SSブログ

落語作家井上のかたち コタツヌーボー [落語]

落語作家井上のかたち コタツヌーボー
於:神保町 らくごカフェ

入船亭小辰『高砂や』『千両泥』『井戸の茶碗』

最近家の掃除をいろいろ行っている。
今日はガスレンジとダクトを。うちは揚げ物とかしないし煮物とかが多いのにやっぱり油まみれ。まあウチ建てて10年以上経ったがほとんど掃除してなかったからなあ。
午後からは久しぶりに休出。……なのだが、もう少しで会社の最寄り駅に着くというところてセキュリティカードを忘れたことに気づく。それがなけれはビルに入れない……! 運悪く今日は他に誰も出ていない。
結局一度ウチに取りに帰り、往復2時間弱を無駄にする。前にも1回やったから気をつけてたのに、久しぶりだったから忘れてた……。
せっかく休出したのに3時間しか仕事できる時間がなかった。……なーんか社長にイヤミ言われそうだなあ……。掃除は来週にしとけばよかったかな。

さてこの会は落語作家の井上新五郎正隆氏が噺家さんに当て書きで作った噺を掛けるというもの。
一度延期になり、1年越しで開かれた。1年前は予約できたのだが、今回のは早々に満席になったらしく。
一応キャンセル待ちを入れておいたら、1週間前にキャンセルが出たとの連絡が入った。
そもそも小辰さんが新作というのも珍しいし、しかも小辰さん用に書き下ろされたものなので正真正銘本邦初公演。そりゃまあ聴いておきたいよね。

とはいえ新作といっても現代物ではなく、いわゆる擬古典と呼ばれる「古典落語風の新作」。天どん師ではいくつか聴いたことがあるヤツ。なので小辰さんもとっつきやすかったという。

その噺は仲入りで演るということで、一席めは噺ができるまでのエピソードをマクラに。何度も書き直してもらったのに、延期のために時間が空いて改めて読み直したら最初のが一番よかったとか。「……私の意見なんてまるで無駄でした。……というか最近気づいたんですが、私は伝えるのが下手です。落語家になって13年経ってやっと気づくという……。私遅いんですよね、居酒屋のバイト5年やって『俺は接客向いてない』って気づいたくらいですから」だそうで。

その『千両泥』、泥棒たちが引退を決めた親分から宝の絵図面を貰い受け、それを掘り出しにいこうとするもの。
絵図面に書かれてる文字が読めないので、仲間の中で唯一字が読める主人公のところに弟分が相談に来るところから噺が始まる。
結局宝のありかは主人公の長屋の一番奥のうちで、しかしそこには乱暴者が住んでいて……というもの。
んーなんだろう、初演でこなれてないというのもあるのかもしれないが、なんとなく「薄味」。随所に笑いどころはあるのだが、それらが一気にドカン、という感じではない。
もっとも新作の場合、聴いてるこっちも初めてなので、話がどう転ぶか予想がつかずに笑い逃すということもあるのだけれど。
やはり先人たちが工夫を重ねた古典というのはよくできてるなあと改めて思わされる。

それは小辰さんも思ったようで、「落語というのは毎日『再演』ですから。毎日どこかで同じネタがリバイバルされている。『発展がない』と言われてしまうかもしれませんが……。私もいずれあのネタを寄席でできればいいなと思います。思うだけで演るかどうかはわかりません」とのこと。
小辰さんによれば、寄席芸人はどうしても噺を寄席ナイズして考えるのだという。
時間もそうだが、『千両泥』はいろいろな要素が多いのだそうだ。「泥棒」「乱暴者」「たくさんの人物が出てくる」など。あとは「無筆」もだな。そうすると、それだけ「つく」噺が増えるので、寄席で後の人を考えるとやりづらいのだそうだ。なるほどなあ。
寄席では各師匠方はつくことを気にするそうだ。ネタ帳を見て、知らない新作があると「これ、なにがつくの?」と必ず確認するのだそうだ。そうすると前座さんは「コレとコレがつきます」と答えるのだそうだ。自分が前座の頃、それが面倒だったので後輩に同じ思いをさせるのは申し訳ないという。
「そう考えるとやっぱり古典はすごい。『高砂や』なんて『高砂やが上手くできない』ってだけで内容がなくて何もつきませんから」。確かにそういう噺は残りやすいのかな。
柳勢師が前座の頃はその受け答えが上手かったらしく、ある師匠が前座のしくじりエピソードの漫談で降りたときに他の師匠から「これ何がつくの?」と聞かれたら「与太郎がつきます」と答えたそうな。
そんな古典礼賛のマクラが並んだ後の扇辰師仕込みの『井戸の茶碗』は誠に端正で大変結構でございました。
やっぱり千代田卜斎の凛とした佇まいと高木作左衛門の爽やかさがいいですねえ。
タグ:入船亭小辰
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。