SSブログ

扇辰日和 vol.78 [落語]

扇辰日和 vol.78 「扇辰、胸を貸す!」
於:中野 なかの芸能小劇場

入船亭辰ぢろ『金明竹』
入船亭扇辰『片棒』
入舟辰乃助『匙加減』
入船亭扇辰『たちきり』

昨日は彼女と自分のmacを10年ぶりに新調する。
2台のセットアップしようとしたが、まあ10年ぶりだしいろいろ忘れてる。「移行オプション」アプリを使うと簡単にできるのはいいが、メールの設定まではやってくんないのね。結局AppleCareに電話して解決。電話で話しながら画面共有してその場でいろいろ教えてくれるってすごい世の中になったもんだ。
とはいえいろいろセキュリティセキュリティといっていて、セキュリティを盾にあれはできないこれはできないといっていながら、シリアル聞くだけでネットワーク飛び越えてリモートできるって、そっちの方が素人目にはセキュリティどうなってんだと思うが。画面覗けるだけで何もできないんだろうけどね。
さてまだ自分のマシンのセットアップも残ってるんだよな……。ケチって「データはほとんど外付けに入れてるからストレージは小さいモデルでいいや」と思っていたら、「移行オプション」でごっそり移行するには容量が足りないときた。まいったなあ。次に買うときは大きい容量のものにしなくでは。
さらに新しいマシンではこれまで使ってたモニターも使えない模様。急遽新しいモニターも購入する。これはまあどさくさに紛れてこれまでのよりも大型のものを買えたのでいいんだけど。
そんなこんなで昨日からバタついている。
天気が好転したので猫のトイレなども洗っていたらあっという間に家を出る予定の時間を超えていた。
先週扇辰師が言っていた通り、辰ぢろさんの出番までに間に合わないか? と思っていたが、道がかなりスムーズに流れており無事間に合う。むしろ余裕があるくらい。

辰ぢろさん、『金明竹』をフルに聴くのは久しぶりだと思いつつ、ガチガチの硬さが目立つ。
と思ったら当たり前で、扇辰師によればネタおろしなのだそうだ。「お客様は『今日の前座は長いな』と思った25分でしょうが、ネタおろしだから短くしようがないんだ。まあ珍しい機会に当たったと思ってください」とフォローが入る。

扇辰師の一席め、これまでのようにゲストが呼べなくなってしまった状況を嘆きつつ、「小遣い程度で呼べるのは弟子しかいない」と会の趣旨を話す。
「しかし弟子ってのは私が募集したわけではないんです。なのに上のふたりはどう調べたんだか自宅までやってきて土下座までして。ヤダよやられる方の身にもなってくださいよ」と入門の経緯を話す。
「なのに、ですよ。私から『きてください』とお願いしたわけじゃないのに、アイツら半年もしたらアタシの言うことなんて聞きゃあしねえの。腹立つんだ。(袖を覗いて)辰ぢろはね、まだどこか遠慮してるところがありますがね。保つのはあと3か月くらいかな? ……辰乃助はね、特に二ツ目になってからヒドいですよ。こんなヤツとは思わなかった」とこぼす。
前にも聞いたことがある扇辰師が大事に取っておいた瓶詰めを確認もなく食べられてしまったエピソードを。器ちっちゃ。もちろん扇辰師はそれを込みで話しているのだろう。そのセコさがまたどこか平和な面白さがある。弟子との仲の良さが伝わってくる。
「うちには子どもがおりませんので、血が繋がってはいませんが弟子たちが息子のようなもので……。けど親子の縁というのは……」と噺に入る。
扇辰師の『片棒』は久しぶり。『片棒』といいつつ三男は最初っから出てこないというか存在さえしていないので「片棒」という言葉は一切出てこない。
が、その分長男と次男にたっぷりと時間を使える。
特に次男の祭囃子の場面は本当に見事。ここは音楽に縁があるというか、歌の上手い師匠ほど面白いと思う。ということで扇辰師の音程やリズム感、強弱などはさすがとしか言いようがない。ただひとつ残念なのは、個人的にはひとりで盛り上がりすぎた次男に大旦那が突然「うるせえーーーっ!」とブチ切れる型が好きなのだが、扇辰師は祭囃子が上手すぎて中手起きてしまい、「突然ブチ切れる」となりにくいところ。ホント上手すぎ。

辰乃助さん、「こないだYouTubeの企画で『しくじった話』というのを収録しまして。私にピッタリのテーマ。『四季のしくじり』がありますから」と『あくび指南』のようなことを言い出す。「ちなみにさっきの瓶詰めの話は『夏のしくじり』です」とのこと。面白いなあ。
噺はちょうど一週間前にここで扇辰師のを聴いたばかりのネタ。どうしたって比べてしまう。辰乃助さん、それを分かった上でのネタ選びなのだろうか。
テキストとしては扇辰師のものとほぼ一言一句一緒。
明るいキャラの辰乃助さんにはこの噺は似合わないのでは? と最初は思ったのだが、これはこれで楽しく聴ける。
この後の扇辰師の評では「叶屋が悪すぎるよねえ。もうちょっと愛嬌がなきゃ」とあり、それは確かに思った。最初から悪代官に媚びる悪徳商人そのものだったし。
その他にもいろいろ大味だなあと思うところは多々あれど、決して悪い印象はない。これが辰乃助テイストだといわれたら「いいと思います」と答えると思う。
扇辰師ももう一点ダメ出しをしていたが、「今後も見守ってやってください」的なお言葉でどことなく嬉しそう。

扇辰師の二席め、やっぱりこの噺自体は好きになれない。落語にはいろいろ登場人物の行動原理に同意できないものがあるが、その中でもこの噺は誰にも同意できない。
だがしかしそれとは別に扇辰師は上手いとしみじみ思う。
何も知らない若旦那が置屋のおかあさんに「どうしてそんなことに?」ときいたときにおかあさんが返す「どうしてって聞かれたら……『若旦那に殺された』って言いたくなるじゃありませんか!」と声が徐々にせり上がっていくところなどは感情の表し方としてお見事。

ゲストもなく(?)3時間近くたっぷりと。聴き応えがありました。   
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:芸能

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。