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黒門亭 第二部 2136回 [落語]

黒門亭 第二部 2136回
於:落語協会2F

三遊亭ふう丈『転失気』
柳家わさび『壺算』
入船亭扇里『明烏』
入船亭扇辰『竹の水仙』

久しぶりの黒門亭。もちろん目当ては扇辰師。

わさびさんは二ツ目に昇進した直後くらいに一度聴いたことがある。
その時はマクラはグズグズ、噺はグダグダで「この人ひどいなー……」という感想だった。マクラは単に昨日あったことの報告のような話で盛り上がりもなにもなく、噺は『二人旅』だったかたどたどしくボソボソと喋っているだけ。
正直今日も「扇辰師を聴くためにガマンガマン」くらいの心づもりだったのだが……驚いた。段違いに面白くなっている。
日常報告系の話をグダグダ続けるというマクラは変わってないのに、なんだかわからないけどやたら面白い。持っている雰囲気もあるのかもしれないが……。噺に入るフリとしてスーパーとコンビニでパック飲料を買う話をしていたところ、何をいうのか忘れてしまったのか、「あ、」としばらく絶句してから何事もなかったかのようにしれっと噺に入った。これが大爆笑で、なんか許せてしまう。
噺もやや危なっかしいところはあるものの、兄貴分と瀬戸物屋との攻防はなかなか聴きごたえがあった。
「下にとる三円を算盤に入れようとしても……どうしても関節が曲がらないんです!」という商人の叫びが悲痛ながらもおかしい。

扇里師も久しぶりだなー。
二ツ目時分は若手研精会によく出ていたので、聴く機会が多かったのだけれど、真打に昇進してからはなんとなく疎遠になった。最近そういう人を改めて聴くことが多いな。
兄弟子の扇辰師と同様、端正な印象。

扇里師が引っ込むと同時に前座のふう丈さんが座布団を取りにきたのか、客席に。扇辰師の出囃子が鳴っているのに高座返しをする人がいなくなってしまったため、扇辰師自ら座布団を返し、めくりをめくっていた(ふう丈さんが慌てて止めていたけど)。
宿の主が入り婿で、というのは初めて聴く形。オチも今まで聴いたことがあるパターンとはまるで異なっており、扇辰師のオリジナルなのだろうか。それにしてもオチにこれだけバリエーションがある噺も珍しい。私が聴いただけで4〜5パターンある。噺家のアレンジ魂をくすぐる噺なのだろうか。
約50分、たっぷりと堪能できた。

扇辰師の噺が素晴らしいのはもちろんだが、わさびさんへの偏見がとれたのが大きな収穫だった。
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