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高円寺演芸まつり(第11回) おしくら饅頭、四派でドカン [落語]

高円寺演芸まつり(第11回) おしくら饅頭、四派でドカン
於:高円寺 座・高円寺

三遊亭遊馬『佐野山』
林家彦いち『青畳の女』
立川談笑『猫と金魚』
三遊亭兼好『厩火事』

毎年恒例のこの会、なぜか芸協は毎年出演者が変わるが、今年は遊馬師。よおおおし! 俺得の顔付けきましたー! と初めて見たときに思わずガッツポーズが出る。毎年このメンバーで固定してくれないかな。

トップバッターの遊馬師は今年初。明日から浅草のトリだから行かなきゃな。昼席は宮治さんの披露興行でチケット持ってるんだけど、昼夜居続けはできるんだろうか。
遊馬師の声にはリラクゼーション効果があるんじゃないかと思う。
佐野山、谷風、八百屋の親方、地とそれぞれ異なる声音で性格を滲み出させていた。
ただ遊馬師はあまりこういう会に出ないからか、出るときにはおそらく自信のあるネタを出すのだろう、だいたい『佐野山』とか『阿武松』、『井戸の茶碗』とかになってしまうのがちょっと残念。
いろいろいいネタ持ってるのにー! とファンとしてはいいたい。

彦いち師、客席の半分が段ボールでできた人形(ひとがた)なのをみて「最初はちょっと驚きましたけど、慣れてくると紙のお客も笑うんですよ」と怖いことをいう。「落語に『半分垢』という噺がありますけど、これじゃ『半分紙』ですねえ」とポツリと言ったのが面白い。
最近はあまり客前に出る機会が減ったのか、なんだか嬉しそうにマクラを話していたのが印象的。あまりにも話しすぎて客席に「えーと今何分ですか」と時間を聴く。そういえばこの会場時計ないのね。「もうそんな時間? ……じゃあこれからやろうと思っていた噺はやめます」。気になる。「過去のネタ帳見て意外とやってなかった噺」を掛けようとしていたらしいのだが。
私は公演中はメモは取らず、仲入りなどにちょちょっと面白かったキーワードを入力しておくことがあるのだが、この高座では「黒髪」「森リモート」とある。何だったっけなあ……。ちょっと時間が経つとすぐ忘れてしまう。
噺はかなり前に一度聴いたことがある、恋する女性柔道家の大事な一戦の物語。座布団を相手の男に見立て、巴投げで無理やり口説くというアクロバティックな一席。実際に高座の上で一回転するのだが、そこで着地地点を見極めるために噺をしながら何度も後ろを確認しているのがおかしい。「池袋でやったときは『モニターから人が消えた!』と話題になった」というのも納得。

今日は音響機器の調子が悪いのか、談笑師の出囃子の途中でピタッと止まってしまう。しばらくしてまた音が出るようになったが、「リモート出囃子」と談笑師も苦笑い。
リモートでの落語会も増えているようで、「高座返ししているのは私の弟子なんですが、初高座が無観客ですからね。……これ初高座ていうのかな?」だそう。定席のない立川流だとそういうこともあるのか……。というか他の協会でも今後はありそうだなあ。
談笑師はリモートがあまり好きではないようで、「お客さんの反応がないからつまらない。せいぜい家族くらい。なので、家中のぬいぐるみを集めてカメラの周りに置いている」とか。スワローズファンなのでつば九郎のぬいぐるみが多いらしい。つば九郎お笑いに厳しそう……。
どんな話の流れでそうなったのかは忘れてしまったが、「これから皆さんの代弁をします。……○階さん○んじゃえばいいのに」ととんでもなくブラックかつ的確な一言を言い放つ。ほんこれ。
談笑師もマクラをたっぷりと振った分、噺は軽め。
……と思ったらこれがまた面白いのなんの。
番頭さんのアスペっぷりが元ネタよりもだいぶパワーアップされており、「金魚を(棚に)あげなさい」と旦那に言われたのに猫にあげてしまったり、素揚げにしてしまったり。逆に「金魚をおろせ!」と言われて三枚におろしたり。旦那にグーパンで殴られ「もしもしブラック企業相談室ですか」と電話するのもたまらない。
風呂屋の煙突に金魚をあげたら金魚鉢落とすし。

兼好師、なんかマクラからものすごく流れるように自然に噺に入ってったような覚えがあるんだけど全然思い出せない。……なんか今日は全然ダメだな。いや元から良くはないけれども。
髪結の女房は今日はおさきさんではなくおみっちゃんだったような。まあ冒頭で一度名前をいうだけなのでなんでもいいのだけれど。
兄貴分がなにか話すたびに毎回口を挟み、叱られて「ごめんなさい、続きどーぞ」というのがワンセットなのだが、「孔子」のところでは「ごめんなさい、牛だと思って。……モウ」と鳴いたり、「白馬」では「ごめんなさい、食べ物の話が続いてたからどぶろくかと思って。……ヒヒーン」と嘶いたりして兄貴分を苛立たせるテクニックが磨かれていた。
長屋に戻って食事を用意していた亭主に向かって「あなたは唐土の孔子♡」とささやくのもおかしいが、亭主の「その丼に触るのはよせ! そんなところに置くな! なんで金魚鉢の上に置くんだ!」と前の猫金と被せるのも楽しい。

ロビーにはチャリティオークション用に高円寺演芸まつりに出演した噺家の色紙がずらりと並んでいた。兼好一門の兼太郎さんや好二郎さんのもあったし、小辰さんや一蔵さんのものも。兼好師のはなぜか圓生師の似顔絵なのだが超絶似てる。こら高値つくだろうなーと入札は諦める。
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