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第三十三回 三遊亭兼好 横浜ひとり会 [落語]

第三十三回 三遊亭兼好 横浜ひとり会
於:桜木町 横浜にぎわい座

三遊亭しゅりけん『弥次郎』
三遊亭好二郎『星野屋』
三遊亭兼好『三方一両損』
桂小すみ 唄と三味線
三遊亭兼好『藪入り』

落語を聴くために越境するとか百合子に怒られそうだなあ。
不急ではあるけど不要ではないんだよ。

しゅりけんさん、あの去年一昨年あたりの危なっかさはどこへやら、すらすらと滑らかに話す話す。
あの盛大につっかえたところが最大の笑いだった頃からすると感慨深い。ちゃんと噺でウケてるし。

好二郎さん、二ツ目に昇進して名前が変わった途端にコロナで仕事がなくなってしまい、未だに「じゃんけん」と呼ばれてしまうとこぼす。会の主催者ならともかくしゅりけんさんや師匠にもいわれてしまうとか。
昨日歌舞伎を観に行ったそうで、今は大向こうから声も掛けられないとか。落語はまだ客の反応があるだけありがたいという。
「しかし『星野屋』が掛かっていたんですが、心中の場面になってもなかなか飛び込まない。あそこだけで30分くらいやってる。私だと全部で15分なのに。歌舞伎というのは無駄な芸能……」とポロッと毒が漏れて自分で慌てる。言いたかったことはなんとなく伝わるが、言い方よ。
そのまま『星野屋』に入る。マクラがどストレートですな。そんでホントに心中の部分はあっという間。『小言幸兵衛』での「念仏とお題目」のくすぐりが入っていたが、旦那はすぐに飛び込むし、お玉はさっさと帰ってしまう。
その後の重吉との騙し合いもとにかくあっさりしていて全体的に軽い。まああまり後味の良い噺じゃないし、これくらいライトな方が落語らしくていいのかも。

兼好師の一席め、「先ほど出てきたじゃんけんは……」とちゃんと弟子の言葉を拾う。「3月に昇進披露の会があった直後に緊急事態宣言が出て、今日のこの会があるとこんな状況に。日本のことを考えたらあまり会わない方がいいんじゃないか」と黒い笑みを見せる。
落語には江戸っ子がよく出てくるが、「よく出てくるってことは、実際には違ったんでしょうね。だからこそ『ああいう人がいたらいいな』と落語や講談、浪曲などでウケたんでしょう」と語る。なるほど一理ある。そしてこれでもかと江戸っ子成分を煮詰めたような『三方一両損』に。
兼好師の場合、金太郎の大家だけは江戸っ子に憧れを抱く信州人という設定なので、それがアクセントとなってより江戸っ子感が際立つ。

小すみさん、というか兼好一門との組み合わせって年末の会で見たばっかりだな。
三味線にオペラのような歌い方をミックスさせる。歌声の伸び方がすごい。

兼好師の二席め、実際の藪入りの時期に合わせて。
夫婦ふたりで夜通し話している場面も、亀吉が戻ってきてからの場面もなんというか説明が丁寧な感じ。他の人では「わかってるでしょ?」という感じでさらっと流しているようなところもしっかりと話しているのでディテールがしっかりと伝わる。たとえば父親も子どもの頃に奉公をしたことがあるので奉公事情をわかってるというのも兼好師以外では聴いたことがない。
その一方で「二つ折れになっている納豆売りのババア」とか「家の前を掃きすぎて落とし穴になっている」とかのギャグも面白い。
サゲも「チュウのおかげ」と異なる形。なのでマクラにネズミの懸賞の仕込みもない。

さすがにどこにも寄らずにさっさと帰ります。
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