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けんこう一番!第八回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第八回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

三遊亭兼好『強情灸』
三遊亭じゃんけん『位牌屋』
三遊亭兼好『不孝者』
池山由香 アルパ&歌
三遊亭兼好『花見の仇討ち』

今日は代休。正直代休を取れるだけの余裕もないのだけれど、ここ最近のストレスで心身ともに壊れそうなので思い切って休む。が、気がまったく休まらないで自然と顔がしかめっ面になってしまう。こんなに仕事が嫌になったのは初めてだなあ。金さえあれば。
夜勤明けの彼女を車で迎えに行き、回転寿司をたらふく食べ、ふたり揃って床暖の上で猫と一緒に昼寝。それはそれで幸せなシチュエーションではあるけども。

雨が降るというので電車で。

兼好師の一席め、今年は金沢が税務署に狙われている、という話題から。金沢新幹線が通って潤ったために不正をする人も増えたという。そこから昨年ご自身が税務署に監査に入られた話になり、結局なにもなかったが、「足立区にだって人はいっぱいいるので、そんなひとりだけに構っていられないんで、今後はおそらくもう二度と監査が入ることはないんだそうです」といってニヤッと笑う。
何も不正がなかったのは、お金の管理を任されているおかみさんがそういうことが嫌いだからだという。不正大好き、というのよりはいいが、それは反面頑固で融通が利かないことにつながるという。人の名前を間違えたり、買い物を間違えても絶対に謝らない、強情だ、といって『強情灸』に。
峰の灸の従業員が首を小刻みに左右に揺らすのだが、それだけでもうなんとなくおかしい。
腕に山盛りの灸を据えて、いよいよ熱くなったとなったときに大抵の人は声が低く腹に力が入った感じになるのだが、兼好師は声が裏返って「はっぷ@/&_#石川っ@/&_#☆¥%」とうわ言のように呟く。これがまたとにかく面白い。

じゃんけんさん、座布団を返さずそのまま座る。
高座返しっていうのは後に座る人へのエチケットみたいなものであって、師匠の後に座るのに座布団を返すというのはおこがましい、ということなのだろうか。勝手な推測なので合ってるかは知らん。
旦那が芋屋から芋をせしめる場面は繰り返しが必要なんだろうけど、あそこはなんとか短くならないものか。芋屋の戸惑いやイライラが伝わってくるのはよかった。

兼好師の二席め、同窓会に行ってみたい、幼馴染と久しぶりに会ってくっつくということもあるというところから噺に入る。
『不孝者』は久しぶりで、あのマクラから何の噺か思い出すのにしばらくかかった。
いつもながら兼好師の田舎者はエッジが効いていて面白い。
旦那がお茶屋に乗り込んで行った場面は笑わせる要素は少ないものの、小唄を聞かせるなど芸達者ぶりを遺憾なく発揮する。
芸者の欣也との思い出話などもしみじみと聴かせ、後半になっていくに従っていよいよ盛り上がっていく。
中だるみもなく、その聴かせようはまったくお見事。
なんかいい雰囲気なんだこれが。だからこそ最後の一言が効く。

パラグアイの民族楽器アルパ奏者の池山さんがゲスト。
アルパとはスペイン語で「ハープ」のことだそうな。
通常のオーケストラなどで使うハープとはふた回りほど小さい感じで、150cmくらい?
いつも思うのだが、楽器の形が▷のような形ならば弦の張り方は均一でいいと思う。が、ハープは上辺が波型になっていて弦の長さの変化が均一ではない。あれどういうチューニングなんだろう……という中途半端に楽器をかじった者の中途半端な疑問がモヤモヤする。
あとこういうマイナー楽器奏者の、なんでこれを選んだのかという動機を聞いてみたい。池山さんは子どもの頃に家庭の都合で南米で暮らしたそうだが、だからってなぜアルパをわざわざ選んだのか? ケーナだってあるじゃないか。
そんな私の疑問なぞどうでもよく、『コーヒー・ルンバ』、『ベサメムーチョ』、パラグアイ民謡『牛乳列車』、『早春賦』と披露していく。
『牛乳列車』よかった。途中でテンポの刻み方が変わるのは、南米音楽の特徴なのだろうか。
最後のメキシコ民謡はタイトルわからず。
いやあいいもの聴いたなあ。これ好き。

兼好師の三席め、いよいよ花見シーズンの噺ラッシュが始まると感じさせる一席。
兼好師が他の人と違うのは、噺の中の茶番のクオリティが高いこと。
稽古を積んで浪人役と巡礼兄弟の殺陣などが上手くいっているからこそ六部の不在が惜しい、と噺の筋を無視した感想さえ出てきてしまう。
そもそもこの茶番のクオリティが低かったら、助太刀の侍たちは首を突っ込んでこないはず。なんか兼好師の噺は、落語によくあるそういう矛盾をロジカルにさらっと解消してくれて、もうなんというか俺みたいな小理屈を捏ねるヒネた落語ファンを納得させてくれるから……もう好き。
落語によくある「そこらへんはまあいいじゃん」という理屈が通らない部分と、「いやそれはおかしい」という理屈とが、うまい具合に融合しているのが兼好師の落語の魅力だと思うのです。

酔っ払いながらこれを書いているので、自分でも何言ってるんだからもうよくわからなくなっていることをお詫びいたします。
まあ詰まるところ、兼好師匠はいい、ってことだよ!

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