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七転八倒の会 [落語]

七転八倒の会
於:神楽坂 毘沙門天善国寺書院

柳家いっぽん『転失気』
蜃気楼龍玉『ざるや』
柳家喜多八『半分垢』
蜃気楼龍玉『双蝶々(中)』
柳家喜多八『阿武松』『鋳掛屋』

GW初日。とはいえ会社はカレンダー通りだし、むしろ休出しなきゃなあ……などと思いながらとりあえず落語を聴きに行く。

前座のいっぽんさんは蛍光緑の着物が眩しい。
ちょこちょこオリジナルっぽいくすぐりが入り、結構慣れた感じ。
マクラの間は眼鏡をかけたままってのがきつつきさんぽい。流行ってるのか?

龍玉師はマクラもほとんどなく噺へ。
実は『ざるや』を聴くのは初めて。
あらすじは知ってるけど。
あんなに頭の回転の速い会話ができるようになりたいものだ。

さて龍玉師が終わって、いっぽんさんが高座返しに出てきた……と思ったら、そのまま座る。
会場中が???となっていると、小話をひとつやって、座布団をひっくり返して引っ込んで行った。
それを2回繰り返して、ようやく喜多八師登場。
どうやら着替えてなかったらしく、いっぽんさんが時間稼ぎをしていたようだ。なんじゃそりゃ。落語家っぽい。
マクラで昔の力士エピソードをたっぷりと話し、噺自体は5分ほど。

龍玉師の2席めは圓生噺の『双蝶々(中)』。
これは噺自体知らなかった。
長い噺らしく、今日は上中下の中部分。
手癖の悪い長吉という男が、盗みをしているところをお店の番頭に見られ……という噺だが、番頭に問い詰められている場面や、長吉が小僧の定吉を絞め殺してしまう場面では会場全体がかなり張り詰めた雰囲気に。
目の動きや、少しの表情の変化で、人物の心情の動きが伝わってくる。
龍玉師はこういうところが本当に上手だと思う。
それと私の巡り合わせなのかもしれないが、私が聴いた龍玉師の噺には、ほとんどの場合で「悪人」というか「悪役」「嫌な人」が出てくる。
落語に出てくる悪人はどこか愛嬌があるものだが、龍玉師の演じる悪人は本当に酷薄で、「人間の悪意」を感じる。
今日の長吉にしても番頭にしても、悪の顔を出した時の表情や話しぶりは本当に悪そうに感じる。
今まで聴いた噺だと、『らくだ』の兄貴分や、『駒長』の長兵衛、『鼠穴』の夢の中の兄なんかは「こんな人身近にいたら嫌だな」と本気で思う。

さて会場が凄惨な雰囲気となったところで喜多八師の二席目。
一席目で相撲のマクラを延々と語ったのは、本当は『阿武松』をかけるためだったのだが、まだ稽古中であやふやなところがあるので『半分垢』に逃げたのだとか。
「これではいかん」と思い直し、改めて『阿武松』をかけると宣言して噺に入る。
こんなネタバラシというか楽屋話も珍しい。
確かに結構端折った感じで、あの「宣言」がなければ「え、喜多八師なのにこれ?」と思ってしまったかも……。
「宣言」があったからこそ喜多八師の稽古風景を覗いているような、ちょっと新鮮な楽しさがあった。
ただ喜多八師も「それじゃ悪い」と思われたのか、そのままもう一席『鋳掛屋』を演ってくれるという大サービス。
こちらはもう文句なし、喜多八師らしい爆笑噺。子供時分の遊び方の思い出を話したマクラも面白かった。

全六席中、初めて聞く噺が四席もあり、いろいろとイレギュラーなことも起こって非常に濃厚な会だった。
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