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落語教育委員会 [落語]

落語教育委員会
於:有楽町 よみうりホール

コント 千両みかん
三遊亭しゅりけん『やかん』
三遊亭歌武蔵『お菊の皿』
柳家喬太郎『出世キャバクラ』
三遊亭兼好『あくび指南』

ホール落語も久しぶり。
3月の好二郎さんの会以来かな。
もう何が中止になって何が開催されるのかわからないから、最近は気軽にチケットが買えない。特にオンラインで買った場合は手数料もかかるのにそこは返金されないし……。
で、どうやら落語教育委員会は開催するらしい。いつもなら兼好師が一席だけの会は行かないのだが、もうそうも言ってられない状況。当日券が数枚出るとのことなので、急遽行くことにした。
会場はやはりひと席おき。チケットは売れてるはずなのだが、着席禁止席を差し引いても空席が目立つ。

コントは『千両みかん』をベースに。
若旦那の歌武蔵師が気鬱のワケを言おうとすると番頭の喬太郎師の携帯が鳴る、というものなのだがここでミラクルが。
「若旦那……本当に電話がかかってきてしまいました……わん丈さんから。昨日のお礼だったら午前中にかけてくればいいのに」。
「携帯の電源を切れ」というためのコントの最中に電話がかかってくるというのは面白い。さすがに実際には出てくれなかったが、出てたらもっと面白かったかも。
兼好師はみかん問屋の主人。『千両みかん』のみかん問屋は「万惣」なのだが、「ええとこちらは万惣さん。三遊亭萬窓さん……ではない?」「あちらとはだいぶ前から離れてやってます」「またえんじょうするからね」と圓生問題を蒸し返すようなやりとりを交わす。
みかんを渡す際に「今は近くに行けないから投げます」といい、そこからヒゲダンスに。兼好師と喬太郎師のヒゲダンスという珍しいものが見れた。

開口一番はしゅりけんさん。
しゅりけんさんも久しぶり……だけどなんかすげえ上手くなってない?
根問い部分もいろいろなことをたっぷりと聞いてから魚根問いになりそこからやかんとなるが、どこもスラスラっとスムーズでまったく噛まない。講談部分も上手。
この自粛期間にみっちり稽古したのだろうか。

歌武蔵師、久しぶりに客前で喋れて「柄にもなくウキウキしてる」そうだ。
自粛期間中はすることもなく、たまに散歩してみたら帽子マスクで上下をきりながら稽古をしてしまい空き巣の下見に間違えられたとか。
また今日から始まる名古屋場所についても。無観客だからこその楽しみ方として、呼び出しにも注目する。私はよく知らないのだが、現在の立呼出はひどいのだとか。「ヘタとかそういう問題じゃない。あれは音痴なんです」だそうだ。へー。しかしそんなことはすぐにわかりそうなんもんだけど。
噺に入り、お菊が井戸から出てくると「……太ったお菊だなあ!」。
ハメモノも入れてドロドロ……と鳴らす。噺の途中で鈴を鳴らす場面が出てくるのだが、そこは鳴らない。歌武蔵師が袖を見ながら小声で「……チーン!」というと遅れて鈴が鳴り、会場は爆笑。そういう演出なのかとも思ったが、「久しぶりだから打ち合わせがうまくいってない」とこぼしていたので本当に業務連絡ミスなのかも?

喬太郎師もなんかはしゃぎ気味? わざわざ高座を降りて「池袋からきましたー!」と駆け回ったり。
喬太郎師は配信などもいくつかやってきたそうで、よく「無観客は反応がなくて大変でしょう」と言われるがそんなことはないそうだ。「一番つらいのはお客がいるのに反応がないこと」だそうだ。なるほど。高座ではマクラを振りながらも「あ、この話すると長くなるな」とか「お客さん飽きてきてるな」などを敏感に察知するのだが、リモートではそれがなくなるのでマクラが伸びたという。
喬太郎師もコロナで太ったらしく、「昨日は92.5キロで今日は90……なんで俺こんなこと報告してるんだろ」と途中で我に返る。酒はだいぶ減らしているそうだが揚げ物はやめられないそうで、落語協会の近所にある惣菜屋や、池袋演芸場の近くにあるカレー屋でのトッピングの揚げ物の旨さをとうとうと語る。「いままではテイクアウトやってなかったのに、コロナのせいでテイクアウトはじめたの!」というときの嬉しそうな顔といったら。でもそうねー揚げ物うまいですよねー。
マクラを話すのが楽しくなったらしく、「あーもー今日は落語やらない!」とまでいいながら話はどんどんいろんな方向へ。
学校寄席での一龍斎貞水先生のモノマネを高座降りてやったり、「池袋演芸場に行ったことがない人」「三遊亭白鳥を生で見たことがない人」とアンケートを取ってその少なさに「あんたらおかしい」といってみたり。いやこのさなかに落語行くような人たちだから、そらそうなるでしょうよ。
さんざん会場を爆笑させておいてようやく噺に入る。
キャバクラの雇われ店長が来年田舎に帰らなければならず、スタッフに「田舎の人がなんとなく名前は知ってるけど行ったことのない東京」に連れて行ってくれと頼む噺。戸越銀座に始まり、板橋、梅屋敷、浮間舟渡など微妙な街を経てなぜか父島へ。街のチョイスがすごい。というか都民でも知らない人がいるんじゃ……。

トリの兼好師、配信もほとんどやっていないので無観客には慣れておらず、「お客様って大事だなって改めて思いました」とのこと。
約3か月のブランクの影響は大きいらしく、最近ようやく仕事が入りつつあるものの今までのようにいかないのだとか。以前は前の演者のネタを聴いてすぐに「じゃあこのネタをやろう」と出てきたのに、今はそううまくいかないという。「なので、今日は一席稽古してきました。歌武蔵師匠はこんなネタやるかも、喬太郎師匠はこれかも、季節を考えて……と考えて稽古してきたのが『千両みかん』なの。まさかコントに潰されるとは……。コントは本番直前に考えるんですが、喬太郎師匠から『今日は千両みかんでやろう』と言われて。さすがに『やめてくれ』とは言えないので……」と苦笑する。
『あくび指南』は好きな噺なので聴けて嬉しい。
「寄席のあくび」は「久しぶりに落語に行ってワクワクしていたらなかなか噺に入らず、挙句の果てに一龍斎貞水先生のモノマネまで始めたときのあくび」。
習いに来た男と師匠がキャッキャやっているところがおかしい。

終演後は密を避けるために規制退場。どこかで一杯やって帰ろうかと思ったが、感染者も増えていることだしおとなしく家に帰る。都知事選で投票してからお惣菜屋でチキンカツを買って家で飲む。喬太郎師の噺の影響か。
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