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夏のコタツ [落語]

夏のコタツ
於:日本橋 食堂ピッコロ

入船亭小辰『猫と金魚』『棒鱈』『お初徳兵衛』

昨日に引き続き今日も一日休みなので落語へ。最近予約がしづらいのがなあ。
この会は会場が狭いので、まあ満席だろうなーとダメ元で当日に連絡をしてみる。ほどなく満席であるとの返事が来、まあそうだろうなーと仕方なくビールを飲む。一口飲んだところでキャンセルが出たと改めて連絡が来た。バイクで行けなくなっちゃった。まあ雨が怪しいし電車で。

一席め、マクラは電車に乗っているときのことについて。最近は席を譲っても断られることが多いので譲る前に「ここ座る?」と聞く、とか電車に捨てられてたゴミを拾って捨てようと思ったらG20のせいで駅のゴミ箱が封鎖されてる、とか。
電車の中にすごいイケメンが座っていて、外国人にもネイティブみたいな英語で話してるし足も崩さず綺麗に座っていて非の打ち所がない。ケッと思っていたが、ツレと思しき女性が肩に寄っかかって寝ていて、その女性がイマイチというところで心の均衡を保っていたのにその女性にも単に肩を貸していただけということがわかり、いよいよ文句のつけようがないと歯噛みしているときにひょいと見たらチャックが開いていたそうで、「逆に好きになった」。
噺に入ると番頭さんのアスペっぷりがなかなか。俺は結構小辰さんにある種の狂気のようなものを感じるのだけれど、こういう噺だとそれがなんだかぴったりとハマる気がする。

そのまま二席めに。
今は二ツ目ブームということでいろいろな仕事があるが、昔は仕事がなかったそうで、ちょうど扇辰師の世代は余興の仕事ばかりだったという。扇辰師と仲の良い喬太郎師とバスツアーの仕事があったそうで、「扇辰喬太郎がガイドして夜には落語会があって……。今なら1万取れる」。確かになあ。
小辰さんも余興ではないが変わった仕事として、お坊さん相手に落語をしたそうな。坊さんも偉くなるためには単位を取る必要があり、70分落語を聴けば1単位とれるのだとか。90分の落語会だったそうだが、「あの人たちはまったく笑わない。『替り目』で笑いが取れないとかなり心にクる。『……まだ行ってねえのか!』で笑いが起きればそこで終わらせられるんだけど、笑わないからオチまでやるしかない。さらに解説もしなきゃいけなくて地獄」だったそうで。
そこのギャラを貰う時に「我々税金払ってませんから。反社会的な闇営業ですね」と言われたとか。ブラック。
「闇営業といえば、我々は協会から仕事なんかほとんど貰いませんから」といい、たまに旅の仕事がある程度とか。前座時代に扇辰師の旅の仕事のお供に行ったことがあるそうだが、喬太郎師、二楽師、紋之助先生と一緒だったそうで、いつもは旅の仕事の前は嫌そうな扇辰師がウキウキと楽しそうだったために「師匠楽しそうですね?」と聞いたら嬉しそうに「修学旅行だ」と答えたというエピソードが微笑ましい。
噺に入るが、最初に「喉をやってしまって今日はプーさんよりハチミツを舐めてる」と言っていたのに『棒鱈』!? 喉酷使するなあー。
やっぱり柳家なんだなあというピシッとした一席。

三席め、「『船徳』から『お初徳兵衛』が生まれたと思っている方がいますが逆です。『藪入り』なんかも元となる噺があって、そこから切り出されていて、そうやって生まれた噺は大概名作と呼ばれています。なら元となった噺も名作かといえば……必ずしもそういうわけではなく……なぜそれほど演じられないかというとあまり面白くないというか。いや面白くないわけじゃないんですが、笑いどころが少ないんですよね。それにこういう噺は見た目がシュッとした人が演ったほうが。雲助師匠とか。馬石師匠とか。……龍玉師匠とか」。確かに雲助一門は似合いそうだなあ。「…………白酒師匠は入らない」。まあ、まあね。
確かに笑いどころは少ないが、しっかりきっちりと聴かせてくれる。『船徳』の元になる部分って「船を3回廻して、船を避けそこなってひっくり返しそうになって」というちょっとしたくすぐりのところなんだろうなあ。ここからあんな長い噺ができるとは。
後半のお初の告白の場面などは墨絵の風景が見えるかのよう。

終演後は雨の降るなか東京駅まで歩く。……単純に定期が使えるからという理由だけだったが、おとなしくお金払って地下鉄の茅場町から帰りゃよかった。
タグ:入船亭小辰
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