大日本橋亭落語祭2015 5月4日 [落語]
大日本橋亭落語祭2015 5月4日
於：三越前 お江戸日本橋亭
旭堂南湖『大岡政談・下（匙加減）』
三遊亭兼好『孝行糖』
三遊亭遊馬『長命』
笑福亭たま『花ねじ』
柳家三三『茄子娘』
春風亭一之輔『啞の釣り』
さて二日目。
順番決めのじゃんけんをするときに兼好師が「今日も団体戦にするんですよね！」と昨日のリベンジに燃えている。
が、二組に分かれた三三遊馬兼好組の中で最初に負けてしまう。一番になった三三師が「これであたしが団体戦で負けたら二日連続で兼好さんがトリということに……」と言われ、「兄さんホント頑張って」と懇願。そんなに？
めでたく三三師が勝ち、本当に嬉しそうに「二番目！」と選ぶ。
さて昨日に続いて今日も一番手の南湖さん、今日はさすがに大岡越前が登場。
それはいいのだが、長屋の大家さんがちょいちょい大阪弁になるのが気になる。まあ登場人物全員イントネーションが江戸弁とは遠いんだけど。
そういや南湖さんはこの会で江戸の噺を掛けることが多いような気がする。
淡々と語るからか、叶屋の非道さや大家にやり込められるときのカタルシスはやや弱めか。
今日はけん玉さんが高座返しとして前座働きをしていた。
いつもこの会は前座がおらず、昨日も各自で高座返しをしていた。
三三師の高座返しが見られるなんて、今やこの会しかないかもしれない。
兼好師、誰にでも与太郎な部分を持っているとして前座時代の失敗談を語る。
好楽師は普段あまり怒らないのだが、その日は機嫌が悪かったのか大声で怒鳴られ、「大将（五代目圓楽師）にそんなことしたら承知しねえぞ！」と叱責されたのだとか。そこで頭が真っ白になってしまった兼好師は「師匠にしかやりません」と答えてしまったのだそうだ。
その兼好師が演ずる長屋の連中は、与太郎でなくても底抜けに明るくて楽しそう。
与太郎はそこに輪をかけて楽しそうで、いいなあーと羨ましくなる。
遊馬師、もしかして遊馬師の『長命（短命）』は初めて聴くかも？ もし聴いていたとしてもかなり久しぶりだろう。とにかく記憶にない。
かなり無駄を削ぎ落したというか、あまりいろいろなことをしない。
たとえば、他の人なら察しの悪い八っつぁんにコタツの例やらいろいろ出して説明するのだが、「おまんまをよそうだろ、渡すだろ、手と手が触れる。顔を上げれば奮いつきたくなるようないい女。……短命だろう？」を繰り返すのみ。ただ、表情がかなり豊かになっている。これはこれでかけそばのような、マルゲリータ・ピザのような、シンプルな中に味わいがある。
家に帰ってきておかみさんとわーわーやる場面も仲の良さが透けて見えて心地よい。
たま師、『花ねじ（鼻ねじ）』は初めて聴く噺。
とにかく勢いがすごい。大阪弁の迫力と相まって、聴いているこちらまで圧倒される。
使いの定吉が建前の口上を伝えられず、本音の部分だけをイキイキと語るのがおかしい。
三三師、たま師の高座に触れ、「『花がさらさらーーー!!!!』って花が散る擬音じゃねえよなぁと楽屋で盛り上がっておりました」と明かす。
自身は田舎の夏の風景を静かな口調で鮮やかに描いてみせる。すごいな初夏の爽やかな山の麓の農村が見えるようだ。「これが江戸前の芸です。『花がさらさらーーー!!!!』とは違うんです。……まあわざわざいうことじゃありませんがね。修行が足りねぇなあ」と自慢半分反省半分。
『茄子娘』は4〜5年前に兼好師で一度聴いただけ。扇辰師がよく演るらしいが、聴いたことないんだよなあ。
さっぱりとした夏野菜のような味わい。
一之輔師、与太郎が七兵衛のところにやってきて、「なんか金儲けの話ない？ 飴屋なんか儲からないんだよ」「そりゃあ隣町の与太郎だろ！ お前は親孝行なんてしねえだろ！ ……これ噺ツイてねえか？」と気づいた様子。あーこうなると後ろに行くほど不利というか難しくなりそう。
ただやはり一之輔師がすごいのは、そこに茄子娘や短命のネタも突っ込んで、噺のごった煮のようにまとめあげたところ。それがまた面白い。ただ「あと大岡越前！ あーもう思い浮かばないからいいや！」と流石に大岡政談までは組み込めなかったようだ。
『唖の釣り』も普段あまり聴かない。やっぱり肉体的な障害を扱ってるっぽいからやりづらいのだろうか。
今日の企画は大日本橋亭アタッククイズ。
今日は江戸前の師匠たちが青（三三）、黃（遊馬）、緑（兼好）、赤（一之輔）の着物を着ているので、ホワイトボードに着物の色に合わせた折り紙を使ってパネルの取り合いをする。
ただ、四人はアタッククイズ25を見ていないようで、ルールをあまり把握していない。普通は十字形にパネルが取られていくらしいが、X字型にパネルが増えていく。たま師曰く「こんな状況見たことない」。
普通のクイズあり、各師のエピソードクイズあり、昨日も好評（？）だった南湖さんのラララクイズあり。
一之輔師のエピソードクイズが汚くて最高に面白かった。男子高っぽい。
で、今日のクイズ優勝は一之輔師。三三師も最後まで競っていた。
来年もまたあると明言されたいたので、また来年のお楽しみ。
於：三越前 お江戸日本橋亭
旭堂南湖『大岡政談・下（匙加減）』
三遊亭兼好『孝行糖』
三遊亭遊馬『長命』
笑福亭たま『花ねじ』
柳家三三『茄子娘』
春風亭一之輔『啞の釣り』
さて二日目。
順番決めのじゃんけんをするときに兼好師が「今日も団体戦にするんですよね！」と昨日のリベンジに燃えている。
が、二組に分かれた三三遊馬兼好組の中で最初に負けてしまう。一番になった三三師が「これであたしが団体戦で負けたら二日連続で兼好さんがトリということに……」と言われ、「兄さんホント頑張って」と懇願。そんなに？
めでたく三三師が勝ち、本当に嬉しそうに「二番目！」と選ぶ。
さて昨日に続いて今日も一番手の南湖さん、今日はさすがに大岡越前が登場。
それはいいのだが、長屋の大家さんがちょいちょい大阪弁になるのが気になる。まあ登場人物全員イントネーションが江戸弁とは遠いんだけど。
そういや南湖さんはこの会で江戸の噺を掛けることが多いような気がする。
淡々と語るからか、叶屋の非道さや大家にやり込められるときのカタルシスはやや弱めか。
今日はけん玉さんが高座返しとして前座働きをしていた。
いつもこの会は前座がおらず、昨日も各自で高座返しをしていた。
三三師の高座返しが見られるなんて、今やこの会しかないかもしれない。
兼好師、誰にでも与太郎な部分を持っているとして前座時代の失敗談を語る。
好楽師は普段あまり怒らないのだが、その日は機嫌が悪かったのか大声で怒鳴られ、「大将（五代目圓楽師）にそんなことしたら承知しねえぞ！」と叱責されたのだとか。そこで頭が真っ白になってしまった兼好師は「師匠にしかやりません」と答えてしまったのだそうだ。
その兼好師が演ずる長屋の連中は、与太郎でなくても底抜けに明るくて楽しそう。
与太郎はそこに輪をかけて楽しそうで、いいなあーと羨ましくなる。
遊馬師、もしかして遊馬師の『長命（短命）』は初めて聴くかも？ もし聴いていたとしてもかなり久しぶりだろう。とにかく記憶にない。
かなり無駄を削ぎ落したというか、あまりいろいろなことをしない。
たとえば、他の人なら察しの悪い八っつぁんにコタツの例やらいろいろ出して説明するのだが、「おまんまをよそうだろ、渡すだろ、手と手が触れる。顔を上げれば奮いつきたくなるようないい女。……短命だろう？」を繰り返すのみ。ただ、表情がかなり豊かになっている。これはこれでかけそばのような、マルゲリータ・ピザのような、シンプルな中に味わいがある。
家に帰ってきておかみさんとわーわーやる場面も仲の良さが透けて見えて心地よい。
たま師、『花ねじ（鼻ねじ）』は初めて聴く噺。
とにかく勢いがすごい。大阪弁の迫力と相まって、聴いているこちらまで圧倒される。
使いの定吉が建前の口上を伝えられず、本音の部分だけをイキイキと語るのがおかしい。
三三師、たま師の高座に触れ、「『花がさらさらーーー!!!!』って花が散る擬音じゃねえよなぁと楽屋で盛り上がっておりました」と明かす。
自身は田舎の夏の風景を静かな口調で鮮やかに描いてみせる。すごいな初夏の爽やかな山の麓の農村が見えるようだ。「これが江戸前の芸です。『花がさらさらーーー!!!!』とは違うんです。……まあわざわざいうことじゃありませんがね。修行が足りねぇなあ」と自慢半分反省半分。
『茄子娘』は4〜5年前に兼好師で一度聴いただけ。扇辰師がよく演るらしいが、聴いたことないんだよなあ。
さっぱりとした夏野菜のような味わい。
一之輔師、与太郎が七兵衛のところにやってきて、「なんか金儲けの話ない？ 飴屋なんか儲からないんだよ」「そりゃあ隣町の与太郎だろ！ お前は親孝行なんてしねえだろ！ ……これ噺ツイてねえか？」と気づいた様子。あーこうなると後ろに行くほど不利というか難しくなりそう。
ただやはり一之輔師がすごいのは、そこに茄子娘や短命のネタも突っ込んで、噺のごった煮のようにまとめあげたところ。それがまた面白い。ただ「あと大岡越前！ あーもう思い浮かばないからいいや！」と流石に大岡政談までは組み込めなかったようだ。
『唖の釣り』も普段あまり聴かない。やっぱり肉体的な障害を扱ってるっぽいからやりづらいのだろうか。
今日の企画は大日本橋亭アタッククイズ。
今日は江戸前の師匠たちが青（三三）、黃（遊馬）、緑（兼好）、赤（一之輔）の着物を着ているので、ホワイトボードに着物の色に合わせた折り紙を使ってパネルの取り合いをする。
ただ、四人はアタッククイズ25を見ていないようで、ルールをあまり把握していない。普通は十字形にパネルが取られていくらしいが、X字型にパネルが増えていく。たま師曰く「こんな状況見たことない」。
普通のクイズあり、各師のエピソードクイズあり、昨日も好評（？）だった南湖さんのラララクイズあり。
一之輔師のエピソードクイズが汚くて最高に面白かった。男子高っぽい。
で、今日のクイズ優勝は一之輔師。三三師も最後まで競っていた。
来年もまたあると明言されたいたので、また来年のお楽しみ。
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