそくを継ぐときも「そうなの? 貸して。はいできたー」と何も恐れずにすぐできるというのも初めてという何から何まで新しい。それが天どん師らしくて面白い。もちろんサゲもこれまでの型とはまったく異なり、男の軽率な行動であっさりとろうそくが消えてしまうのだがそれがやや理屈っぽいのがいかにも天どん師っぽい。

天どん師の二席め、前に聞いたときもお江戸両国亭だったなーと思ったらちょうど二年前のこの会じゃないですか。
ホントに田舎の役場だったらこういうことありそう……いやさすがにないか? いずれにしてもこんな環境だったらストレスなさそうで羨ましい。

龍玉師の二席め、爺さんの金を見たときに最初こそ「届けてやらにゃあ……」と言ったものの、女房の「いいよ、そんなことしなくても」という一言であっさりと「それもそうか」と翻してしまう夫婦の酷薄さがなんとも。そっちのほうが後の生まれ変わりよりもよっぽど恐ろしい。またその時の表情が見事なんだ。
これまでに聴いた型だと爺さんは金を失くしたことに絶望して自ら大川に身を投げ、夫婦は後でそれを聞くというものだったが、龍玉師は出刃を持って爺さんを追いかけ、大川の橋の上で突き殺してしまう。さすが「殺しの龍玉」の異名は伊達じゃない。
全編を通して、昭和初期のノイズの多い白黒映画を見ているような光景が頭の中に浮かび上がる。世界観にブレがなく、精緻な語りをしているからなのだろう。
最後に「……もう半分」といったあとの一拍の余韻がとてもいい。

昼飯を食いはぐれたまま行ったので、終演後に弁当を買って早めの晩飯と晩酌をして昼寝というか夕寝をし、夜中に起きて酒を飲みながらこれを書いている。なんかメチャクチャな生活してるなあ。
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