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第三十一回 にぎわい倶楽部 西のかい枝・東の兼好 [落語]

第三十一回 にぎわい倶楽部 西のかい枝・東の兼好
於:桜木町 横浜にぎわい座

立川かしめ『子ほめ』
三遊亭兼好『手紙無筆』
桂かい枝『星野屋』
桂かい枝『屁臭最中』
三遊亭兼好『佐々木政談』

さて出かけようかと思ったときにいつも前売り券を入れているところにチケットがない。
申し込みだけしてチケット引き取ってないんだっけと思いつつも、いやーにぎわい座のチケットセンターで受け取った記憶あるなー……。
会員として買ったから座席番号とかはわかるだろうし、いよいよとなったらチケット忘れたとでも言い張るか……? とまで思ったが、いやいやそれはさすがにいかんだろと自問自答する。というかカバンにもチケット入れにもないとなると思い当たるところがない。途方に暮れながらもチラシをまとめて置いてあるところをパラパラとめくってみたらにぎわい座のチケット袋がチラシに紛れて現れ、中からチケットが。あっぶねぇー! よかったー……。
やっぱりチケットは買ったらすぐにいつもの場所に保管しておかなくてはと反省した次第。
出がけに思わぬ時間を食ったせいで昼メシの時間がまともに取れなくなってしまった。

さて前座のかしめさん、高座を聴くのは初めてか。あれ、二ツ目に昇進したんじゃなかったっけ? 決定しただけで実際にはまだなのかな。
思ったより、といったら失礼だけど、しっかりとスタンダード。
師匠が自由な感じだから似てるのかと思ってた。まあ「弟子には何も教えてない」って言ってたしね。

兼好師の一席め、やはりこのところのマクラといえば新型ウィルス。
「あのクルーズ船の対応はわからないですね。感染がわからないと降りられないんですよ? 逆ならわかるんですよ。感染者は船に戻して隔離して医療を受けさせればいい。で船が感染者でいっぱいになったら出航……」。なかなか黒い……。
「でもかわいそうですね、高いお金払って夢のクルーズ船乗ったらこんなことになるなんて。……皆さんクルーズに乗るような生活してなくてよかったですねえ」。また黒い。
「でもこの会場に感染してる方がいて、この後ここが閉鎖されて皆さん隔離される可能性だってあるわけですよ。そしたら私とかい枝兄貴とふたりで皆さんを退屈させないように、ネタが尽きるまで高座を努めます」。……それはそれですごく魅力的ではあるなあ……!
最近は情報が多過ぎるから余計に混乱する、昔は情報伝達方法は手紙くらいしかなく、と『手紙無筆』に入る。
弟分が無筆とわかったときの兄貴分の「この文明開化の世の中に! 残りわずかといわれた!」と嬉しそうな顔がたまらない。その分兄貴分も無筆と感づいたときの弟分の逆襲も楽しい。
……あれ、サゲ……これだと意味が通じないのでは?

かい枝さんの一席め、やはり話題は新型コロナウィルス。今朝大阪から東京にきたが、東京や横浜の人が普通にウィルスの心配をしているのに対して、大阪はそんな中でも話にオチをつけたがるのだそうで。
噺は江戸落語でもお馴染みの『星野屋』。
江戸ではお花の母親は最後に出てくるだけだが、上方なのかかい枝さんのは悪知恵を授ける重要な役回りになっている。
しかし上方弁だからか、最後の攻防のエグさがより際立っているように思える。

二席めはネタ出し。『屁臭最中』と書いて「へくさのさいちゅう」。
今では誰もやらなくなった噺を落語作家たちと掘り起こすという「発掘かい枝」という活動をしており、そこで掘り起こした噺だとか。「誰もやる人がいなくて私しかやってないので比べられるということがない。つまり世界一」とのこと。
噺の内容は恋煩いに罹った商家のお嬢さんが、お守りから出てきた神様に恋愛成就を頼むというもの。ただしその神様が願いを叶えるには願いを掛けた人が恥をかかねばならず、一番簡単なのが想い人の前で屁をして嗅いでもらうことで、臭ければ臭いほど強い願いを叶えられるというもの。
この神様がコテコテの河内弁。河内弁て大阪弁の中でも一番ガラが悪いんじゃなかったっけ。神様なのにガラ悪く下品なことをまくし立てるというそのシチュエーションが面白い。

兼好師の二席め、「先日誕生日を迎えて50歳になり、老人の側に入った。いろんなことを忘れるし覚えられないし、間違えるし……。しかも間違えたことに気づかない。指摘されて初めて『あれ、間違えてた!?』となる」。ハッキリとは言ってないけど、やっぱりさっきの高座のことだよね……。
自分が老けたというところから少子化の話になり、さらにそこから子どもの噺であるネタ出しの『佐々木政談』へ。
あれ、俺もしかして兼好師の『佐々木政談』初めてか? 前にたまたま行けなかった会で『佐々木政談』が掛かったということを他の人から聴いて悔しかった覚えがある。
こういう大きめで、いかにも兼好師がよく掛けそうなネタでも未聴があるんだから俺もまだまだですな。
兼好師の『佐々木政談』は佐々木信濃守と行動を共にしている与力の三蔵がすっとぼけていて楽しい。四郎吉がお奉行ごっこで「余は佐々木信濃守なるぞー」と名乗ると、怒るどころか「ええっ!」と間に受けた上、隣にいる佐々木信濃守に向かって「ではあなたは誰?」と聞いたり、「ごっこ遊びをする子どもというものは妙なものに憧れるものですなあ」とうっかり暴言を吐いたり。
お白州の場であまりにも自由に振る舞う四郎吉に振り回されてすぎて早々に目を回して伸びてしまうおとっつぁんもおかしい。

今日は次があるため、すぐに次の場所へ移動。
その電車の中でにぎわい座から電話がかかってくる。何かと思い乗り換え駅で折り返してみたら、どうやらにぎわい座のポイントカードを座席の近くに落としていたらしい。
しかも「チケットの予約状況を確認してみたら、この先にいらっしゃる予定がなさそうでしたので……」とのこと。いやすげえなにぎわい座。ポイントカードに会員番号が書いてあったかは覚えてないけど、それだけで電話してきてくれるんだ。
まあにぎわい座にはそんなに遠くない将来行くだろうし、取り置いてくれるとのことなのでそのように頼む。ちょっと感動した。
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