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五月猫同窓会 [落語]

五月猫同窓会
於:なかの芸能小劇場

立川幸之進『つる』
柳家小せん『金明竹』
春風亭百栄『バイオレンス・スコ』
寒空はだか 歌うスタンダップコメディ
三笑亭夢丸『徳ちゃん』
三遊亭兼好『野晒し』

高校時代の友人と飲みに行く約束をしていたのだが、友人がギックリ腰になったため本日は中止。お互い身体にいろいろガタがきてるなあ。

昨年に引き続き、GWに開かれた五月猫同窓会。同窓会といいながら、夢丸師は初めてらしいが。昨年は萬橘師だったな。

まずは出演者全員と、主催者のひとりである恩田えりさんが出てきてオープニングトークと順番決めのくじ引き。小せん師がわざとらしく「トリとりたいなあー」などといいつつひとりずつカードを引き、いっせいにオープン。途端に兼好師から「ああっ!」という続けて「中もピンだ」という声が上がりそうな悲鳴が聞こえる。こういうのって大概兼好師がトリなんだよな、という私の予想を裏切らず兼好師がトリ。やっぱりな。

幸之進さん、ご隠居が「つる」の由来をその場で思いついて、八っつぁんのツッコミ待ちという形。それが八っつぁんに感心されてしまい、戸惑っている姿がおかしい。
また、このふたりは『道灌』などのふたりらしく、「いつもご隠居の話は傘の断りようとかよくわからないけど、この話はよくわかる」というのも楽しい。

小せん師、「トリとりたかったんですけどねえ。まあこの時間なのでもっとのんびりとした噺を……」と『金明竹』。
松公に傘や猫の断りようを教えるところから入るフルバージョン。小せん師では初めてで、二ツ目時代にも聴いたことなかったはず。
使いの男が、回を重ねるごとに身振り手振りが大きくなっていくのが面白い。他の部分の語り口が淡々としているだけに際立っている。

百栄師、相変わらず第一声は気の抜けた感じの「こんにちはー」。
久しぶりの『バイオレンス・スコ』。久しぶり、っていうほど百栄師聴いてないけど。前聞いた時もこのなかの芸能小劇場だったな。
たしか前回聞いた時はミルクとシュガーを飼っていなかったが、晴れて猫飼になった今では、より噺の面白さが増した……気がする。

はだか先生、東京六大学野球が好きで最近は週末によく神宮に行っているのだとか。
慶応や早稲田、法政のヒッティングマーチを息が上がるほど熱演。
高校野球の甲子園は強豪校が金にあかして有力選手を集めるのでカネの匂いがしてあまり好きではないが、六大学野球は伝統芸能のようになっているから面白いのだとか。投手が8回まで好投したら9回も投げるとか、5回にあるチアのパフォーマンスが終わらないうちに攻撃が終わってしまうことがあるなどなど。なんかちょっと興味が湧いた。
都営地下鉄と東京メトロのことを昔のヒーローアニメソングのように歌った『少年メトロ』が面白い。「『東京都営地下鉄』と『東京メトロ』を足したら『東京トトロ』」というのは大受け。
最後はもちろん『東京タワーの歌』。

夢丸師も六大学野球が好きらしい。ただし行くのは東大のゲームのみで、東大応援席で「頑張れ後輩たち」という顔して見ているのが好きとのこと。
兼好師と同じく普段から着物で過ごしているとのことで(着物に火をつけたら兼好師のは燃え、夢丸師のは溶けるのが違うそうだが)、どうも着物を着ているとコンビニでカルピスウォーターが欲しくても周りの目を気にしておーいお茶を買ってしまうそうだ。まああの歳で着物だと目立つだろうな。
で、冒頭で「今時着物を着ているのは応援団か噺家」というセリフがある『徳ちゃん』に。
この話は一之輔師と宮治さんくらいでしか聴いたことがないが、このふたりに共通するのは観客を押し切る圧倒的なパワー。特に花魁が出てきてからの勢いは強烈。夢丸師は一之輔師と同じ形のようだが、どうしても比べてしまうと圧が物足りないかなあ。もちろん面白いのだけど。

兼好師、出番順について。年に何度かこの会のように当日になって出番順を決める会があるのだが、いつも「この順番だけは嫌だな」と思っている順番を引き当ててしまうのだという。
先日の大日本橋落語祭にも触れ、「一日めは『負けるんじゃないかな』と思っていたら予想通りジャンケンで負けてトリになった。二日めは『これではいけない、今日は勝つんだ』と思いながらジャンケンしたら一抜けできた」と説明。
「なるほど、気合を入れていれば勝つんだと気づいたんです。だから今日はずっと気合入れて準備をしていた。小せんあんちゃんが『トリとりたいなあ』と言っているのを見て『そう思ってると本当になるんだぞ』とほくそ笑んでたし、百栄師匠が『トリのネタじゃないし』と言っているのを見て『そういう風に思ってるとトリを引くんだ』と思っていたのに……引いたらこれですよ」と結局は引きの弱さを嘆いていた。まあ兼好ファンからしたらありがたいんだけど。
「で、なにをそんなにトリを嫌がっているのかというと、トリネタなんて用意してないから」と事情を明かす。
とはいいながら釣りの場面で終わらないフルの『野晒し』は聴き応えがある。
八っつぁんと隠居の掛け合いもカラッと明るくて楽しいし、釣りの場面の「さいさい節」はコブシも効いて心地よい。
野晒しの骨は茂みにいくつもあり、これだと思って勝負をかけてみたら男の骨で男の幽霊がお礼に来た、というのも他に聞かなくて面白い。仕込んだ伏線を回収しているのも見事だし、何よりわかりやすいのがいい。

演者それぞれの個性が味わえた会だったと思う。
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