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立川生志プロデュース2DAYS-DAY 1「東京四派精鋭そろい踏みの会」10周年記念・東京公演 [落語]

立川生志プロデュース2DAYS-DAY 1「東京四派精鋭そろい踏みの会」10周年記念・東京公演
於:新宿 紀伊國屋サザンシアター

林家木久蔵『幇間腹』
三遊亭遊雀『熊の皮』
春風亭一之輔『お見立て』
立川生志『悋気の独楽』
三遊亭兼好『小言幸兵衛』

会があることは知っていたのにチケットを取り忘れ、気づいたらすでに売り切れになっていた。それは知っていたのだが、「あ゛ーー売り切れてんだよなあーー」と未練がましく何度も公式サイトを見ていたところ、規制が若干緩和されたために追加でチケットが発売されており、慌ててチケットゲット。やったぜ!

トップバッターは木久蔵師。
つーかこの人はまあホントいつまで経っても落語ヘタだなあ。
いうても噺家になって20年くらいは経ってるんでしょ? 正直落研2年めの素人の方がまだ上手いんじゃない?
……でもだからといって面白くないのかというと、これがまた超面白い。何コレ。この感情をどう表せばいいのかわからないんだけど、いやもうホント脱帽。
もうね、リアルに落語に出てくる与太郎タイプの若旦那で、言動ひとつひとつが面白くってしょうがない。
計算してるだかしてないんだか、それもよくわからないんだけど、とにかくなんていうんだろ、もういっそ愛おしくて仕方ない。
追っかけたいかと言われれば断じて否なんだけど、マクラの素の部分を聴くだけでこの人のチケット代の元はとったな、という気にさせられる。これはこれでものすごい才能なのではないだろうか。これが「フラ」ってやつか。
言ってることを書き起こしたところで面白さは1/10も伝わらないと思うのでパス。
遊雀師を「おじいちゃん」だといじって2回乱入されるとか、弟子入り志願を断った話とか、腹がよじれるほど面白い。そしてその面白さも本人由来じゃないというのもたまらない。
あとしつこいようだけど落語はすごいヘタ。

その後のぺんぺん草も生えないような荒野に降臨した遊雀師、それでもそこから自分のフィールドに客を誘い込むのはさすが。やはりいつの間にか遊雀ワールドに引っ張り込まれ、古典を聴く体勢に引き戻される。
遊雀師らしく、おかみさんの迫力というか圧がすごい。それに対する甚兵衛さんのすっとぼけっぷりも楽しい。

仲入りの一之輔師、「四派合同っていって、うちの協会だけふたりなんですよ。まあ私は保護者ですよ」ってこの会が始まったときは二ツ目だったそうで。だいぶ立ち位置というか立場が変わっちゃったなあ。
『お見立て』を聴くのは久しぶり。
やはり杢兵衛お大尽のキャラクターが素晴らしい。「オラとけせがわ(喜瀬川)は末にはひーふになる約束をしとっからねぇっちぇ」「ストッカラニーチェ?」「大事なのはそこでねえよ!」というような訛りを徹底的にいじるのがたまらない。

生志師、とりあえずはお約束というか家元の悪口から。
このサザンシアターは真打トライアルを行ったところで、そこで結構な理不尽な扱いを受けたようであまりいい思い出がないそうだ。というか真打トライアルって自主公演ですべて自分持ちなんだ、すごいな。
その家元に「妾と愛人の違い」を教えてもらったそうで、「妻や周りも知っているのが妾、周りに秘密にしているのが愛人」だとか。「たまには役に立つことを教えてくれる」と『悋気の独楽』に入る。
お内儀さんにもらった小遣いで人形焼を買いたいなど、やや『権助魚』も混じっているか。
お内儀さんに裏切りがバレるくだりやサゲも変えられており、よく聞く型と違っていて新鮮に聞こえる。

トリは兼好師。この顔付でとりというのもすごい。
豆腐屋の次に長屋を借りに来る仕立て屋の男も常識人に見せかけて結構腹黒いというか天然というかすっとぼけたところがあるのが兼好師らしい。
「家にはサーベルしかない」と言われて、芝居の筋立てを話しているときに律儀に「ガチャ」とサーベルの音を口にするのがおかしい。それで途中で「このサーベルはずそう、うるさい」と言い出すのもまた愉快。

最後はお楽しみの大喜利。生志師が司会で兼好一之輔木久蔵遊雀の順に座る。
兼好師と一之輔師はちゃんとというか正統派の答えを出すのに対して、木久蔵師は父親と同じポジションを素でやっている感じ。もうそれがとにかく面白い。周りもそれを見てあきれながらも乗っかっていく。
遊雀師はもっと自由。もう次のお題に移っているのに「思いついたから」と前のお題の答えを言うとか。そしてそれがいまいちウケないのもまたおかしい。

終演後はいつもの兼好追っかけ仲間と思い出横丁いわゆるションベン横丁の鰻屋に飲みに行く。ソーシャルディスタンスて何? という狭いカウンターで肩を重ねながら飲み始めると、いきなり店主が客と喧嘩し始めるというなかなか普段にない緊迫感のある展開に。18時過ぎにはもう売り物の鰻串がすべて売り切れという人気の店のようだ。これでも平日はまだ全然人が少ないといっていたが、今日はかなりの人出。……そりゃあ新宿は目の敵にされるわ。
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