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兼好集 [落語]

兼好集
於:水天宮前 日本橋劇場

三遊亭しゅりけん『金明竹』
三遊亭兼好『夢金』
三遊亭兼好『二番煎じ』

本来は19時開演で、まあちょっと早めに会社上がるだけでいいからと思ってチケットを取ったのだが、この事態で開演が30分早まる。仕事も詰まってきはじめたのでキャンセル払い戻しもチラッと頭をかすめたのだが、それもなんか悔しいので無理くり早めに上がってしまう。でも時間ギリギリ。しかしまあこの事態になってもまったくもって仕事が減らない。そういうことをいうと「仕事があるってありがたいことじゃない」とか言われるけど、そういう問題じゃない。仕事的にもリモートしづらい内容でもあるし……。春のリモートで懲りた。

しゅりけんさん、演目は『金明竹』となっているが『骨皮』の部分まで。
「落語の方にはいろんな人物が出てまいりまして、熊さんに八っつぁんに横丁のご隠居、人のいいのが甚兵衛さん、バカで与太郎なんてのが出てくると噺の方の幕が開くようで……」とお決まりの口上から入るが、いきなり「松公、おい松公や」となる。そういやこの噺は与太郎じゃなかった。
茫洋としたバカのキャラがなんともおかしい。

兼好師の一席め、まずは急な模様替えになったことについてのお詫びから。「今日の時間変更について知らない人もいると思います。もしくは知っててもこの時間に来れなかった人とか。なので実際の開演時間くらいに途中で入ってくる人もいると思いますが、『邪魔だな』みたいな目で見ないでください。『いいのよいいのよ、まだ面白いこと言ってませんから』って」。あー、これで面白いこと言っちゃったなあ。
今年は記録的な大雪だそうで、兼好師も雪国出身のため雪についてのマクラに。
雪下ろしで毎年事故のニュースが入るが、そうすると東京の人なんかは雪下ろししなければいいのにというそうだ。「雪って重いんですよ、雪質にもよるけど、これくらいの大きさで150kgとかあるんです。てことは屋根の上に象が3頭くらい乗ってるくらいなんですよ。嫌でしょ!? 『ぱおーん』つって。いや雪は『ぱおーん』て言わないけども。下ろすでしょ」。「ぱおーんつって」というのがなんだかやたら面白い。
中学時代の兼好師の冬の楽しみといえばガラス抜きだったという。学校にある安い曇りガラスなんかでは、うまい具合に固めた雪玉(かんしゃく玉と呼んでいたらしい)をうまく投げると、ガラスが割れずに雪玉の形で抜けるのだという。へえー。用務員を兼ねた教頭先生との攻防なども。
そんな雪の話から大雪の日の噺である『夢金』に。
舟の艪を漕ぐときの軋む音まで表現しているのが細かい。
浪人者が悪事の相談を打ち明けた後の「欲張りの熊」の悪党ぶりが潔く、侍相手に一歩も引かないふてぶてしさに筋が通っている。

二席め、これまた厳しい寒さつながりで『二番煎じ』。
町内の仲良しおじいさんたちが寒空の中をただただ練り歩いているのがたまらない。しかしその中で繰り広げられる火の用心の声出しの上手いこと。……というかコレ兼好師がやりたいだけじゃないの……。とはいえ黒川先生の謡風とかカシラの吉原で鍛えた声などは本当に見事。
番小屋に戻ってきてからの宴会の場面も楽しい。酒を持ってきた黒川先生に「何を考えてるんですか!」と脅かした後に「いつも初めての人はこうやって騙すの」と月番が嬉しそうに話したり、近江屋と月番は幼なじみで、「この人(月番)が口説いて振られた女がアタシの女房なの」と暴露したり。こういう細かいネタがとにかく素晴らしい。

8時ぴったりに終演。
開いてる店ないかなーとちょっと探してみるも、やはりなし。まあ開いててもあまりそこで飲んでいこうとも思わないかな……。早く終息してほしい。
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