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けんこう一番!第二回三遊亭兼好独演会 [落語]

けんこう一番!第二回三遊亭兼好独演会
於:国立演芸場

ご挨拶
立川幸之進『狸札』
三遊亭兼好『三枚起請』
亀井雄二 舞囃子『敦盛』
三遊亭兼好『能狂言』

明後日提出の案件が2本あって、本当は落語どころではないんだけど……もう仕方がない、覚悟を決めて定時少し前に会社を出る。明日ものすごく頑張る。ちと早めに行くか……?

まずは兼好師独演会では恒例のご挨拶。
スポーツの秋ということでラグビーやフィギュアスケートの話題など。
また、ノーベル賞を受賞した大村氏を引き合いに出し、「定時制の教師をしながら、手を油で汚しながらも勉強する生徒を見て『俺も頑張ろう』と考えた。やはり成功する人は凡人と物の見方が違う。……これは落語も同じことで、たとえ間違えたり噛んだりしても『なんだ、ダメだな』と思わずに『間違えたけど落ち込まないように笑ってあげよう』っていう見方が大事なんじゃないかな」という、まあお約束の予防線を張る。そんなこといってそこまで外すことは今さらないでしょ……。

今日は前座さんはけん玉さんではなく(けん玉さんは開演前の諸注意のみ……)、立川談幸一門の幸之進さん。移籍によって前座まで戻った経歴の持ち主だが、最近さすがにその話題をするのも疲れたとマクラで語る。まあ半年以上経ってるしそりゃそうか。
兼好師によれば、「立川流の前座修行ではわからなかった前座の仕事がわかるようになって楽しい」と言っているそうだ。頑張って欲しいものだ。
さすが芸歴12年だけあって、マクラで時間を使った分、枝葉末節をバサバサと刈り取ってシンプルに噺をまとめる。

兼好師の一席め、久しぶりの『三枚起請』。
マクラでカラスの話題を振り、『駒長』かとも思ったが。
若い伊のさんが、騙されたとわかった途端に被害の大きかった清公に対してどこか上から目線なのがおかしい。
吉原に乗り込んだ棟梁が、喜瀬川に甘い言葉を言われて毎回一瞬まんざらでもなさそうに顔を弛めてハッとするのも笑いを誘う。

能を生で観るのは初めて。バックに松の絵の幕がかかっている。
まずは素囃子という笛と鼓、大鼓(おおかわ)の3人でのお囃子から。大鼓って鼓より大きいから音が低いのかと思ったらコーンと高い音なので驚いた。あと笛、ピシィッピシィッと大きな身振りで指を動かすってのも発見。吹奏楽だと怒られるヤツだ。
その後、亀井さんによる能の解説があり舞囃子に。『敦盛』といえば織田信長で有名だが、よくある「人間五十年」というフレーズは北九州の民謡だかのもので、能のものではないんだそうだ。へーえ。
お囃子さん3人に地謡2人、で舞う人がいて、落語に比べると結構大掛かりだなあ。
正直見ていてものすごく面白い、というわけではないんだけど、なんていうんだろう、もちろん見ていて不愉快ではないし、つまらない、というわけでもない。なんというか日本人のDNAに刷り込まれていて、自然に「ほうほう、うんうん」という感じで確認している感じ。上手くいえないけど。伝わらないだろうなあ。

兼好師の二席め、松の幕をそのままに、能をテーマにした噺に。
まったく知らなかった噺で、調べてみたら「近年では6代目三遊亭圓生しか演じた者はいない」だそうだ。
殿様に命じられて能狂言を演じなければならない田舎侍が、まずは「能狂言とはなにか」から調べるのだが、そこからがすでに面白い。なんで兼好師の田舎者はこんなにもキュートなのか。
結局江戸から来たドサ回りの噺家に適当に教えてもらうのだが、これは忠臣蔵の『五段目』を能風に演じるというもの。鳴り物は楽器がないのですべて口三味線で、それがなぜか訛っているというのがバカバカしくもおかしい。んーしかしこれはやっぱり『四段目』や『七段目』のように、歌舞伎の素養がないと面白さは半減かな。
最後は噺の中の登場人物の仕草に合わせて、そのまま兼好師が舞台袖に退場していくという珍しい形。これもまた初めて。
まったくもって兼好師の引き出しの多さには驚かされる。

しかし以前兼好師から直接聞いたところによると、土日向けの噺と平日向けの噺があるのだそうだ。土日は初めて落語を聴くというお客さんも多く、どうしてもスタンダードなもの、わかりやすいものになってしまうのだという。対して平日に落語に来るお客さんは落語好きが多いので、いろいろな噺ができるのだとか。うーん。基本土日にしか行けないリーマンには厳しい話だ。
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